「長嶋も江夏も、イチローも大谷も登場しない、オーナー企業の視点から描く日本プロ野球「経営」全史!プロ野球草創期から21世紀までの球団オーナーの流れは、戦前・戦中・戦後復興を経て、高度成長、バブル膨張・破裂、平成から令和への日本経済のダイナミズムそのもの。それをたどることで、この1世紀弱の日本社会の歴史も見えてくる!」そのエッセンスを紹介しよう。
・この本は、プロ野球を「親会社」の視点から描くものだ。 したがって、野球の本でありながら物干し竿の藤村も、 赤バットの川上も、青バットの大下も、 長嶋の天覧試合ホームランも、江夏の二十一球も、 イチローも松井秀喜も大谷翔平も登場しない。名選手・名監督・ 名勝負・・伝説の名試合も出てこない。 プロ野球球団を経営したオーナーとその企業を主人公にした野球史 の本である。
・これまで球団の親会社になった企業は、 ネーミングライツも含めれば、55社になる。 なかには一年に満たずに撤退したところもあるが、 歴史に名は残っている。 オーナーのなかには野球を愛した者もいれば、 何の興味も持たない者もいた。華族もいれば、戦後成金もいた。 撤退した企業も多いが、そのなかで経営破綻したのは、偶然にも、 大映とダイエーである。歴史物語として、紳士録として、 産業興亡史として、お楽しみいただきたい。
・映画と野球の歴史が重なるのは、1947年、 大映の永田雅一がプロ球団を持とうと思い立ったからだ。つまり、 この人物がいなければ、映画会社が球団を持つことはなく、 さらにはセントラル・リーグとパシフィック・ リーグが設立されることもなかったのである。永田こそ、 プロ野球の「第二の父」なのだが、 そういう尊称を彼には与えられなかった。正力が「父」 なのに対し、せいぜい、「親切だけど迷惑なおじさん」 程度の扱いだ。
・国鉄、西鉄、産経新聞、大映、東映は球団の赤字もさることながら、親会社の経営が悪化して、球団を持ちこたえられなくなり、譲渡先を探した。だが、日拓ホーム、日本ハム、西武になると、積極的に買って出る。球団を持つと新聞・テレビが毎日、社名を報じるので宣伝効果があると踏んで、買い取った。球団を持つ意味が変質していた。
・プロ野球の歴史が本格的に始まった1936年に、球団・本拠地球場・球団歌が揃い、現在にいたるまで親会社が同じ球団は、阪神タイガースのみだということが、おわかりいただけたであろうか。1936年4月に日本職業野球連盟が最初のリーグ戦を主催したとき、巨人軍はアメリカ遠征に出ており参加していない。最初のリーグ戦に参加し、いまも続いている球団もまた、タイガースのみなのだ。日本のプロ野球は読売巨人軍が牽引してきたかのように語られるが、それは読売・巨人中心史観の立場からの見方に過ぎない。阪神タイガースこそが、1936年から2021年までの85年間にわたり、変わらう姿を歴史に刻み続けているのだ。
「野球と鉄道ー平岡熙(ひろし)」「ベースボール伝来」「 阪神ではなく「神阪」」「初のプロ球団「日本運動協会」」「 日本で最初に試合をしたプロ球団「天勝野球団」」「 新聞の拡張戦争に使われた野球」「先駆者たちー短命の三球団」「 最初の七球団」「戦争と野球と」「再出発1945-1947」「 正力松太郎と読売新聞の飛躍」「映画の時代」「正力松太郎、読売追放」「朝日新聞がプロ野球を持たない理由」「幻の球団」「ラッパと妖怪」「西武と堤家」「広告塔になった球団」「IT長者たち」「マネーゲーム」など。
これぞ!大河ドラマだー!一章ごとに一冊書けるくらいのドラマがあるっ!この力作!今年のベスト10決定!野球ファン必読っ!超オススメです。(・∀・)