- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/05/14
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 273回
- この商品を含むブログ (170件) を見る
彼の魅力は、まず文章のリズムがいい。その想像の外側のトリックとラストの大どんでん返し。登場人物の心理描写が見事なこと。必ず何らかの社会問題がちりばめられているところ。そして幅広い作風だろうか。そして読んでいて、自分の想像力が刺激されるので、頭のトレーニングにもなるね。
さて、この本のタイトルが意味深じゃない?中野という男に、昔別れた恋人で3歳の女の子がいる沙也加から電話が入る。沙也加には、幼い頃の思い出が全然ないという。そして亡くなった父が残してくれた鍵と地図。これは何なのか!?
ひょっとしたら自分の幼いころの秘密がそこにあるかもしれない、そして記憶を思い出すかもしれない。それには自分の夫よりも自分のことをよくしているあなたに一緒に来て欲しいということで、夫が海外出張している際に、二人は山中にひっそりとたたずむ白い家を訪れたのだ。
登場人物は、この二人だけ。そして舞台はこの白い家。それは不思議な家だった。玄関からは入れず、地下室から上がっていく。そして生活臭のない家。電気は通っていない。20年以上前から時が止まっているようにある日突然人がいなくなったようだ。そして、子供部屋には天体望遠鏡と鉄道の雑誌。そして時計はすべて11:10で止まっている。そしてそこに残された子供の日記を読み進めていくと…隠された沙也加の過去が浮き彫りになる…そしてあの忌々しい記憶がよみがえってきたのだ…。
こんなことってあり!?でもありえるかもしれない。かなり衝撃的な内容。タイトルの意味がいまさらながらよく分かる気がする。(>_<)