「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「竹内政明の「編集手帳」傑作選」(竹内政明)

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 朝日新聞といえば天声人語、読売新聞といえば編集手帳。新聞の顔である 名物コラムだ。この本は、16年分から選んだ珠玉のコラム集がこの本。「勝った人より「負けた人」幸せな人より「日の当たらない人」だから竹内政明編集手帳は沁みるんだ!」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・主人公が思い出を語る。子供の頃、手習いに行くと、いらずらっ子にいじめられた。成人した今でも墨の匂いをかぐと当時がよみがえる、と。芥川龍之介『世之介の話』である。〈少なくとも私にとっては、大抵な事が妙に嗅覚と関係を持っている〉世之介の感慨には、うなずく方が多かろう。匂いは記憶の完治装置ともいわれる。
 
・ステファン坊やの投げたボールが、お隣ランガー家の窓ガラスを割った。坊やは泣いて父親に訴えた。「パパ、ランガーさんが窓ガラスで僕のボールを壊しちゃったよ」西洋の小話である。
 
・かつて啄木歌集には誤植が多いと言われた。印刷所の文選工が原稿がつい身につまされて読み、涙で目が曇ったという。
 
「おむすびが、どうしておいしいのだが、知っていますか」母親が娘に語って聞かせる。「あれはね、人間の指で握りしめて作るからですよ」太宰治『斜陽』のひとこまである。〈母の日のてのひらの味塩むすび鷹羽狩行)
 
〈わが傘を持ち去りし者に十倍の罰を空想しつつ濡れてきぬ〉竹山広)
 
・相撲界が八百長疑惑で大揺れの頃である。弁護士などの調査チームが関取衆から事情を聴取し、その際、証拠物件となる携帯電話と預金通帳を持参するよう求めた。スポーツ報知の記事を覚えている。あなたは持ってこなくてもよかったのに……」武州山関(36)(藤島部屋)は持参した品を突き返されたいつも全身全霊で土俵を務めるあなたが八百長をするはずがないか、と。
 
・〈おとうちゃんは カッコイイなぁ ぼく おとうちゃん にてるよね 大きくなると もっと似てくる?ぼくも おとうちゃんみたいに はげるといいなぁ〉(「こどもの詩」栃木県小学一年生)
 
〈伝統工芸は九割が技術で、あと一割が魔性である〉司馬遼太郎
 
〈生命は/その中に欠如を抱き/それを他社から満たしてもらうのだ〉吉野弘
 
「演歌とは人の志を運ぶ舟である」川内康範
 
〈母は/舟の一族だろうか/こころもち傾いているのは/どんな荷物を/積みすぎているせいか〉吉野弘
 
〈日々を過ごす/日々を過つ/二つは/一つことか〉吉野弘
 
〈生きているということは/誰かに借りをつくること/生きていくということは/その借りを返していくこと〉永六輔
 
〈松という字を分析すれば きみ(公)とぼく(木)との差し向かい〉(都々逸)
 
〈時計の針が前にすすむと「時間」になります/後にすすむと「思い出」になります〉寺山修司
 
・男が目薬を買ってきた。目尻の当て字か、説明書きに女尻へ差せ」とある。女房の尻に差すと、女房たまらずブーッと放ち、飛び散った薬は男の目へ。なるほど、こうして差すのか」

 

どの章も名言がいっぱい。なんて贅沢な一冊っ!珠玉の一冊。オススメです!(・∀・)

 

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