「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ショージ君の南国たまご騒動」(東海林さだお)

 


ショージ君の南国たまご騒動 (文春文庫)


またまた大好きな東海林さだお氏の本。とある方が、東海林さんの最高傑作がこの本のなかにある「ホテルについて」があるというので、読みました!確かに!ケッサク!!!(・∀・)!!!


「ヤシの木と木の間にハンモックを吊り、それに横になって南国の青い空を見ながら南国のビールを飲む。軽い読物なんかを読む。波の音を聞きながらいつしか眠りに落ちる、なぁーんてヤシの木にこだわって軽い気持でフィジーにやってきたものの、生たまご一つ買うのに大騒動、いまはやりの国際摩擦まで引き起こしちゃった」そのエッセンスを紹介しよう。


【ホテルについて】


ホテルというところは恐ろしいところである。ホテルの人は、客を馬鹿にしようと待ち構えているからである。ホテルは、エチケットとかマナーとか、しきたりとかを山のようにどっさり用意していて、それに違反した人をなんとかして馬鹿にしよう、なんとかして笑ってやろう、いたぶってやろう、そう思って待ち構えているのである。客のほうは、なんとかして馬鹿にされまい、きょうこそは笑われまい、とエチケット事典などを読み返して出かけていくのだが、それでもダメである。こっちが「ホテルで馬鹿にされないための百例」などという本を読んで出かけて行っても向こうは「ホテルで馬鹿にするための千例」というのを用意して待ち構えているのである。勝負は目に見えている。ホテルスタッフは「馬鹿にする要員」なのである。人を馬鹿にしてお金をもらっているのである。


【スーパーについて】


どういうわけか、たいていのスーパーはまず野菜から始まる。これはなぜか。思うに、たとえばいきなり肉、魚などだと、これらはいちおう死骸の部類に属するものなので「いきなり死骸を並べておくのは果たしてどういうものか」というような論議が、全国スーパー連合会などというところでなられ、「むしろあたりさわりのない野菜、このへんから入っていただいて少しずつ死骸のほうに近づいていただく、このほうが心理的にも動揺が少ないのでは」と、いうようなことになってこういうことになった、と考えるのが妥当ではないだろうか。


【後楽園球場の売り子について】


巨人がらみにナイターで平均3万、巨人−阪神なんかは、3万8千〜4万人、売り子さんはだいたい400人。超満員だとかえって売上が減ります。売り子が動けないんですね。観客から「見えない」って怒られる、ぶつかって怒られる。売るに売れないわけです。売り子は8割が高校生、2割が大学生。この仕事はきついですから従業員ではとても続きません。やはり若い人じゃないと・給料は歩合制で売る品物によって違う。例えば弁当は定価の3%。少ないようですが売れますし、金額も張る。しかし重い。弁当1個600グラムを30個40個持って売りに出かけますので25キロくらいにはなる。1試合2000円が最低保証、650円が交通費。夕方4時からだいたい10時拘束される。募集方法は口コミ。後楽園球場の全体、売店も含めて年間総売上が24億から25億。20キロ以上のものを抱えて坂道を昇り降りして歩きどおしで10キロ歩きますからね。坂道を。

「客は目で買う」ってよくいうんですよね。だから一人ずつ、ずうっと顔を見ていくわけです。漠然とスタンドを眺めていたんじゃダメ。一人ずつ顔を見る。声を出しながら上下に動く。それからね、たくさん持ってないどダメですね、品物は、山積みだと売れる、つい買おうって気になるんですね。育ちのよさそうなのは向きませんね。勝ち気ぐらいでないと。


【デパートについて】


紳士服売場は、どこのデパートも閑散としていて客が少なく、そのかわり店員が多い。店員が林立している、といってもよいほどである。要所要所に、獲物を待つ怪獣のように待ち構えているのである。誤ってここに足を踏み入れてしまったら、客は瞬時の停滞も許されない。あくまで歩行の速度をゆるめず、一刻も早い脱出を計るべきである。立ち止まるなどとんでもないことである。


【銭湯について】


ぼくの仕事ばの風呂の浴槽がきわめて小さい。手足を思いきり、どころか、ほんの少しさえ伸ばすことができない。風呂にはいる、というより、風呂にはいりこむといったほうがいいくらいだ。「さあて、風呂にはいるか」というより「さあて、風呂にはまりこむか」といいたくなるくらい小さいのである。なんとなく漬物に似ている。人間のお湯漬けである。


その他、「パチンコについて」「テレビについて」「フィジー島」「ビールのおつまみについて」「暑さについて」「正月について」「沖縄旅行」など。


わかる、わかる〜!!!よくぞ代弁してくれました!そのとおり!超オススメです。(・∀・)



 


ショージ君の南国たまご騒動 (文春文庫)