『週刊朝日』の中で最も好きなのが東海林さだお氏の「あれも食いたいこれも食いたい」。いわゆるグルメ本とは一味異なり、オモシロおかしく、独特の切り口で食材を取り上げる。抱腹絶倒のコラム。さて、またまたその単行本、丸かじりシリーズの第21弾のエッセンスを紹介しよう。
【好きです、さつまいも君】
さつまいもは恥ずかしい。なぜだかわからないのだが、見ていてとても恥ずかしい。
その形が恥ずかしい。その大きさが恥ずかしい。その太さが恥ずかしい。
手に取ったりすると、もっと恥ずかしい。握って恥ずかしい。
片端を握って上下に振ったりすると更に恥ずかしい。
テーブルの上にそっと置いてみましょう。そっと置いたのに、「ゴロンところがっている」
という感じがする。そのゴロンが恥ずかしい。粗野、野卑、無教養。それにしても
「ゴロン」がこれほど似合う野菜はほかにあるでしょうか。
無造作…どうです、無造作がこれほど似合う野菜はほかにあるでしょうか。
無造作の王。「無造作なら負けないかんね」と、さつまいも自信も言っています。
【清純、白百合根学園】
百合根はとても不思議な食材であるということをぼくは言いたいわけです。
百合根にぼくは気品を感じる。高貴、優雅を感じる。
やっぱり白い百合の花を想像するせいでしょうか。おじさんは百合の花に弱い。
白百合、なんて聞いただけで、頬をポッと赤らめるおじさんもいる。
まして、白百合学園、なんて聞くと体をよじって身もだえるおじさんさえいる。
そうか、百合根をあがめるのはおじさんだけか。
【甘栗「剝いちゃました」】
この数年の間に、天津甘栗史上、空前の大革命が起こったのを知っている人はどのくらいいるだろうか。
天津甘栗の歴史は古い。世界に人々は、天津甘栗が皮をかぶっていることに、三千年の間、何の疑いも持たなかった。
三千年あれば、そのうち一人ぐらい、「天津甘栗を剝いて売る」ということを考えた人がいても不思議ではない。
でも、そういう人は一人もいなかった。
ドイツに「ビールの法律」があるように中国天津にも、「甘栗の法律」があり、その製法、販売法が厳しく規制されていて
「剝いては売ってはならない」という条項があった。(ような気がする)
その法律を堂々と破って、つい数年前、『甘栗むいちゃいました』とう製品が我が国で発売されたのである。
そんなことをして許されると思うのか、と誰もが思うが、三千年まえの法律であるから、多分、失効になっているのだろう。
「むいちゃいました」という言い方にも、この製品を世に送り出した会社の罪の意識が充分に感じられる。
ということで、この製品は世の中に認知された。
ギャハハー!やっぱりオモシロイ!東海林さだおは天才である。超オススメです。(・∀・)