昔、大好きだった漫画家のつげ義春氏。ふと思い出してどうしているのかなあ…と思ったときにこの本に出会いました。図書館っていいねえ。
「コンビニエンス会社のトップ経営者、AV監督、老人ホーム園長、大物知事、バブル崩壊で苦吟する実業家兼歌手、政界再編を仕掛け挫折した労働界のドンなど1990年代の日本を象徴する快人・怪人15人」そのエッセンスを紹介しよう。
【不安と休筆と貧困とーつげ義春・漫画家】
「眼が悪いんです。ふだんの生活に支障はないんですが、集中すると眼の中に花火のようなものがチラついて、とてもマンガが書けるような状態ではないんです。ひと月の生活費は17万円と決めています。ムダな出費はしないよう、昔から肝に銘じているんです。親子三人、どうにか印税収入でやっていけるんです」
「紅い花」にしろ「山椒魚」にしろ、つげの作品はどれも水への偏愛とそれゆえの忌避が遠い心音となっている。
【悲しき性の突撃兵ー村西とおる・AV監督】
「アートに生きているわけではございません。ひたすら金儲けでございます。ですからバンバン作ります。苦しくないか?いえいえ、リゾート感覚でつくっておりますから。ご心配いりません。親からもらった丈夫なこの体。そしてなめらかなこの口調。私にとってアダルトビデオはまさに天職です。ホントナイスですね」
「黒澤明は雨が降ったら撮影を中止しますが、私は女優の生理が始まっても撮影を続けます。片手にティッシュ、片手に早送りのリモコンスイッチを握った3500万AVファンが待っているからでございます」
【百円で辞書まで売る男ー矢野博丈・ダイソー社長」
「(ダイソーには屑入れだけで80種類以上、バケツで60種以上ある)揃えんといけんのです。バケツが5種類しかなかったら、誰でもこの業界に参入してきて、ダイソーなんかすぐ潰されます。だから、原価を高いものいっぱいつくって参入させんようにせい、といいつもいうとるんです。在庫が多いということは、精神的に非常に心地いいですねえ」
「僕はいつも、5年、7年で潰れるって社員にいうんです。僕は30年間、予算をつくったこともない、ノルマにしたこともない、目標にしたこともない、経営計画をつくったこともない。もう出た数字が「数字」で、かかった経費が「経費」です。勝手に大きゅうなったんです。「大きくすな、大きくすな」いいながら、大きゅうなってしもうたんですね。店は(経営者や従業員が)首吊りをしないためにあります」
その他「古本「巌窟王」の過剰なる人生ー谷口雅男「ふるほん文庫やさん」「借金王バブルを歌うー千昌夫・歌手兼実業家」「オーナー超えた“流通官僚”ー鈴木敏文・セブンイレブン会長」など。
いまから20数年間前の時代を感じるね。オススメです。(╹◡╹)