ワタシのコミックソングの師匠といえば「あのねのね」と「嘉門達夫」だ。嘉門さん、カタカナになったんだね。ワタシと同じだ!(笑)
小学生の頃聴いた「魚屋のおっさんの唄」「赤とんぼの唄」に大笑いした。そして嘉門タツオもあのねのねをリスペクトしてカバー曲も歌っているのだ。
さてこの本は嘉門さんの自叙伝的な本。「十六歳だった嘉門タツオは、タクシーから降りて来た笑福亭鶴光に、荒い息づかいで声をかけた。「弟子にしてください!」。一方、先達の金森幸介の曲は、『ヤングタウン 今月の歌』に選ばれ、洋々たる未来が開けていた……。千里丘のラジオ局は、大阪の若者たちの憧れそのもの。だけど未来は必ずしもまっすぐじゃない。辛い内弟子時代と破門、鳴かず飛ばずからの再デビュー。業界追放の苦境の中、タツオは放浪し、自分の生きる芸事の道を探す。大阪人の夢物語そのものと言える、濃くてあったかい自伝物語!」そのエッセンスを紹介しよう。
・「世の中なんでも一から十で表現できるんです」
「と言いますと?」
「なるほど!うまい事言いますねえ。ほなやってみましょか」
「そんなん無い無い!五!」
「ゴロナマーク2」
「ゴロナとちごて、コロナとちゃいます?」
「イヤ、うちの地元ではゴロナ、ハイ、六!」
「ロールスロイス、七!」
「ナショナルタクシー、えっ?」
「ナショナルタクシー。大阪駅前走ってる」
「そんなんアリかいな?」
「アリアリ。次八!」
「浜田タクシー」
「何です?」
「隣のオッサンがやってる個人タクシー、九!」
「救急車!最後十!」
「十全豆タン宣伝カー!」
「そんなんあるか!」
本の名前のパターンもあって、こちらは「一、イソップ物語」「 二、日本昔話」「三、サンデー毎日」「四、週刊朝日」「五、 ご本(本を丁寧に言うて)」「六、六法全書」「七、 夏目漱石大全集」「八、八代亜紀歌謡大全集」「九、 九官鳥の飼い方」「十、十姉妹の殺し方」という内容だ。
・不意に桑田(佳祐)さんが僕に言った。「ねーねー、 鳥飼って言う名前、堅くない?なんか本書きみたいな感じしない? 」
「じゃあ、名前付けてもらえませんか?」
「『嘉門雄三』もう使わないから。使う?」
「それじゃあ、ややこしいあら『嘉門』だけいただけますか?」
「いいよー」
と相成って、「嘉門達夫」が深夜のポテトキッドで誕生した。
・標高僅か48メートルの、丘の上の放送局。
僕らはその丘を目指し、丘の上で綺羅星になろうと思った。
輝けると信じていたし、 そこは輝けるチャンスを手に入れられる場所だった。
それぞれの四十年が去来する。