「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「夢幻花」(東野圭吾)

今まで全作品を読破しているミステリの巨匠・東野圭吾。最新作は、本人が、「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と自ら語る傑作だ。そして今の季節にぴったりである。

アサガオには、黄色い花は存在しないという。しかし、実は、江戸時代には存在していたのだ!(゜o゜)…なぜかその種は絶えてしまった。なぜなのか?


「独り暮らしをしていた老人・秋山周治が何者かに殺された。遺体の第一発見者は孫娘の梨乃。梨乃は祖父の死後、庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、ブログにアップする。ブログを見て近づいてきたのが、警察庁に勤務する蒲生要介。その弟・蒼太と知り合った 梨乃は、蒼太とともに、事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。西荻窪署の刑事・早瀬らも、事件の謎を追うが、そこには別の思いもあった。」

プロローグに全く異なる二つの話。それが後半、二重らせんのようにつながっていく。本の中の気になる言葉を紹介しよう。



人間は嘘をつくから、付き合うのが面倒だ。その点、花は嘘をつかん。心をこめて育ててやれば、ちゃんと応えてくれる。


どんな花を咲かせてもいいが、黄色いアサガオだけは追いかけるな、とね。理由を訊くと、あれはムゲンバナだからだ、と言われたよ。夢幻の花という意味だ。追い求めると身を滅ぼす、そういわれた。


・だから梨乃ちゃんにはわからないといってるんだ。たしかに尚人はスポーツも得意だった。でもプロになれるレベルだったかな。梨乃ちゃんみたいにオリンピックを目指せるほどだった?違うだろ。学校の成績が優秀だといっても、所詮限られた範囲でのことだ。尚人は特に数学が得意だったけど、ただ解き方を知ってるだけだって、よくいってた。絵についてもそうだ。白い紙を見つめていると、絵の構想が浮かんでくる。それに合わせて絵筆を動かせば、立派な絵が仕上がる。だけどそうやって完成させた絵は、いつもどこかで見たことのあるものだってことに気づいたんだそうだ。自分はただ絵の知識があって器用なだけだ。他人はうまいと褒めてくれる。しかしそれは感心であって感動じゃない。人の心を一ミリだって動かせない。


いや〜久々の東野節は健在!!!一気に読み進める筆力はさすが!!!
思わず、黄色いアサガオを探しなくなりました。超オススメです。(・∀・)


東野圭吾『夢幻花』|PHP研究所