子どもの頃、大阪万博の太陽の塔を見て、度肝を抜かれた!その作者が岡本太郎だった。そしてロバート・ブラウンのグラスの顔。「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」は忘れられない。あのパワーとエネルギーと個性はどこから来るのだろうか。
さて、岡本太郎という人間は、いかにしてできあがったか。どのようにして壁を乗り越え、闘い、「岡本太郎」という生き方をつかんでいったか。公私にわたるパートナーが、彼の命の痕跡を語る。そのエッセンスを紹介しよう。
・岡本太郎は人気漫画家の岡本一平と作家の岡本かの子の間に生まれ、恵まれた子ども時代を送ったと思っている人もいるようだけど、決してそうじゃないの。紐で柱に縛られたり、母親の恋人と父親と一緒に暮らしたり、今の時代だったら幼児虐待と言われかねない状況だった。おかしくなってしまっても、不思議じゃなかったのに。そんな家族関係のなかから精神の力で何かをつかみ取っていったののね。そこがすごい。
・岡本家の場合、とにかく人並みの親がやってくれることは、何もやってくれない。それは太郎さんも、まったく期待していなかったみたい。「僕は母親を持った覚えはないね。だけど、あれだけ生々し女で、濃厚に女として生きた女性と暮らしたのは誇りだ」と言っていました。お母さんをものすごく愛している。すごく共感を持っている。母親の背中を見て何か神聖なものを感じて。体が熱くなるほど共感したというのだから。かの子さんは、けっして親にならない。息子にも、女として対した。とにかく、すべてのことに一途でひたむきな女性。芸術にも、恋にも、人と人との関係にも。その一途さが、度を超していた。それだけ純粋だとも言えるけれど。それは。太郎さんにも共通している。
「守ろうとするから、弱くなる。そんなもの、ぶち壊してしまえ!」
「今日、分かったんだ。決意した。これからもし、道がふたつに分かれていて、こちらに行けばきっと死んでしまうだろうという道があったら、必ずそちらの道を選ぶ。危険な道、場合によっては命を落とすことになるかもしれない。マイナスのほうの道に進むことにした」
「マイナスを選ぶと決めて、みんな、2回や3回くらいはできるだろう。だけど、『必ず』というのは、大変なんだ。そして『必ず』であることが大事なんだ。あるときふっと弱気になって、今までずっとマイナスを選んでいたのに、ちょっと楽な方を選んでしまうとするよ。そうしたら、今までのものが全部ガラガラと崩れてしまう。だから、それだけの覚悟がいることなんだよ」
「『いつか』なんて、絶対にない。いつかあるものなら、今。絶対あるんだ。今ないものは、将来にも絶対ない。だから、『いつか』なんて言っていちゃ、ダメなんだ」
「人間は、決して老いを認めるべきではない。年齢を理由に何かに挑戦する意志を捨てるくらいだったら、自殺する」
・岡本太郎は、生まれながらに岡本太郎だったわけではない。自分の力で、岡本太郎になったんです。
・「ゼロでもマイナスでも、やることがある、やりたいのなら。爆発する。それがエネルギーだ。やるから、エネルギーが生まれるんだ。エネルギーがあるからやるんじゃない」
スゴイなあ。惹きつけられるなあ。憧れるなあ。やっぱり岡本太郎は天才だ!オススメです。(・ω<)