「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「言葉の園のお菓子番 未来への手紙」(ほしおさなえ)

 

いま、ワタシが最も好きな作家が、ほしおさなえさん。同い年。昨年、イベントではじめてお会いしたときは、感動したなあ。サインもいただりして、すっかりミーハーな対応しちゃいましたー!(笑)(^^)

 

活版印刷日月堂などのヒットシリーズを手掛ける著者が、出会い、言葉、繋がること、喪失と再生、成熟をテーマに描く、「言葉の園のお菓子番」シリーズ5巻。書店員の職を失ったあと、亡き祖母が所属していた連句ひとつばたご」に通うようになった一葉は、連句をはじめて三回目の春を迎え、新しい仕事にも積極的に取り組むようになっていた。そんななか、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとの交流をきっかけに、大学時代に抱いていた想いが再び浮かびあがり……。封印していた気持ちに向き合い、一葉は自分の心を見つめ直していく。あのとき踏み出せなかった一歩を、自分の力で踏み出すために──」そのエッセンスを紹介しよう。

 

連句会「ひとつばたご」は亡くなった祖母が所属していて、毎月お菓子を持って連句会に行くことを楽しみにしていて。最初は祖母がお世話になったお礼を行くだけのつもりだったのに、なぜか連句に加わることになって、いまや連句会はすっかりわたしに生活の一部になっている。

 

生活?いや「人生」と言った方がいいのかもしれない。賃金をもらっているものではないから「仕事」ではない。でも「趣味」かと言われると、趣味の粋にはおさまらないような気もする。

 

デジタルの写真は写真じゃない。父はそう言っていた。でも写真なないってどういうことなのだろう?紙に現像しないからだろうか。

 

・「連句は『付く』ことも大事ですが、それと同じくらい『離れる』ことが大事なんですよね。『付く』と『離れる』を繰り返す。だからリズムが生まれる」

 

あたらしい人はあたらしい風を運んでくる。

 

・「作品というのは、だれかに評価してもらうためじゃなくて、自分で決めて世に送り出すものなんですよね」

 

・「写真っていうのはね、像を写し撮るんじゃなくて、光を写しているんだよね。入ってきた光に薬剤が反応しているだけで、像を認識しているわけじゃないんだ。光の痕跡っていうか。フィルムカメラで写真を撮っていると、そのメカニズムによくわかる。そこも好きだったんだよなあ」

 

・「連句を巻くたびに、祖母のことがわかる瞬間があって。わたしたち家族に見せていた顔と連句会での顔は違うんですよね。ひとつばたごの人たちから祖母の話を聞くのが楽しかったし、祖母の作った句を見て、ああ、こんなことを考えていたんだな、って。句を作るときも、祖母ならどんな句を作っただろう、って考えたり」

 

・「写真はちょっと俳句に似ているところがあると思っていて。被写体をとことん見つめるところからはじめるっていうか。なんだろう、一葉さんの文章やイラストにも少し似たものを感じたのかもしれないです」

 

被写体をとここん見つめる?スマホで写真を撮るとき、そんなことを考えたことはなかった。きれいだな。おいしそうだな、おもしろいなと思ったら、ボタンを押す。ただそれだけ。撮っただけで満足して、見返していない写真もたくさんある。思い出は全部スマホのなかにある。だから思い出せなくても大丈夫。よく考えると、それじゃ、何のために写真を撮っているのかわからない気がする。

 

・結局、才能っていうのは世界とのズレだから。孤独と同じなんですよね。世界がほかの人とはちがって見える。人と共有できないものを抱えてるってことです。けど、共有したいと思っているから言葉にする、だれかと結びつきたいと願う。だからこそ才能のある人の言葉は切実で、ほかの人を惹きつける。

 

・「『これから』のために『いま』我慢して勉強するっていう理屈もわかるんですけど『いま』だって大事じゃないですか。高校生活もあと一年ないわけで。『これから』のために『いま』を我慢するのはおかしいんじゃないか。そうやって我慢に我慢を重ねて、未来のために貯金したってしょうがない気もして」

 

・「おもてなしって、押しつけじゃダメなのよ。それは自己満足。まわりをよく見て、人の思いを受け取って、それに応じたものを差し出すってこと」

 

・たぶんカメラの感触が好きだったんだよなあ。持ったときの重みや、シャッターを押すときの感触、フィルムを入れたり巻き取ったりする作業……。まあ、古い人間ってことだ。

 

・『写真』とは『フォトグラフ』。フォトは『光』グラフは『書かれたもの』。つまり

光が描いたもののことだって。

 

・『軽み』は、いわゆる蕉風俳諧の特徴『さび、しおり、細み、軽み』のうちのひとつ。『さび』は古びて趣のあるうつくしさ、『しおり』は余情、『細み』は幽玄。『軽み』は日常的な出来事のなかにあたらしい美を見出し、平坦にさらりと表現すること。晩年の芭蕉さんはこの『軽み』をすごく大切にしていたんですね。連句でも、どうしても深くて重い句。うつくしくて格調高い句に目がいくんですが、それだけじゃダメで。いまの柚子さんの句みたいに、ほっと抜ける感じが大事なんですよ。ずっと張り詰めているだけじゃダメなんです。力を抜いてそこまでの気持ちから離れる、そうすることで空気が変わる。

 

自由丁(蔵前)

jiyucho.tokyo

 

「自分史上最高の夕焼け」「いまといつか」。またまた「ほしおワールド」にハマってしまいました。超オススメです。(^^)