最近、全作品読破を狙っている、無期懲役囚の美達大和氏。実にオモシロイ！塀の中の生活ってこうなっているんだねえ。(・∀・)
「凶悪な重罪受刑者で刑期8年以上の者だけが集められ、全国に5ヵ所しかない「LB級刑務所」。そこで一生暮らすと決めた無期囚による衝撃の観察記録！初めて明かされるその全貌」そのエッセンスを紹介しよう。
・私は一人の無期囚ですが、早いもので、あっという間に塀の内の住人となって約20年が経ち、ここの基準で一人前となりました。鬼か悪魔か獣かと言われいいる長期刑務所の面々がどんな人々なのか、そして私達が日頃どのように暮らしているのか。これからご紹介しましょう。
長い年月を獄中で生活する受刑者達の精神面と肉体面はどう変化してゆくのか、塀の外で彼らの帰りを待つ親族は何を考え、どのように過ごしているか。そもそも彼らは一般市民とどこが違っているのかということは、内側から長く観察しなければ真の姿はなかなか見えてこないものだと思います。
・受刑者の作業で支給される賃金は、作業昭預金という名称が報奨金に替わって少し昇給しましたが、最高で時給41円程度です。とても出所後の厚生資金にはならないようです。
・工場に入ると、人相の悪い男たちの視線が四方八方から突き刺さってきます。人相が悪いと言ったのは、冗談でも笑いを取るためでもなく事実で、歩くだけで脅迫罪になりそうな人も少なくありません。
・長期刑務所は短期刑務所より人の入れ替わりが少ないので、新入が来ると話のタネになって盛り上がります。ウエルカム・パーティーでは、例えば最近の社会の風俗や流行や世相など、いろいろなことを新入は聞かれます。「女の子が地べたに座るって本当？」「メールってどうやるの？」「携帯で写真撮れるって？」「女がパンツ出してるってウソだろ」と枚挙にいとまがありません。チョーエキの大好きなテレビもそっちのけでウェルカム・パーティは盛り上がるのです。
・朝は6時半。前夜の9時から寝ますから目を醒ましていても規則で寝ていなくてはなりません。本を読んだりしゃべったりしてもいけないのです。規則では……。「起きてじっとお横になっているのは体力的につらい」掃除、洗面を済ませて朝の点検です。点検後は朝食で、この朝食の旨いことといったらありません。ここの一汁二菜の朝飯は、その旨さに己の健康を感じ、生の喜びを味わう解きなのです。本当に、味噌汁をぐっと一杯飲んで輝く太陽に向かって「第九」でも合唱したいような、そんな気分になります。
・官本は各工場に本棚があって、300冊が二ヶ月ことに入れ替えになり、一人毎日2冊まで借りられます。新聞は地元紙は一部だけ各工場に回ってきます。囲碁と将棋は年に一回、大会もありますし、盛んなようです。施設暮らしの長い人が多いので自然に上達するのか、アマ初段や二段クラスの人もいて、以前は五段の人もいたほどです。人間、どんなことでもお意思を持って10年20年とやれば形になってくるという見本なのでしょう。長期刑のチョーエキには負けず嫌いが多いのも上達の一因になっています。
・入浴は年間137回でしたが、もう少し増えました。時間は15分。大浴場と呼ばれる小さな浴場の脱衣室でむくつけき男どもの裸体が並ぶわけですが、暴力団組員達の入れ墨大会のようになります。
・若い新入が来た時のこと。すっかり慣れて部屋の人とも仲良くなって楽しい日々を過ごすようになりました。彼はその嬉しさを母親に知らせてあげたのです。「お母さん、部屋の人もみんな親切で仲良くしてくれています」すると母親から「そんな悪い人達と仲良くしていはいけません」また、ある暴力団組員が、しばらくぶりに実家に手紙を出しました。すると、宛先不明で手紙が戻ってきたのです。「チクショー、あいつら、また俺に無断で引っ越しやがった。出たらまた探して、落とし前つけてやるからな」あいつらというのは実の両親と兄弟のこと。親からも嫌われ相手にされないチョーエキ達が結構いるのです。
その他、「医療ー薬物中毒者達」「理髪と洗髪」「運動ー鍛える人々」「休日ー競馬と手紙の悲喜こもごも」「学習ー問題の多い面々」「慰問演芸ー若い娘と熟年」「祝日の特別菜ーそれぞれの楽しみ方」「仮釈放ー厳しい道」「チョーエキという種族」「経済効率を求めるチョーエキ」「人生で初めて賞をもらった男」「本当に衝動パニックなのか」「チョーエキ達の思考パターン」「受刑者を取り巻く現状」など。
体験者でなければ語れない。そして体験したくもない。（笑）超オススメです。(・∀・)
