「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「プロ野球「経営」全史 球団オーナー55社の興亡」(中川右介)

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以前から読みたかった本、ようやく完読っ!二日間で一気に読みました!壮大なプロ野球大河ドラマ!ストーリー!!!誰も書かなかったよねー!断片的なエピソードがつながったー!!!(・∀・)
 
長嶋も江夏も、イチローも大谷も登場しない、オーナー企業の視点から描く日本プロ野球「経営」全史!プロ野球草創期から21世紀までの球団オーナーの流れは、戦前・戦中・戦後復興を経て、高度成長、バブル膨張・破裂、平成から令和への日本経済のダイナミズムそのもの。それをたどることで、この1世紀弱の日本社会の歴史も見えてくる!」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
この本は、プロ野球を「親会社」の視点から描くものだ。したがって、野球の本でありながら物干し竿の藤村も、赤バットの川上も、青バットの大下も、長嶋の天覧試合ホームランも、江夏の二十一球も、イチロー松井秀喜大谷翔平も登場しない。名選手・名監督・名勝負・・伝説の名試合も出てこない。プロ野球球団を経営したオーナーとその企業を主人公にした野球史の本である。
 
・これまで球団の親会社になった企業は、ネーミングライツも含めれば、55社になる。なかには一年に満たずに撤退したところもあるが、歴史に名は残っている。オーナーのなかには野球を愛した者もいれば、何の興味も持たない者もいた。華族もいれば、戦後成金もいた。撤退した企業も多いが、そのなかで経営破綻したのは、偶然にも、大映ダイエーである。歴史物語として、紳士録として、産業興亡史として、お楽しみいただきたい。
 
映画と野球の歴史が重なるのは、1947年、大映永田雅一がプロ球団を持とうと思い立ったからだ。つまり、この人物がいなければ、映画会社が球団を持つことはなく、さらにはセントラル・リーグとパシフィック・リーグが設立されることもなかったのである。永田こそ、プロ野球の「第二の父」なのだが、そういう尊称を彼には与えられなかった。正力が「父」なのに対し、せいぜい、「親切だけど迷惑なおじさん」程度の扱いだ。
 
いまのヤクルトスワローズには、満鉄も日本共産党も陸軍も再製紙工場も関係ないが、この球団の歴史は日本の左右の暗部とつながっている。
 
国鉄西鉄産経新聞大映東映は球団の赤字もさることながら、親会社の経営が悪化して、球団を持ちこたえられなくなり、譲渡先を探した。だが、日拓ホーム日本ハム、西武になると、積極的に買って出る。球団を持つと新聞・テレビが毎日、社名を報じるので宣伝効果があると踏んで、買い取った。球団を持つ意味が変質していた。
 
プロ野球の歴史が本格的に始まった1936年に、球団・本拠地球場・球団歌が揃い、現在にいたるまで親会社が同じ球団は、阪神タイガースのみだということが、おわかりいただけたであろうか。1936年4月に日本職業野球連盟が最初のリーグ戦を主催したとき、巨人軍はアメリカ遠征に出ており参加していない。最初のリーグ戦に参加し、いまも続いている球団もまた、タイガースのみなのだ。日本のプロ野球読売巨人軍が牽引してきたかのように語られるが、それは読売・巨人中心史観の立場からの見方に過ぎない阪神タイガースこそが、1936年から2021年までの85年間にわたり、変わらう姿を歴史に刻み続けているのだ。
 
 
「野球と鉄道ー平岡熙(ひろし)」「ベースボール伝来」「阪神ではなく「神阪」」「初のプロ球団「日本運動協会」」「日本で最初に試合をしたプロ球団「天勝野球団」」「新聞の拡張戦争に使われた野球」「先駆者たちー短命の三球団」「最初の七球団」「戦争と野球と」「再出発1945-1947」「正力松太郎と読売新聞の飛躍」「映画の時代」「正力松太郎、読売追放」「朝日新聞プロ野球を持たない理由」「幻の球団」「ラッパと妖怪」「西武と堤家」「広告塔になった球団」「IT長者たち」「マネーゲームなど。
 

これぞ!大河ドラマだー!一章ごとに一冊書けるくらいのドラマがあるっ!この力作!今年のベスト10決定!野球ファン必読っ!超オススメです。(・∀・)

 

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