今年こそ!全作品読破を目指している東海林さだおさんの本。いいねえ、いやしだね〜!慌ただしい世の中で、この文章で癒やされるのだ。初版は昭和62年だよ!ワタシが大学を卒業した年じゃん!(笑)
「ショージ君にはいくつもの顔がある。ある時はスルドイ定食評論家、ある時はミステリー作家ばりに、新聞の三行広告に隠されたナゾを解く。そうかと思えば、いつの間にやら粋人に大変身、おっしょさんと口移しで小唄の稽古「うめェは/咲いたかァ」なのである。はたまた旅を極めんと、はとバスに乗れば二階席で大興奮、八丈島では泳げないけどダイビングにチャレンジ。神出鬼没、変幻自在、融通無碍、サンダル履きで闊歩する、これぞショージ君流東京大遊覧!」そのエッセンスを紹介しよう。
・起きると、寝たいだけ寝て、寝飽きると起きる。起きると、 まずパジャマを脱ぎ捨て、パンツ一つになる。いうまでもないが、 この時点で身につけているのはパンツのみである。ここから、いよいよ身仕度に取りかかるわけである。だいぶ前に、自動車の組立て工場を見学したことがあるが、 組立て控除の入口のところに最初に登場するのは、 シャーシーとかいう車輪もまだ付いていない車の土台だった。 ベルトコンベアに乗って、これが少しずつ移動するたびに、 シートとか屋根とか車輪が装着され、エンジンが装着され、 内装が施されていって出口のところでは一人前の自動車となって、 自らエンジンをふかして工場を出ていく。 いってみればこの時点のぼくは、 工場入口の土台ということができる。 これからいろんなものが体に装着されていって、 やがて一人前の人間になって世間に出て行くことができるようにな るのだ。
・旅館の浴場はすべて「大浴場」ということになっている。「 大展望風呂」「大ジャングル浴場」「大ローマ風呂」など、必ず「 大」の字がついている。なかには「大パノラマ大展望風呂」 などと大の字が二つもついているのである。 しかし例外なくそれほど大きくない。どうみても「中」ないし「 小」規模の浴場ばかりである。大の字は、 風呂ではなく展望のほうを修飾しているらしいのだ。
・この夏八丈島へ行った。八丈島はとてもよかった。 まず一行が良かった。一行21名中、 女性が11名という高含有率だったのである。 果物のジュースなどでも、果汁の含有率が高いほどおいしい。 果汁10%のジュースより30%のほうがおいしいし体もよい。 われわれ一行の含有率は、実に50% を超えていたのだからまずかろうはずはないし、 体にもとてもよかったように思う。
その他、「テレビ・ウォッチング」「待つ」「洗濯」「三行広告」「 スポーツの持つ病い」など。
いいなあ。この頃から文体は変わっていないんだね。オススメです!(・∀・)