村田沙耶香といえば『コンビニ人間』で芥川賞を受賞したよね。ワタシは『しろいろの街の、その骨の体温の』で衝撃を受けた。
この本はそれを超えた衝撃がっ!!!「衝撃のラストにあなたの常識が破壊される!?
『コンビニ人間』をはるかに超えた、驚愕の芥川賞受賞第一作。なにがあってもいきのびること。恋人と誓った魔法少女は、世界 = 人間工場と対峙する」そのエッセンスを紹介しよう。
・「もう一回、決まり事つくろうか。恋人になったときみたいに。 夫婦になったから、新しい決まり事をつくろう。 そのいち他の子と手をつないだりしないこと。そのに、 寝るときには指輪をつけて眠ること。さん、 なにがあってもいきのびること」
・私は、人間を作る工場の中で暮らしている。私が住む街には、 ぎっしりと人間の巣が並んでいる。 蚕の部屋に似ているかもしれない。 ずらりと整列した四角い巣の中に、 つがいになった人間のオスとメスとその子供がいる。 つがいは巣の中で子供を育てている。 私はその巣の中の一つに住んでいる。ここは、 肉体に繋がった人間工場だ。私たち子供はいつかこの工場をでて、 出荷されていく。出荷された人間は、オスもメスも、 まずはエサを自分の巣に持って帰れるように訓練される。 世界の道具になって、他の人間から貨幣をもらい、エサをもらう。 やがて、その若い人間たちもつがいになり、 巣に籠もって子作りをする。五年生になったばかりのころ、 性教育を受けて、私はやっぱりそうだったのかあ、と思った。 私の子宮はこの工場の部品で、 やはりい同じように部品である誰かの精巣と連結して、 子供を製造するのだ。オスもメスも、 この工場の部品を身体の中にかくして、巣の中を蠢いている。
・私は由宇と結婚したけれど、 由宇は宇宙人だからたぶん子供はつくれない。 宇宙船が見つからなければ、 私はきっと他の誰かとつがいになって、 世界のために人間を産まなくてはいけなくなるだろう。 そうなるまえに、どうか宇宙船が見つかりますように。
・「それを身体の中に入れたら、私、 由宇の皮膚の中に行けるのかな?」「わからない。そんなこと、 本当にできるのかな」私たちは、 私の足の間にもあるはずの内蔵を探した。 二人で私の粘膜を開いて穴を開け、 由宇の内蔵をゆっくりそこに差し込んだ。そのとき、 不思議なことが起こった。内臓の一部を繋げただけなのに、 私は由宇の身体の中を泳いでいた。「行けた。 由宇の皮膚の中に行けた。遠くへ来た感じがする。由宇と一緒に、 すごく遠くて近い場所に、来た感じがする」 由宇は私の内蔵の中で溺れているみたいで、 あんぐりとおあけた口からは透明な唾液がたれていた。 私は由宇から落ちてきた水にさわった。 自分は生まれてからずっと、ここの来たかったんだと思った。 痛みより安堵が勝っていた。私たちの内蔵は、 水の音をたてながら混ざり合っていた。お腹の中で、 私たちは互いの体温を静かに食べていた。
・大人は子供を性的処理に使うのに、 子供の意思でセックスしたら馬鹿みたいに取り乱している。 笑えて仕方なかった。お前たちなんて世界の道具のくせに。 私の子宮は今この瞬間、私のためだけにある。 大人に殺されるまでは、私の身体は私のものなのだ。
・世界に従順な大人たちが、 世界に従順ではなくなった私たちに動揺していた。 大人たちだって麻酔にかかっている。 麻酔にかかる前の記憶がないみたいに。 気が狂ったように騒ぎ続けている大人たちが、 私にはなにかの魔術にかかっているように見えた。
このラスト、なんと表現したらよいのか。村田沙耶香はセックスの描写力がスゴいよね。今年のベスト10間違いなし!超オススメです!(・∀・)