「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「菓子屋横丁月光荘 歌う家」(ほしおさなえ)

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菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

 

毎年、読んだ本の番付表をつけるんだけど、なんといっても、ほしおさなえさんの活版印刷日月堂のシリーズに出会ったことが、今年はナンバーワンだね。何度も何度も読み返したい、のと舞台である川越に行きたくなっちゃいましたっ!!!(・∀・)

 

さて、この本はその続編のようなシリーズで、またまた川越が舞台!

 

家の声が聞こえる――。幼い頃から不思議な力を持つ大学院生・遠野守人。
縁あって、川越は菓子屋横丁の一角に建つ築七十年の古民家で、住みこみの管理人をすることになった。早くに両親を亡くし、人知れず心に抱くものがある守人だったが、
情緒あふれる町の古きよきもの、そこに集う人々の物語にふれ、自分の過去にむきあっていく。人もものも、記憶を抱いて生まれ変わることができる。心のいちばんやわらかな場所にやさしく沁みる新シリーズ、第一作」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・靴紐をほどこうとかがんだとき、声がした。家の声だ。聞こえるかも、と身がまえていたから、焦りはしなかった。だが……。これは、歌……?少し変わった声だった。抑揚があり、歌っているように聞こえる。なんの歌だろう?聞いたことがあるような気がするが、判然としない。
 
・窓の前に立つと、また歌声が聞こえた。ずっと、声のする家にはいるたびに感じていた。ここにはなにかいる、と。だから少し怖い。幽霊みたいなものとはちがうが、その声の主は僕よりずっと長い時間を生きて、いろんなものを見ている。だが、同時に強く惹かれる。逃れられない、と思う。巻き込まれたら命を落とすかもしれない、という気さえするのに。家が歌っている。やっぱりなんの歌かわからない。でも、この声はきらいじゃない。ここに住む。毎日この声を聞きながら
 
家も歌っている。声がふるえている。ふるえて光っている。そうか、そうなのか。なぜか、家の声がなんなのか、少しわかった気がした。言葉では説明できないけれど、僕とあの家が家族だったのと同じように、この人とこの家も家族だったのだ。家の声とは、きっとそういうものなのだ。
 
古い建物に住むというのは、大きな魔物の腹にはいるのと同じだと思うんです。魔物と馴染めず、原因に気づかないまま調子を崩してしまう人もいる。あなたは、引っ越してきてすぐに、月光荘を手なづけてしまった。まだ若いのにね
 
受け入れられた。その言葉を思いつき、急にしっくりした。僕は受け入れられたのだ。この家に。ここに住むことという意味じゃない。僕が生きていることそのものが受け入れられた。

 

なんか、わかる気がする。もう無くなってしまったけど、新潟の私の生家が残っていたら、いろんなことを話してみたい。話せる気がする。いいなあ、このシリーズも読んで行きます。超オススメです。(・∀・)♪

 

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菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)

菓子屋横丁月光荘 歌う家 (ハルキ文庫 ほ 5-1)