「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ヨコハマメリー かつて白化粧の老娼婦がいた」(中村高寛)


ヨコハマメリー:かつて白化粧の老娼婦がいた


横浜に住んで25年。ごくまれに耳にするのがヨコハマメリー五大路子さんが「横浜ローザ」という一人芝居をやっていたよね。


メリーさんとは、いったい何者だったのか?時代とともに〈ヨコハマ〉の町が変遷していく姿を背景に、謎めいた〈ハマのメリーさん〉の鮮烈な全貌を描くドキュメント!歴史の中に埋もれていた幕末以来の〈娼婦たち〉を掘り起こし、〈メリーさん〉の周辺に生きる人々の人生を見つめた渾身の実録!」そのエッセンスを紹介しよう。


メリーさんは、横浜の有名人だった。歌舞伎役者のようなメイクに全身真っ白の洋服を身にまとったお婆さん。メリーさん以外にも、白塗りお化け、ホワイトさん、白髪ばばあ、しろしろ仮面など、世代や地域によってその呼び名はいくつもあった。


・「メリーさんって町の風景なんだよね。メリーさんは町の一部なんだって思いがあったの。町のシンボルってあるじゃない。町のどこどこに大きな木があって、その木を皆が知っていてそれによって町が形作られている。そんなものだと思ったの」


・「当時でも、お客さんはいたって。尺八専門って言っていた。総入れ歯らしいんだけど、これを外してもらうフェラチオが堪らないんだって。若い時は、潤うからピストン運動もしやすいしね。だけど50、60になって更年期やら、生理があがっちゃうと、女の人の身体って濡れないじゃない。それは本人もわかっているから。もう総入れ歯を取って、歯茎でしごくのが、男性には堪らないんだって」


・「若い頃は外人専門だったんだけど、だんだん外国人が少なくなったでしょ。それで日本人のお客を相手にするようになって、最後はそういうこともしていたみたいね」


・「可哀想な人とか、お金を持っていない人には、逆にお金をあげていたんですって。それで付いたあだ名が、仏のメリーだって


五大路子「凛とした目の輝きに吸い寄せられて、それが『あなた、私をどう思うの。私がどうやって生きてきたと思うの。答えてちょうだい』っていう問いかけに感じたんです。もうまさに襟首をつかまれたような思いだったんですね。それで隣にいた方にお聞きしたら『あの方は、メリーさんといってね、横浜の大事な財産なんですよ』って」


・「メリーさんがあの白い格好を続けていたのは、恋人が戻ってきてもすぐにわかるようにするために決まっているじゃない」


・「横浜の男の人ってメリーさんに声をかけられるっていうのは、非常に光栄なことなんだそうです。それには条件があるって。眼鏡をかけている、イコール、頭がいい。太っている、イコール、お金がある。それから色が黒い、健康的だ。その三条件を満たした男の人じゃないとメリーさんは声をかけない」


……戦前戦後の古きヨコハマってこんな時代だったんだね。実に考えさせられるなあ。オススメです。(・∀・)



ヨコハマメリー:かつて白化粧の老娼婦がいた