「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「サンマの丸かじり 36」(東海林さだお)

  


サンマの丸かじり (丸かじりシリーズ36)


またまた読みました、東海林さだおのユルユル食エッセイ。「日々の観察と食へのあくなき好奇心は健在。抱腹絶倒の東海林ワールド、第36弾」そのエッセンスを紹介しよう。


キャベツについて深く考えている人はいない。人々のキャベツに対する認識は薄い、というより、ない。それほどキャベツは人々の関心を呼ばない。だが、野菜はときどき暴騰する。ひとたび野菜暴騰ということになると、とたんにキャベツに注目が集まる。急に野菜代表という存在になる。


冷やし中華は、黒澤明監督の映画「七人の侍」に似ている。リーダーの麺のもとに、ハム、キュウリ、錦糸卵、クラゲ、蒸し鶏、紅生姜などが馳せ参じる。この「リーダーのもとに馳せ参じる」というかたちで成り立っている麺は意外に少ない。きつねうどんは、うどんのもとに油揚げしか馳せ参じない。月見うどんは、卵しか馳せ参じない。そうした麺からすれば、冷やし中華はちゃんとしたチームを形成している。そして具の面々の一人一人に大義がある。


・果物を剥いているひととき。パンにバターを塗っているひととき。納豆をかきまぜているひととき。この三つが“キッチンでふと物を思う三大ひととき”、“キッチンにおける三大しみじみのひととき”とも呼ばれている。


あなたは穴に対してどういうイメージを持っていますか。穴というのは、障子の穴、靴下の穴、道路の穴、家計の穴など、いけないもの、よくないもの、あってはならないもの、そういう印象を持ったのではないですか。そして誰もが「この穴をこのまま放っておくわけにはいかない。何とかしなければならない」と考える。穴埋め、という言葉があるように、まず、“埋める”ことを考える。しかるに、チクワの穴に対して、人々はどのように対処しているでしょうか


ナメコの味噌汁となると誰もが身構える。日本にはこうした身構え物、アフアフ物といわれている食べ物がいくつかある。ナメコの味噌汁を代表して、カレーうどん、鍋焼きうどん、焼きたての餃子などがそれに当たる。そうか、四品だな、などと安心していると、鴨南蛮が五番手としてひかえているから油断がならない。


太巻きは異常である。どう考えたって普通じゃない。太さのことである。太いにもほどがある。太ぇ奴だ。


牛蒡(ゴボウ)。陰気な野菜。見た目がクライ。人参は見た目が明るい。ゴボウは色が土気色で、全体にヒョロヒョロしていて、健康に問題があるというか、病身というか、そういうイメージがある。「牛蒡」という字も何だかアヤシイ。植物の名前になぜ牛が出てくるのか。何かいわれがありそうで、そのいわれも暗い内容のいわれで、というように、どうしても話が暗くなっていく。いつも孤独なゴボウだから、お友だちも少ない。お友だちも少ないから、料理のレパートリーも少ない。


ああ〜オモシロすぎる。アタマの疲れはやっぱり東海林さだおの文章がイチバンのクスリだね。オススメです。(・∀・)


  


サンマの丸かじり (丸かじりシリーズ36)