「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「あぶさん」になった男 酒豪の強打者・永淵洋三伝(澤宮優)

私の大好きな野球漫画家、水島新司氏。(・∀・)その代表作であるあぶさんにはモデルがいた! 投げて、打って、走って、飲むプロ野球がもっとも豪快で魅力的だった時代を駆け抜けた男・永渕洋三の型破りな伝説を追う、本格スポーツノンフィクション。そのエッセンスを紹介しよう。



水島新司の人気漫画「あぶさん」のモデルが、本作の主人公の永淵洋三である。永淵は酒豪の強打者として近鉄バファローズで3番を打ち、昭和44年には首位打者になった。ファン投票で選ばれたこの年のオールスターゲームでは、朝まで日本酒を飲み、試合直前もビールを飲んで出場し、酩酊状態で第一打席に立った。打順は、パ・リーグの3番。二日酔いによる体の震えは、打席に立つとぴたりと止まった。焦点が合わなかった目からは、突如獲物を狙う鋭い眼光が放たれ、巨人のエース堀内恒夫の投球を右中間スタンドへ一直線に叩き込み、優秀選手賞を手にした。


北海道日本ハムファイターズ大谷翔平よりはるか40年前に、投手兼打者の二刀流として活躍したこと、それも代打で出て本塁打を打つと、次の回からマウンドに上がり、リリーフをこなし、次に外野を守る。別の試合ではリリーフでマウンドに上がり、完璧に抑えそしてライトを守り、3番を打つ。1試合で、投手、代打(打者)、野手の役目をこなすから二刀流というより「一人三役」である。


近鉄入団の同期も人を食っている。社会人時代に飲み屋に大きな借金を作ってしまい、契約金で返すためにプロに入ったという変わり種だ、そこで後輩たちの借金も一緒に返し、その経緯が記事になった。それを読んだ水島新司「こんな粋な男は珍しい」と感銘を受けて、景浦安武のキャラクターが出来上がったのだという。永淵がいなければ、景浦安武というキャラクターは存在しなかったのである。


・「三原さんとの出会いがなければ僕の野球人生はないですよ。三原さんだから僕を使ったんですよ。とにかく人物が違ってましたね。すべての面でものが違いました。あの人は総理大臣になっても大丈夫ですよ。それだけの器ですよ」


・永渕は、水割りを飲むことが多かった。肴はほとんど食べない。とくに何を話すわけでもなく、ぽつりぽつり話しながら飲んでゆくと、朝の5時になる。キャンプの時には朝8時から練習が始まる。練習中の注意も、二日酔
いで半分寝ているような状態で聞いている。だが試合では人が変わっったように活躍する


・「活躍して、今日は気分がいいから一杯飲もうかとなる。打てなかったら、今日は頭来たから飲もうかと。どっちみち飲むことは一緒ですね。試合が終わったときだけはほっとしますよ。買っても負けても寝るまでは気分は楽ですね。朝起きたらまた試合でしょう。気持ちの休まるときはなかったですね。そこで気分転換に酒になるのです」



・「プロに入ったら、なるべく練習をせんようにしていました。そんなに練習しよったら体力は持ちません。やるのは試合中の練習だけです。それもみんなの半分しか打ちません。体力を消耗しないようにロッカーでじっとしていました僕はピッチャーゴロで絶対走りませんよ。一生懸命走ったって暴投になるわけはありませんから。確率から言ってもそうですよ。僕なりに考えてやっています」


・「ライバルですか?他人のことは考えない。自分のことだけ。僕は僕の道を行くだけ。グラウンドを離れたら選手とは付き合わない。他の選手もそうだろう。飲みに行くのも一人。打つときは何も考えない。守備についているときは、今日はどこへ飲みに行こうかと考えることもある


・「夏場になると体はへばってよれよれだよ。とても野球のできる状態ではない。こう暑くては飯も喉を通らない。だから酒の量が増えて困る


・打撃に関する永渕の逸話がある。記者が少年野球の指導をしないのかと尋ねたときのことだ。即座に彼は答えた。「今でもバッティングがわからない。わからないのに教えることはできない」ここに剣豪宮本武蔵の信念を見ると言ったら、おおげさだろうか。


「酒を飲んだことも、野球を続けてきたのも、これっぽちも悔いはない。酒量が落ちたときに成績も落ちたよ」首位打者を取ったことも、3割を打ったことも強烈な印象は残っていないね。すべては過ぎ去った一日ですよ。もう少し節制すればとも思ったけど、僕は酒を飲むために野球をやったようなものだから。試合が終わったら飲みたくて飲みたくて仕方がなかった。だから子供にサインを頼まれても断った。頭の中はアルコールとバッティングのことしかない。でもね、酒が旨かったからね。酒を飲むと生きている実感がした


いいねえ、豪快そのものだねえ。こんな個性的な選手は空前絶後なんだろうねえ。オススメです。(・∀・)