- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 単行本
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「このミステリーがすごい!」1位(2005年)、直木賞をはじめ、数々のタイトルを獲った作品なので読んだ人も多いかもしれない。このブログにも紹介したくて、再度読んで見たら、やっぱり感動!(T_T) 特にラスト5ページは涙が止まらなかった…。(T_T)…誰だ!鬼の目に涙っていっているのは!?(ーー;)
数十年に一人といわれる数学の天才・石神哲哉は高校の数学教師に甘んじていた。独身の彼の唯一の楽しみは、数学の難問を解くことと、密かに憧れている同じアパートの隣に住む花岡靖子が働く弁当屋で、毎日おまかせ弁当を買い、彼女の顔を見ることだった。
靖子は、5年前に暴力とギャンブルに狂っている夫と別れて逃げるようにこのアパートにたどり着き、娘と二人暮らし。ところが。前夫の富樫が靖子の前に突然現れ、金をせびった際に、靖子親子は偶然にも富樫を殺害してしまう…。
隣で聞き耳を立てていた石神は、愛する女性を守るために、彼の数学的、論理的思考を最大限に活用して、誰にも絶対見破られない完全犯罪のトリックを作る。
『自分が守らねばならない、と石神は改めて思った。自分のような人間がこの美しい女性と密接な関わりを持てることなど、今後一切ないに違いないのだ。今こそすべての知恵と力を総動員して、彼女たちに災いが訪れるのを阻止しなければならない。』
そしてそれを解き明かそうとするのが、石神の大学の同級生の物理学の天才学者・『ガリレオ先生』こと湯川学!天才vs天才の頭脳対決がめちゃめちゃ面白い!
・純粋なんですよ。石神という男はね。彼の求める解答は、常にシンプルです。いくつかのものを同時に求めたりしない。そこに到達するために選ぶ手段もまたシンプルです。だから迷いがない。少々のことでぐらついたりもしない。でもそれは、生き方があまり上手くないということでもあります。得られるものはすべてかゼロか。いつもそういう危険と隣り合わせだ。
・「殺人の罪を肩代わり出来る人間なんて、この世にいるか?靖子は石神にとって家族でも妻でもない。じつは恋人ですらない女なんだぜ。庇う気があったり、実際に犯行の隠匿に手を貸したとしても、それがうまくいかなかったとすれば観念する。それが人間というものだ。」
・「このことをあなたに教えるのは、じつに心苦しい。石神がそのことを、絶対に望んでいないからです。何があっても、あなたにだけは真実を知られたくないと思っているでしょう。それは彼のためじゃない。あなたのためです。もし真相を知ったら。あなたは今以上の苦しみを背負って生きていくことになる。それでも僕はあなたに打ち明けずにはいられない。彼がどれほどあなたを愛し、人生のすべてを賭けたのかを伝えなければ、あまりにも彼が報われないと思うからです。彼の本意じゃないだろうけど、あなたが何も知らないままだというのは、僕には耐えられない」
・何という綺麗な目をした母娘だろうと思った。それまで彼は、何かの美しさに見とれたり、感動したことがなかった。芸術の意味もわからなかった。だがこの瞬間、すべてを理解した。数学の問題が解かれる美しさと本質的には同じだと気づいた。花岡母娘と出会ってから、石神の生活は一変した。自殺願望は消え去り、生きる喜びを得た。二人がどこで何をしているのかを想像するだけで楽しかった。世界という座標に、靖子と美里という二つの点が存在する。彼にはそれが奇跡のように思えた。
・あの母娘を助けるのは。石神としては当然のことだった。彼女たちがいなければ、今の自分もないのだ。身代わりになるわけではない。これは恩返しだと考えていた。彼女たちは身に何の覚えもないだろう。それでいい。人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。
石神が作った完全なトリックの秘密とは…?これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。この世に存在することさえ知らなかった。石神のあの無表情の下には、常人には底知れぬほどの愛情が潜んでいたのだ…。 (T_T)
クウ〜!!!(>_<)もう一回読もうかな…!この感動を分かち合いたいな…! 映画化して欲しいな〜!