いいなあ。ほしおさなえさん、いいなあ。ついにこのシリーズも完結かあ!ウレシイなあ、淋しいなあ。文章から溢れてくるリアル感と人々の思い。現代の作家の中ではピカ一だなあ!伝わってくるなあ。なんて優しい、なんてぬくもりのある、まるでドキュメントのような、ノンフィクションのような表現力がスゴい!「三日月堂」の弓子さんも出てくるし。まるでオールスターゲームだなあ。川越にますます行きたくなっちゃたよー!♪
「新記念館の計画がついに始動!「紙」がつなぐ人の想いと絆の物語、完結巻。大学を卒業し、晴れて念願の藤崎産業に入社した百花(ももか)。感染症によっていまだ分断が続いている世の中に不安や孤独を感じながらも、自分なりにできることを模索していこうとする。日本橋にあった「紙屋ふじさき記念館」は閉館してしまったが、一成(かずなり)は記念館の再オープンに向けてあたらしい候補地を探しており、川越の古い商家の建物を使うことが決まった。百花は会社で「記念館準備室」に所属し、新記念館の開館に向けたプロジェクトに携わることに。
どのような記念館にすれば「和紙」を今の世の中に広めることができるのか、プレッシャーを感じつつも、新卒の同期数名とともに様々な課題に取り組んでいく。
それと同時に、百花の亡き父の作品『東京散歩』を復刊する動きが現れて……?「紙」がつなぐ人々の想いとあたたかな絆の物語、感動のフィナーレ」そのエッセンスを紹介しよう。
・手紙や本や雑誌は文字を載せるためのものだし、 手帳やノートは記録するためのもの。 襖や障子は家の仕切りであり、鑑賞するためのもの。 紙は願いを実現するための素材だ。「わかる。そうだと思う。 願いに近づきたいっていう人の思いのあとを感じるから。 わたしたちは紙というものに惹かれるのね」
・(「柳田國男館」に来て)「お父さんはここに来ると必ず、 書斎の本棚を長いことながめてた。 ひとりの人間がこれだけの量の仕事を成し遂げたいというのが信じ られない、って。お父さんは、小説執筆は結局、 自分の作った世界のなかを旅しているだけなんだって笑ってた。 だから、自分の外側を描きたい、って。自分の内側から出て、 外に行って知らないものと出会って、 それを言葉の形にして人に送り続ける。それで、 いろいろな土地のものづくりに携わっている人たちの姿を見に行っ てた。だから懸命に作っていたものを言葉の形にして残したい、 って」
・「お父さんはもっと生きて、 言葉を残したかったんだと思うんだよね。だから、 言葉を形にしたいと思っている人を見ると、 その願いを叶える手助けをしたい、って思っちゃう。 仕事って不思議だね」
・「お腹のなかの君、起きているのかな。 まだ言葉はわからないだろうけど、 君はいつこの世に出てくるつもりなんだい?外の世界にはね、 知らないものがたくさんあって、怖いことも辛いこともあるんだ。 でも、素晴らしいこともたくさんあるんだよ。だからね。 早く出ておいで」
・うつくしい人になろうなんて思わなくていい。 そんなの受け身の生き方だ。そうじゃなくて、 自分が大事にできるなにかと出会い、 そのもののために生きられる人になってほしい。自分の足で歩き、 なにかのための生きる人になってほしい。百花、百の花と書いて、 ももか。頭にその名前が浮かび、これだ、と思った。
・「子どもの名前には親の思いがこめられている。それは、 単なる夢や憧れではなくて、 親のそれまでの人生が投影されていると思うんですよ。 青年が持つ理想だけじゃない、悩みや挫折を経て、 これだけは伝えたいと思う気持ちと言いますか。 これだけは失わないでほしいと思うものを小さな言葉に凝縮して手 渡す。名前ってそういうものだと思うんです。 あの文章を読んだとき、 自分が子どもの名前をつけたときの気持ちがよみがえってきて…… とても共感しました」
・「これ、やばくないですか?落水紙とはめちゃやばい。えー、 箔が貼ってある紙もある。やばい、うわー、この揉み紙もやばい。 なんで?俺がめちゃ欲しいです」「烏丸さん、 語彙力が崩壊していますよ。やばいしか言ってない」
・ 創作というとひとりで黙々と自分の世界と向き合うことのような気 がするが、 子ども時代はこういう時間を過ごすことも大事なんだと思う。 人が集まって遊んだり、いっしょに考えたりする場所。 大学時代の最後の一年、そういう場所を失ったからわかる。 それはとても大事な場所で、失われてはいけないんだ。 これからの子どもたちのためにそういう場所を作ることも、 大人になったわたしたちの仕事なんだ、と思った。
・仕事も、これまでの歴史を背負っている。過去を背負い、 先に進む。生きるとはそういうことです。 世の中はいいことばかりではないですから、 苦しむこともあるでしょう。でも、よく生きてください。
・志を はたして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷
・「ここまで来られたのは、吉野さんのおかげだよ。ありがとう」 その言葉に驚く。 最初に日本橋の記念館で会ったときのことを思い出した。 あのときはこの人に雇われるのか、 と逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。でもいまは、 藤崎さんと出会えたことが天から与えられた素晴らしい贈り物だっ たんだと思う。目指すものができた。志が生まれた。 だからわたしはこうしてここにいる。
「飯山の内山紙」かあ。紙の魅力に惹き込まれるっ!もう一度全巻、再読したいっ!超オススメですっ!!!(^^)
「飯山の内山紙」かあ。紙の魅力に惹き込まれるっ!もう一度全巻、再読したいっ!超オススメですっ!!!(^^)