「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「スタートは四畳半、卓袱台一つ 漫画原作者 梶原一騎物語」


あしたのジョー」「巨人の星など、多くの作品を生み出した漫画原作者梶原一騎。人気の頂点から奈落の底へ。その波乱万丈の生き様を、死の間際まで見続けた妻・高森篤子が赤裸々に綴る!そのエッセンスを紹介しよう。


・2009年主人の23回忌法要を終えましたが、18歳のあの日から今日に至る45年間、私の隣にはずうーっと主人がいてくれている感覚で生きてきました。離婚中も亡くなってからも、そしてきっとこれからも、私のすべての基準は主人であり、主人にとって良い妻でありたいと思い続けてきました。主人は、夫であり師であり、そして父親的存在だったと、あたらめて認識しました。私の中にある私だけの思い出を二十有余年一人占めにしてきたのだと思い、主人の人間くらい部分や真面目な性格やステキな部分を、書き記したいと思いついたのです。


「何も知らない男の純情より、何もかも知った男の純情を分かってほしい」主人のプロポーズの言葉です。この男性と結婚しなくても、このステキな言葉を、一生覚えていたいと思いました。絶対に忘れたくないと思ったのです。言葉から浮かび上がってきたのは、知的で正直、加えて謙虚でひたむきな心です。


・主人の性格。寂しがり屋で見栄っ張り、甘えん坊、怠け者で勤勉、小心で大胆、やさしくて冷淡、親分肌で嫉妬深い、意地っ張り、ケチで太っ腹、注意深く優柔不断、常識的で破天荒、大酒飲みで女好き、愛情深く暴力的、純真で破廉恥、真面目、清潔で疑い深いなど、加えて、少年のような純粋さ純情さをあわせもち、繊細で神経質なのでした。


主人の全作品は、紛れもない主人の分身です。気高く生きた主人公は、主人時針がそうありたいと思った分身であり、また、闘争心の強い主人をそのまま投影した主人公であったりします。善だけの人間がいるわけではありません。悪だけの人間もいるはずはないのです。一人の人間のうちに潜む雑多な善悪を、人一倍、いいえ、人十倍、人二十倍もっていた主人です。特に心に負った傷や悲しみを、男として生きるために、自分自身に問いかけるという意味もあって生み出した主人公たちです。


「肉体労働の時は眠れば治るけどよう、頭脳労働の時は寝ても治らねえんだよ、あまりよく眠れねえしよう」


「人間というのはな、平素はつつましく坦々と日々の生活を送ってな、一見つまらなそうな毎日が、実は楽しいと思えるようになると自然に感謝の心が生まれるんだよ。毎日ステーキを食っててみろ、旨いともありがたいともおもわなくなるだろうが。毎日ステーキを食うことが豊かなんじゃねえんだよ!」


主人の願いは、皆様に幸多き人生を生きてほしいことでした。本人自身も気づいていなかった現世においての役割は、宗教や純文学では伝えられない精神世界のことを、万人に分かる劇画の世界を借りて伝えたことです。ですからたとえば、千人の人がもっている心の種類は主人の中にありました。一万人でも同じことです。千人の人間が生きてる間に経験するさまざまな出来事を、主人はほとんど経験済みです。良いことから悪いこと、正しいことから邪悪なこと、楽園から地獄、富から貧、喜びから悲しみまで。ですから主人の作品は、人間の360度を書いてあるのです。主人の50年の人生も、そのための50年でした。皆様の親に立つことを念じてー合掌。


特に「『空手バカ一代大山倍達氏のこと」は特に、マス・オーヤマファンの私には響きました。オススメです。(・∀・)!