「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「サピエンス全史 (下)文明の構造と人類の幸福」(ユヴァル・ノア・ハラリ)

 


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福


今年読んだ本の中でベスト3入りは間違い無しのこの本。「ビジネス書大賞2017 大賞受賞」「ビジネス書グランプリ2017 リベラルアーツ部門 第1位」だという。やっぱりそうか!オモシロイもんね。(・∀・)


「サピエンス全史 (上)文明の構造と人類の幸福」(ユヴァル)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20180409


ようやく(下)巻を読みました。以前から漠然と考えていた数々の疑問が解決したっ!「なぜ人類だけが文明を手にしたのか?アフリカで暮らしていた取るに足りない生物であったホモ・サピエンスは、なぜ食物連鎖の頂点に立ち、文明を打ち立て、地球を支配するまでに至ったのだろうか?ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著、ついに邦訳」そのエッセンスを紹介しよう。


今日、なぜデンマーク語ではなく英語がこれほど行き渡っているのか?なぜキリスト教徒は20億、イスラム教徒は12億2500万もいるのに、ゾロアスター教徒はわずか15万人しかおらず、マニ教徒はまったくいないのか?もし一万年前に戻って何度も一からやり直したら毎回必ず一神教が台頭し、二元論が衰退するのを目にすることになるのだろうか。そのような実験はできないから、本当にどうなるかは知りようがない。だが、歴史の持つ二つのきわめて重大な特徴を考察すれば、多少の手がかりは得られる。


・もしコロンブスの水夫の一人が眠りに落ち、21世紀のiphoneの着信音で目覚めたとしたら、そこには理解し難いほど奇妙な世界に思えるだろう。「ここは天国か?」と彼は自問するかもしれない。「それとも、ひょっとしたらー地獄か?」


過去500年間に、人間の力は前例のない驚くべき発展を見せた。1500年には全世界にホモ・サピエンスはおよそ5億人いた。今日、その数は70億人に達する。人口は14倍、生産量は240倍、エネルギー消費量は115倍に増えたのだ。現代の戦艦が一隻、コロンブスの時代にタイムスリップしたとしよう。その戦艦は、ほんの数秒のうちにニーニャ号とピンタ号とサンタ・マリア号を木っ端微塵にし、それから当時のすべての大国の軍艦を撃沈できるだろう。自分はかすり傷一つ負わずに。


16世紀になるまでは、地球を一周した人間は1人もいなかった。1522年、マゼランの遠征艦隊が7万2000キロメートルの旅を追えてスペインに帰り着いたとき、歴史が変わった。この旅には3年かかり、マゼランを含め、ほぼ全員が命を落とした今日ではわずか48時間で安全かつ手軽に地球を一周できる


19世紀になってさえ、どれほど優秀な医師も、感染を防ぎ、組織の腐敗を止める方法を依然として知らなかった野戦病院では壊疽(えそ)を恐れて、軽い傷を負っただけの兵士の手足を軍医が切り落とすのは日常茶飯事だった。こうした切断手術や他の医療処置(抜歯など)はすべて、麻酔なしに行われた。最初の麻酔薬がようやく西洋医学で日常的に使われだしたのは、19世紀半ばになってからだった。


軍事・産業・科学複合体が、インドではなくヨーロッパで発展したのはなぜか?イギリスが飛躍したとき、なぜフランスやドイツやアメリカはすぎにそれに続いたのに、中国は遅れを取ったのか?蒸気機関を設計し、機関銃を製造し、鉄道を敷設するのは、中国やオスマン帝国の人々にとってそれほど困難だったのか?


ほとんどの人は、自分がいかに平和な時代に生きているかを実感していない。かつて世界が今よりもはるかに暴力的であったことはあっさり忘れられてしまう。戦争が稀になるにつてれ、個々の戦争への注目度は増す。2000年には戦争で31万人が亡くなり、暴力犯罪によって52万人が命を落とした。犠牲者が一人出るたびに、一つの世界が破壊され、家庭が台無しになり、友人や親族が一生消えない傷を追う。


・2002年には、5700万人に死者のうち、戦争による死亡者は17万2000人、そして暴力犯罪による死亡者は56万9000人、これに対して、自殺者は87万3000人にのぼった。一般の人々は、テロリストや兵士、あるいは麻薬の売人に殺されるよりも、自殺する可能性のほうが高かったことが、この結果からわかる。


過去500年間には、驚くべき革命が相次いだ。地球は生態的にも歴史的にも、単一の領域に統合された。経済は指数関数的な成長を遂げ、人類は現在、かつてはおとぎ話の中にしかありえなかったほどの豊かさを享受している。科学と産業革命のおかげで、人類は超人間的な力と実質的に無限のエネルギーを手に入れた。その結果、社会秩序は根底から変容した。政治や日常生活、人間心理も同じだ。だが、私たちは以前より幸せになっただろうか?過去5世紀の間に人類が蓄積してきた豊かさに、私たちは新たな満足を見つけたのだろうか?尽きることのなに至福への扉を開いたのだろうか?世界は暮らしやすい場所になったのだろうか?


・もし、そうでないいとすれば、農耕や都市、書記、貨幣制度、帝国、科学、産業などの発達には、いったいどのような意味があったのだろう?経済成長と自立が人々の幸せを増大させないなら、資本主義にはどんな利点があるのか?


・興味深い結論の一つは、富が実際に幸福をもたらすことだ。だがそれは一定の水準までで、そこを超えると富はほとんど意味を持たなくなる。病気は短期的には幸福度を下落させるが、長期的な苦痛の種となるのは、それが悪化の一途をたどったり、継続的で心身ともに消耗させるような痛みを伴ったりする場合に限られるという。


・宝くじに当選したり、家を買ったり、昇進したり、真実の愛を見つけたりしたとしても、幸せになれる人は誰一人としていない。人間を幸せにするのは、ある一つの要因、しかもたった一つの要因だけであり、それは体内に生じる快感だ


・既婚者が独身者や離婚した人たちよりも幸せであることは事実だが、それは必ずしも結婚が幸福をもたらすことを意味しない。幸せだからこそ、結婚できたのかもしれない。


・人間には数々の驚くべきことができるものの、私たちは自分の目的が不確かなままで、相変わらず不満に見える。自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?


その他、「ベルトコンベアー上の命」「宗教という超人間的秩序」「歴史の必然と謎めいた選択」「無知の発見と近代科学の成立」「科学と帝国の融合」「拡大するパイという資本主義のマジック」「産業の推進力」「国家と市場経済がもたらした世界平和」「文明は人間を幸福にしたのか」「超ホモ・サピエンスの時代へ」など。


人類必読の書とともに、歴史の教科書はこれに指定すればいいのに。何度も何度も繰り返したい本。超オススメです。(・∀・)


 


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福