「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「言葉の園のお菓子番 森に行く夢」(ほしおさなえ)

全作品を読破している、ほしおさなえさんの本。さあ、新刊が出たよー、ワクワクっ!

 

「亡き祖母に導かれるように連句会・ひとつばたごに通いはじめた一葉は、その縁から再び書店員の職を得る。連句会に参加して一年、ブックカフェに勤めて四か月。新しい出会い、トークイベント、日々の小さな挑戦の積み重ねのなかで、何かをはじめること、選び取ることの大切さと豊かさが見えてきてー。まるで人生のように、出会いと選択によって行き先が変わる連句の体験が、競うのでも正解を目指すのでもない未来へと一葉を誘っていく。かすかな変化の予感が静かに胸を震わせる感動の人気シリーズ、待望の第三弾!」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・「おいしーい。これは食べるのがもったいないけど、食べないのはもっともったいないですね」
 
・「思春期って、そういう時期でしょう?親や世界の見え方ががらっと変わる。完璧だと思っていた親は実は弱さを持つ小さな人間にすぎないし、盤石(ばんじゃく)だと思っていた世界も信用ならないものだとわかる。自分のことだってわからなくなる。そう考えるとね、思春期っていうのは、心の臍の緒が切れるときなのかもしれない、って思うんですよ。それまではぼんやり親が作った胎内のようなところにいるけど、そこを出ていかないといけない時期と言いますか。僕はそれがちゃんと切れてないのかもしれないなあ」
 
・「臍の緒はねえ。切れたと思っても、案外切れていないものなのかもよ。わたしの母ももうだいぶ前に亡くなりましたけどね、いまでも思い出すんですよ。なにかをするごとに、まだ自分が母に縛られている、ってわかる。自分も子どもの縛っているのかもしれない、とも思う。親は人ひとりの命を預かるわけだけど、別に完璧な人間じゃないですか。ふつうの人間だから、できないことだらけなのに。でも子どもたちは、こっちをなんでもできる存在だと思って頼ってくる。その目を見てると、自分もむかしはそうだったなあって」
 
・ある作家さんが、小説っていうのは総合力だって言ってたのを聞いたことがあります。センスだけじゃ書けないって。世界を丸ごと作るみたいなもので、座ってキーボード打ってるだけなのに、なにかえらく疲れるんですねえ。白髪も増えるし。
 
・「何千回人生をくりかえしても、若いころの自分が現実を見るようになるとはとても思えない。この生き方しかなかったとも思います。けど、こんなたんぽぽの綿毛みたいなものじゃなくて、地に根を張った大きな木の一部になりたい、って思うこともあるんですよ。でもいくら江戸のことを勉強しても、独学じゃ大きな木の一部にはなれないんですよねえ」
 
「でも、たんぽぽの綿毛にしかできないこともあるんじゃないですか。大きな木は動けないけど、たんぽぽの綿毛は遠くまで飛べるでしょう?」
 
・ 花が舞うやぶれかぶれで生きている  蛍
 
・久子さんは、人はだれでも、自分以外のだれかに対する希求がある、と言った。生まれたばかりにころにあった自分と世界のあいだの信頼がなくなったとき、どこかに自分を結びつけたいという想いが強くなる。恋愛とその成就というわかりやすい形におさまればハッピーエンドになるが、恋愛の枠におさまらず、想いが果てしなく遠くまで伸び、行き場をなくしてしまうこともある。行き着く先がない強い想いは、ときに死という形に結びつく。自分が好きな作品は、そうした純粋で強い想いが凝縮したマンガだと思う。
 
・「産むという行為は生命の根幹にかかわることですよね。自分の身体を子どもに食べさせる昆虫じゃないけど、産んだあとも乳を与え、世話をして、少しずつ自分の身体を与えている。僕はいま自宅で母の介護をしているので、思うところはいろいろあります」
 
・「まだ見ぬ場所に行きたい、という気持ちは、人間の基本ですよね。僕は若いころはかなりいろいろな場所を旅行しましたし、引っ越しもくりかえしていて。ひとところに落ち着けない性格というだけかもしれませんけど。想像するのも楽しいんですけどね。でも実際に行くと必ず予想外のことがあって、やっぱり世界は広いなあって思うんですよ。ものの大きさとか、その場所の空気とか、匂いとか、食べものの味とかね。行ってみないとわからないでしょう?
 
「わたしにとっては、読書がそういう冒険だった気がします。本に没入すると、その世界が頭のなかに広がって、自分がそこにいるみたいな気持ちになったり、その人になりきったりして……」
 
・「最近はどこに行ってもカフェばかりでしょう?むかしはたくさんあった、少し薄暗くて、しずかで、カウンターでマスターがコーヒーをドリップしてる、みたいな店があまりなくなってしまった。建物は元のままでも、店の雰囲気が変わってしまっていたりで」「そうだよね、いまは開放的であかるい感じのお店の方が多いよねぇ。けど、むかしはそういう薄暗い感じの喫茶店が流行っていたんだよね。」
 
・「街は生きている人のものだから、変わっていくのは仕方がない。でも、自分の居場所のない世界で生き続けるのはさびしいことなんですよね。だから、みんなある程度生きたらこの世を去っていく。それでいいんだ、思うようになりました」
 
 
動物のお医者さん』『夏の終りのト短調』(大島弓子)『少女マンガからはじまった!わたしの創作人生』「和菓子の名店『越後屋若狭(https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131201/13046248/)』『プロペラ・カフェ』(調布飛行場)など。
 
 
いいなあ。「ほしおさなえワールド」に浸っていると、「まだ見ぬ場所」に行ってしまう。ワタシも連歌の会「ひとつばたご」に参加したいわー。オススメです。(・∀・)