事実は小説より奇なり…。\(◎o◎)/!
無期死刑囚・佐久間清太郎(作品の性質上仮名)は、脱獄を4度繰り返したという。それだけでもスゴイのだが、その人間業とは思えぬ超人的な手口と緻密な計画と大胆な行動力。しかも鉄壁の設備と監視の網走刑務所まで、抜け出すことに成功したという、戦中・戦後の混乱した時代を背景に繰り広げられる佐久間と刑務官との闘いを描いた作品。まるで息が詰まるように引き込まれる筆力は、さすが、吉村昭!
その恐るべき手口の一部を紹介しよう。合鍵の作り方はこうだ。入浴時に手桶にはめられた金属製のタガをひそかにはずして隠し持つ。さらに入浴後、房に入るときに、湯でふやけた掌を錠の鍵穴に強く押しつけ、その型を取り、さらに入浴中、臀部を洗うふりをよそおってタガを床のコンクリート面で摩擦し、合鍵を作った…。ハア〜!( ..)φメモメモ
鍛治工場で特製で作らせた頑丈な4貫匁(15キロ)の手錠と視察窓の枠をも外してしまった。そのかたく締め付けられたナットは腐食していた。どのような手口で外したのか?毎日の食事の折に、味噌汁を少し飲み残して、湯のみ茶碗に入れ、それを看守の目を盗んで手錠のナットにたらすことを繰り返して、味噌汁に入っている塩分で酸化させ腐食して引き抜いた…。カア〜!( ..)φメモメモ
彼の人間としての能力は破獄のみに集中されているが、その比類ない能力と知恵が他の面に発揮されれば、かなりの実績が残せただろうに…。(~_~;)
そして晩年の佐久間と彼を一人の人間として扱った刑務所長のやりとりで、ようやく佐久間は心を開いたようであった。そして、とうとう脱獄をやめることとなる…。そのラストシーンと最期の数ページは胸を打つ…。
悪党でありながら、なぜか彼を憎めないのは、何故なんだろう…。(^^ゞ 善悪を超えて惹きつけられるものがあるからだだろう。『ルパン三世』みたいなものだろうか!?