全作品読破を狙っているほしおさなえさん。ほぼ、完読したかも!?ほしおさんの文章は、詩なんだよね。さすが詩人。物語の中にさりげなくありながらそのメッセージと表現力に納得してしまう。東野圭吾にも同じような感性を感じるのはワタシだけだろうか。(・∀・)
「おばあちゃん、どうして13歳に戻っちゃったの?家族のなかの見知らぬ闇――。注目作家の感動長編ミステリ!」そのエッセンスを紹介しよう。
・「記憶ってさ、 ほんとは頭のなかに全部そのまましまわれているのかもしれないね 。ふだんは思い出さないけど、 なにかの拍子に蓋があくとどんどん出てくるのかも」
・「人間、自分の身体だけで生きてるわけじゃないんだよ。家族、 家、仕事、まわりの人とのつながり、住んでいた土地…… そういうもの合わせて全部自分なんだ。それをなくせば、 自分の一部がなくなったってことなんだ」
・「お母さん、言ってた。みんな輝いてるね、って。辛くても、 怖くても、悲しくても、命っていうのは、いつでも輝いてるんだ、 って」
・「ねえ、夏草。夏草って、いい名前だね。 草が力強くのびていくのって、夏の短いあいだだけ。 冬になったら草は枯れる。だけど、翌年になれば、また芽が出て、 生い茂る。のびていく季節は永遠じゃない。だけど、だからこそ、 いい名前だよ、夏草」
・「ねえ、知ってる?女の胎児の身体のなかにはね、 もう一生分の卵細胞のもとがつまっているんだって。 どこかで聞いたの。つまり、おばあちゃんのおなかにいたとき、 わたしのなかにもう夏草のもとがはいってた、ってことになる。 だとしたら、わたしがおばあちゃんのおなかにいたときは、 三人いっしょにいたってことよね。三重の入れ子になって。」
・「神の声は聞こえない。呼んでも答えてはくれない。それでも… …。道は自分で選ぶのよ」
・「なんだか、このヒンメリ、祈りみたいだなあ、って。祈り。 神さまに捧げる、祈りです」
・人、その日々は、草のよう。
その盛りは、野の花のよう。
その上を風が吹けば、たちまち消えうせ、
そのありかさえ、見分けがつかない。
だが、主の愛は、おそれかしこむ者の上に、世々につきず、 その正義は、その子から子へと及ぶ。
・なにもかもわかった。そんな気がした。といって、 なにかがわかったわけじゃない。なにもかもわからないまま、 そういうもんもだと受け入れた。そういう感じ。そして、 泣きたくなった。 わたしもいつかはこの世からいなくなってしまうんだ、と思った。 いなくなって、忘れられていく。わたしたちはみんな消える。 あとかたもなく。そもそもそういうものなのだ、わたしたちは。
夏目漱石「夢十夜」を再読したくなりました。オススメです。(・∀・)