「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

MASSAGE〜2036年の世界とは?…『スリープ』(乾くるみ)から

このブログは私の個人のものだけど、ウチ(SA)の会社のブログにも書いています。読んでね。

毎週火曜日が私の担当です。(^v^)


SAトレーナーブログ  小野塚:タウンページ物語
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おととい紹介した、この本。傑作だね。面白かったね。(^_^)

「クライオニクス(cryonics、人体冷凍保存)」をテーマにしているんだけど、SFとも、ミステリーとも、恋愛小説ともとれる。


BOOK〜驚愕のラスト一行!…『スリープ』(乾くるみ
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20110515

スリープ

スリープ


そして未来小説とも受け取れるのだ。この本は2010年出版だけど、タイムマシンで見てきたのか!と思うような、2036年の未来の世界のことが書かれているのだ。とても印象的だったので紹介しよう。



物価は三十年前と比べて半額以下になっているよ。お金の価値が昔の倍以上になっていると言ってもいいかな。ゆるやかなデフレがこの三十年間、ずっと続いてて、今も続いている。お札のデザインも変わってるよ。一万円札は昭和天皇。五千円札は豊臣秀吉。千円札は上杉鷹山


日本は今、経済的な非常に円高で一ドルが40円ぐらいだね。円高鎖国と呼ばれる状態で、日本製品は高いといって海外では売り上げが伸び悩んでいる。逆に日本からすれば、海外の物産が全般的に安くなっているんだけど。品質面では日本製品はいまだに世界最高水準を誇っているがそれが買うのはほとんどが国内の富裕層で、一方、低所得者層は、安い外国製品を買うという構造になっている。貧富の格差はどんどん広がっているし。


2022年に、国民が直接選挙で選ぶ大統領制がスタートする首都機能(中央政府、国会、各省庁)を北海道に移転させ、さらに日本に道州制を導入した。実質上の首都である北海道を除いて、八州に再編された。東北六県からなる奥州、北陸四県からなる上州、関東五県からなる関東州、中部七県からなる中央州、近畿六府県からなる関西州、中国地方五県からなる仙州、四国四県からなる四国州、そして九州は沖縄を含んで九州。


そして首都機能移転を待っていたかのように、2026年、関東地方を直下型の大地震が直撃した。いわゆる関東大震災。二ヶ月後には東海と東南海でも立て続けにマグニチュード8クラスの地震が起きている。三つの震災による総死者は12万人を数え、被害総額は50兆円とも60兆円とも言われている。それでもこの10年で驚異的な経済復興を遂げました。慢性的な円高およびデフレ傾向がそれを支えたと言われています。


・そして憲法九条の改正により正式に自衛隊を軍隊として認めたのです。かといって外国との戦争を始めようというわけではない。実際、空軍と海軍は自衛隊対時代よりも規模を縮小していますし、実態は治安維持軍です。さっきも電車の中で見かけたように、彼らは昼夜を問わず、銃器を持ってあちこちをパトロールしています。そうすることによって低所得層による犯罪や暴動を防いでいるわけです。


・いちばん影響が大きかったのが、「弁償労働法」という新法で、犯罪の加害者は刑事裁判で決められた刑期を務めても、それだけでは社会に戻れないようになった。被害者に与えた金銭的被害をすべて弁償していない者は、たとえ判決に執行猶予が付いた場合であっても、刑務所とよく似た強制労働所という施設に入れられるのである。つまりそれだけ逮捕された後のリスクが大きいということになるのだ。ともあれ犯罪者による強制労働が、今の日本の第一次産業を下支えしているのである。


・30年前と今とで大きく違っているのは、やっぱりテレビ番組の有料化でしょうね。テレビで今、電波を使って放送している無料の番組は、ほぼニュースとCMと、版権の切れた 音の映像と、あとは有料番組の宣伝だけです。連続ドラマの初回だけとかね。有料番組の料金は、平均すればだいたい一時間見て十円といったところです。24時間テレビを見続けても240円。一か月だと最高で7,200円。テレビ制作の映像作品はほとんどが有料ですが、素人の撮った面白ビデオなどは無料が多いです。有料でも一時間一円とかね。


日本は資源に乏しい国だが、国民の頭脳がその代わりを果たしてきた。理系だったら技術者としての、文系だったら物語作家としての能力で、世界の誇れるコンテンツを制作していく。さらに教育改革が必要だということで。優秀な人材には早くから英才教育を施し、それぞれの分野のエキスパートを育てるような教育システムが、ここ十年ほどで整備されてきている。


・では頭脳的にそれほど優秀ではないと判断された子供たちはどうするか。忠誠心や忍耐心、公共心や礼節を身につけさせることで、サービス産業の現場で使える人間―社会の歯車としてなら機能する人間に育て上げるのである。今ではそのために、小学校から高校までほぼ毎日「和心」という授業が行われているのである。昔でいえば、「道徳」や「修身」にあがる授業を、義務教育の十二年間で子供たちにみっちりと仕込むのである。結果、公共心を持った従順な性格の国民が多く育ち、格差社会の底上げにもつながるという現在の新教育法は徐々に成果を上げつつある。都市部の犯罪件数が最近減少傾向にあるのも、あるいやそういった教育改革の賜物かもしれない。


道州制によって地方分権が確立する一方で、国政に関しては大統領個人に権力が集中し、官僚の力が弱まった。その結果として、そういった大規模な政治改革や教育改革が成し遂げられた。これが三十年かけて日本人が作り上げた理想郷というわけです。


日本人青年検定というのがあって十四歳でも成人になれるんだ。もともと少子化対策で外国人の帰化を積極的に進めるために導入されたのだが、後に成人資格をあわせ持つ「日本人成年検定」へと発展し、今に至っている。二十歳とか十八歳とか単純に年齢だけで成人としての権利や義務を与えていた時代とは違って、今では本人が望んで検定に合格しない限り、未成年者のままである。納税などの義務は課せられないが、代わりに選挙権も与えられず正規労働に就くこともできない。結婚も成人にしか許されていない。未成年者がたとえ妊娠出産したとしても、「成年検定」に合格するまでは親権が与えられないのだ。


どう?リアルでしょ?(^_^) 個人的には、「弁償労働法」って画期的だと思うなあ。(^ム^) さあ、25年後はどうなっているかな!