「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「地球星人」(村田沙耶香)

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地球星人

地球星人

 

 村田沙耶香といえばコンビニ人間芥川賞を受賞したよね。ワタシは『しろいろの街の、その骨の体温の』で衝撃を受けた。

 

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この本はそれを超えた衝撃がっ!!!「衝撃のラストにあなたの常識が破壊される!?
コンビニ人間
をはるかに超えた、驚愕の芥川賞受賞第一作。なにがあってもいきのびること。恋人と誓った魔法少女は、世界 = 人間工場と対峙する」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・「もう一回、決まり事つくろうか。恋人になったときみたいに。夫婦になったから、新しい決まり事をつくろう。そのいち他の子と手をつないだりしないこと。そのに、寝るときには指輪をつけて眠ること。さん、なにがあってもいきのびること
 
 
私は、人間を作る工場の中で暮らしている。私が住む街には、ぎっしりと人間の巣が並んでいる。蚕の部屋に似ているかもしれないずらりと整列した四角い巣の中に、つがいになった人間のオスとメスとその子供がいる。つがいは巣の中で子供を育てている。私はその巣の中の一つに住んでいる。ここは、肉体に繋がった人間工場だ。私たち子供はいつかこの工場をでて、出荷されていく。出荷された人間は、オスもメスも、まずはエサを自分の巣に持って帰れるように訓練される。世界の道具になって、他の人間から貨幣をもらい、エサをもらう。やがて、その若い人間たちもつがいになり、巣に籠もって子作りをする。五年生になったばかりのころ、性教育を受けて、私はやっぱりそうだったのかあ、と思った。私の子宮はこの工場の部品で、やはりい同じように部品である誰かの精巣と連結して、子供を製造するのだ。オスもメスも、この工場の部品を身体の中にかくして、巣の中を蠢いている。
 
 
私は由宇と結婚したけれど、由宇は宇宙人だからたぶん子供はつくれない宇宙船が見つからなければ、私はきっと他の誰かとつがいになって、世界のために人間を産まなくてはいけなくなるだろう。そうなるまえに、どうか宇宙船が見つかりますように。
 
 
私はこの街で、二種類の意味で道具だ。一つはお勉強を頑張って、働く道具になること。一つは、女の子を頑張って、この街のための生殖器になること。私は多分、どちらの意味でも落ちこぼれなのだと思う。
 
・「それを身体の中に入れたら、私、由宇の皮膚の中に行けるのかな?」「わからない。そんなこと、本当にできるのかな」私たちは、私の足の間にもあるはずの内蔵を探した。二人で私の粘膜を開いて穴を開け、由宇の内蔵をゆっくりそこに差し込んだ。そのとき、不思議なことが起こった。内臓の一部を繋げただけなのに、私は由宇の身体の中を泳いでいた「行けた。由宇の皮膚の中に行けた。遠くへ来た感じがする。由宇と一緒に、すごく遠くて近い場所に、来た感じがする」由宇は私の内蔵の中で溺れているみたいで、あんぐりとおあけた口からは透明な唾液がたれていた。私は由宇から落ちてきた水にさわった。自分は生まれてからずっと、ここの来たかったんだと思った。痛みより安堵が勝っていた。私たちの内蔵は、水の音をたてながら混ざり合っていた。お腹の中で、私たちは互いの体温を静かに食べていた。
 
大人は子供を性的処理に使うのに、子供の意思でセックスしたら馬鹿みたいに取り乱している。笑えて仕方なかった。お前たちなんて世界の道具のくせに私の子宮は今この瞬間、私のためだけにある。大人に殺されるまでは、私の身体は私のものなのだ。
 
世界に従順な大人たちが、世界に従順ではなくなった私たちに動揺していた。大人たちだって麻酔にかかっている。麻酔にかかる前の記憶がないみたいに。気が狂ったように騒ぎ続けている大人たちが、私にはなにかの魔術にかかっているように見えた。

 

このラスト、なんと表現したらよいのか。村田沙耶香はセックスの描写力がスゴいよね。今年のベスト10間違いなし!超オススメです!(・∀・)

 

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地球星人

地球星人