天才、東海林さだおさん。この本は1979年12月初版だから、もう40年前。そのときから文章のスタンスが変わっていない!これはスゴイ!♪
「Gパンをカッコよくはきたいと思えど、Gパンはあまりにも細く、わが腹はあまりに太し。仕方ない、せめて新しいステテコでもはいて気ままな旅に出ようじゃないの!?」そのエッセンスを紹介しよう。
・マキシム・ド・パリで、背後にひっそりと立って、 客の動向を監視している、黒背広のボーイ。メシを食うときに、 うしろに立っているボーイぐらい邪魔なものはない。 あれさえいなければ、心おきなく、 自分のやりたい方法でメシが食えるのだ。 監視つきでメシを食うのは、刑務所の中ときまっている。 彼らはなんのためにああして立っているのかというと、 客がなにかヘマをしたら、 すぐ馬鹿にしようと思って立っているのである。「 高級レストランでボーイに馬鹿にされる実例集」 とでもいうような物があるのだ。
・「とらや」は、実にもうなんでもある食堂である。「そばの部」 「中華そばの部」「和食の部」「寿司の部」「飲み物の部」 と分かれていて、「飲み物の部」には、サイダー、コーラ、 カルピス、スプライト、リボンシトロン、味噌汁、 とあるのには驚いた。確かに味噌汁は飲物には違いないが。
・その昔、中学生のころ草深い田舎の野球チームの、 不動の二塁手だったのである。どのくらい不動かというと、 そのチームの構成員が9名ちょうどであったので、 動かそうにも動かしようがないほど不動だったのである。 打順は7番。これまた不動の7番であった。 どう不動であったかというと、打順もこのあたりにくると、 最果てという感じで、 多少動かしてもどうしようもないということで不動なのであった。
・ぼくはタバコはセブンスターと決めた理由は、 なんとなくノドによさそうだ、ということである。 なぜセブンスターはノドにいいのかというと、 包装が白いからなのである。 なぜ包装が白いとノドにいいかというと、 龍角散が白いからなのである。龍角散はノドの薬である。 そして白い粉末である。白いものは、 なんとなくノドにいいような気がする。 したがってセブンスターは白いからノドによい、 こういうことになる。 こうした理路整然とした三段論法ならぬ四段論法によって、 ぼくはセブンスターを愛好しているのである。
・「オッ、そこにおそろしく名前の長い弁当がありますな」「 読んでみましょう。エー『 三波春夫特別講演15周年記念特別献立記念手拭月幕の内吸物付』 とありますな」「じゃ、 その三波春夫特別講演15周年記念特別献立記念手拭月幕の内吸物 付というのを食べましょうか」「 では三波春夫特別講演15周年記念特別献立記念手拭月幕の内吸物 付というのを2つください」「ハイ、一つ千円です」名前が長く「 特別」が二つついているわりには、 ごくふつうの幕の内弁当である。
「面白半分」どことじゃない!「面白全部」だね。オススメです!(・∀・)♪