ワタシが生れた新潟県十日町市松之山の実家。当時築100年の古い家で祖父母、父母、兄弟三人の7人で住んでいた。そこに、牛ちゃんが2頭、ニワトリちゃんが200羽が同じ屋根の下で住んでいた。昭和40年代前半のこと。
家のそばに柿の木があった。熟れる季節になると祖父や父が穫ってくれた。この柿が好きでねえ。だから今でもトロピカルフルーツは論外、イチバン好きな果物は柿なのだ。地産地消。やっぱり自分が生まれた土地で昔から穫れたモノがいいよね。
さてこの本。タイトルだけで郷愁にひたってしまう。小学校の教科書に載ったハナシで、いまでもそのストーリーが心に残っている。作者は『二十四の瞳』『母のない子と子のない母と』の壺井栄。五十年振りに読みました!感動、感動、また感動っ!続編があるとは思わなかった。
「フミエと洋一の家には立派な柿の木があります。日照りが続いたときも甘い実をつけるおじいさん自慢の木です。そんな家に双子の男の子が産まれた騒動を描く」そのエッセンスを紹介しよう。
フミエと洋一の家の裏に大きな柿の木が一本あった。 それは子どもの一かかえもあるほどりっぱな木だった。家族や親戚が毎年秋になるとその柿を楽しみにしていた。
「うまい。まったく、うまい。柿はくだものの王様だからな。 とくにこの柿はな」
ところがおじいさんがふとしたところで大きい石を柿の木の根元に置いてしまい、なぜかその年は実をつけなかったのだ。
「おじいさんがわることをしたのじゃ。ついうっかりと、 考えもなしにここへ石をおいたために、 今年は柿が一つも実をつけとらん。 柿じゃってよっぽどつらかったんだろうよ。 かわいそうなことをしたわい」
そしてその後、おじいさんは亡くなってしまう……。
初めて読んだときもそうだったけど、新潟の風景が、小野塚家の先祖代々の家族のことが思い浮かぶ。ジーン……ああ…いいなあ…。そして続編で双子がうまれたことでこのストーリーは続くのだ!
便利な世の中になったけど、100年くらい前の日本ってこんな感じだったんだよね。家族の関係も食生活も。ずっと読みつがれていってほしい本です。オススメです。(・∀・)