「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「SMAPと平成」(中川右介)


SMAPと平成 (朝日新書)


早いもので「平成」も30年近くになるんだよねー。大尊敬申し上げる天皇陛下も2019年には退任されるという……時の流れは早いよねえ……。(´⊙ω⊙`)


さて、この本。「平成の代を終えたい」と明仁天皇が宣言した直後にSMAPの解散が決まる。かつて昭和天皇が亡くなった数カ月後に大スター美空ひばりが亡くなったことで、人々は「昭和の終わり」を実感したように、私たちは今一つの時代の終わりを肌で感じているバブル崩壊、大震災・原発事故、政権交代……平成とはいったい何だったのか。本書はその時代の歴史を、SMAPを前面に立てて概説する試みである。そのエッセンスを紹介しよう。


平成という時代と「SMAPの時代」とは、不思議なまでに合致する。平成の始まりとSMAP結成はほぼ同時だった。そして平成の代を終えたいと明仁天皇が宣言した直後にSMAPの解散が決まった。もちろん、単なる偶然である。だが「芸能」というものは古代から神に近いところにある。芸能人のルーツは巫女でり、「舞踊」は宗教行事として発展していったものだ。それなりに長いこの平成という時代、ずっとトップの地位を保っていたのは、天皇SMAPしかいない。いったい、総理大臣はこの間に何人交代しただろう。


・稲垣と香取以外は、小中学生でありながらもスポーツ選手としての実績にあった。彼らにとってアイドルは、どうしてもなりたいものではなかったようだ。


既存の演劇界と歌謡界に、ジャニーが求めるタレントはいなかった。しいて言えば、宝塚劇団にはそういう人材はいたが、彼は女性には興味がない。ジャニーは、歌って踊れる少年を集め、養成するところから始めなければならなかった。そのために「歌」や「演技」のうまい子を探すのではなく、スポーツ少年に目を付けたのが、ジャニーの天才を物語る。SMAPは「Sports Music Assenble Peaple」の略。もしかすると、SMAPというグループ名は、ジャニー喜多川の理想がこめられたものだったのかもしれない。


・確実に言えるのは、SMAPは6人が自分たちの意思で結成したのではないこと。日本芸能史で空前絶後の成功をするグループでありながら、したがって、SMAPにはレコードデビューや、初コンサートといった記念日はあるが、結成の日は曖昧だ。6人は集められ、SMAPというグループ名と、今後の方針を伝えられた。ドラマうや舞台のオーディションをどんどん受けること、歌手デビューはまだ先であること、専属のマネージャーはつけない、電車で通うことーそんな方針だった。


・つまり6人はグループではあるが、個々に芸能活動をしろというのだ。それならばなぜグループにするのか。結果として成功したので、この方法はアイドルグループのあり方を決定的に変えた「革命」として評価されるが、それは結果論である。


SMAPの楽曲は全員が歌う部分でも、全員が同じメロディを歌うユニゾンばかりだ。これを捉えて「彼らは歌唱力がなくてハモれないからだ」と批判される。だがハーモニーではなくユニゾンなのは、ジャニーズ事務所の伝統でり、これはジャニーズまで遡る。つまりはジャニー喜多川の戦略なのだ。ファンが一緒に歌える。ファンと交流するためのツールなのだ。


SMAPはいつの間にかトップスターになっていた。親しみやすく、偉ぶらず、それでいて輝いていて、自由気ままなようで真剣に仕事をしてくという、これまでにないタイプのアイドル、スターとして、世の中に受け入れられ、空気のように当たり前の存在となっていく。


その他、ジャニー喜多川という謎めいた人物」「「たのきん」で始まる80年代アイドル黄金時代」「光GENJIというハリケーンの中で」「『ザ・ベストテン』終了ー歌謡曲の終焉」「SMAPは平成のクレージーキャッツ」「田原俊彦の独立と苦難」など。


これは新しい切り口だね。実にオモシロイ。超オススメです。(╹◡╹)



SMAPと平成 (朝日新書)