- 作者: 渡瀬謙
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/01/19
- メディア: 新書
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しゃべらせる方が得意なのかもしれない。
さて、またユニークな本に出会いました。成熟社会の現代、「営業は話術と根性」というやり方はもう通用しない。お客さまは営業がしゃべればしゃべるほど警戒心を強くし、押せば押すほど逃げていく ―。かつての成功ルールは、いまや足かせにしかならないのだ。本書は、しゃべらない/押さないほうがむしろ売れるという「科学的」で「お客さまにも喜ばれる」営業手法を解説。具体例満載で読んだその日から使える実践的な一冊。 そのエッセンスを紹介しよう。
・「売れる営業=おしゃべりな人」という図式は当てはまらなくなりました。それはもう過去の妄想です。なぜか?それは現代の営業マンを取り巻く環境が大きく変化しているからです。
1 営業マンに対する不信感 2 欲しいモノがない/少ない 3 インターネットの普及
・「しゃべらない営業」とは、相手に不要なことは一切しゃべらないという意味です。余計なことをしゃべってさらに信頼度を下げているケースがとても多いのです。
1 ムダなことをしゃべらないこと 2 相手にしゃべってもらうこと 3 言葉ではなくツールで説得すること の3tが基本です。
・しゃべってもらうことの目的は、まず商品を説明する前に、相手がどの程度の知識を持っているかを確認すること。相手の知っていること知らないこと、そして興味のポイントを探ります。いわゆるヒアリングです。心に響く効果的な商品説明を行うには欠かせない作業です。そしてしゃべらせることで、相手の気持ちを開く効果があります。情報を引き出しながら相手に信頼してもらうのです。
・初対面の相手に信頼してもらうためには、まず自分のことを知ってもらう必要があります。そこでFAXです。FAXであらかじめこちらの情報を伝えておけば、電話でしゃべる量を劇的に減らすことができます。自分がしゃべらなくても、FAXが勝手にしゃべってくれるというわけです。重要なことは決して売り込まないということです。売り込みの言葉が入っていると、営業マンのセールストークと同じように信用されません。ここで心掛けるのは、第三者の視点で書くことです。事実だけを淡々と書いています。「こんな仕事をしていますよ」「こんな道具を使っていますよ」「この分野ではこのくらいの実績がありますよ」と相手に客観的な気持ちで判断してもらい、「ご安心ください」という書き方もせず、相手にすべての判断を委ねることがポイントです。
・FAXをつくる際のポイント
1 売り込み色を一切消すこと 2 ターゲットを絞って明確にすること 3 読みやすさを重視すること
・TFTアポ取り法
1 TELをして(電話で資料を送りたいことを告げ許可を得る。その際、誰宛に送ればいいかを聞く)
2 FAXを送って(宛先指名を書いてFAXする)
3 またTELをする(FAXをい送った相手に電話してアポを取る)
という3ステップでアポを取る方法です。
・FAXを送らずに説明しようとすると、とんでもなく長くしゃべらなければいけません。それは喋る方も苦痛ですが、それを延々と聞かされる先方にとっても大変苦痛なことです。FAXはそれを回避できるのと同時に、視覚と聴覚で情報を伝えることになるので、相手の理解度が格段にアップします。その結果、相手に冷静な判断をしてもらえる効果があるのです。
・これからの営業マンは、少ない言葉で、お客様が本当に欲しい情報だけを的確に伝えることに重きを置くべきです。お客様が求めているのは、巧みな話術でもなければ、笑える話でも ありません。真実が知りたいのです。余計な言葉で飾られた情報には、もう飽き飽きしています。きちんと情報を伝えて、それをお互いに理解したうえで会いに行ってこそ、意味のあるアポイントになります。
・相手にしゃべってもらうメリット
1 しゃべらなくても済むので気持ちがラク 2 しゃべることで相手がリラックスする 3 情報収集になる
・しゃべってもらうために一番簡単な方法は「質問する」ということです。
過去の事実に関する質問〜「このようなサービスをご存知でしたか」「今までにこのような商品を使ったことはありますか?」
現在の質問〜「今までお使いになっていて、気になる点などありませんか?」「それでは今もご利用になっているんですね?」
未来の質問〜「もし○○であればまた使いますか?」実はそのようなお客様の声を取り入れて、当社の商品は〜」
・いくら完璧に営業トークをしゃべれたとしても、売れないときは売れません。むしろ、トークすら聞いてくれないケースが多くなっています。一生懸命に憶えたのに、あまり役に立っていない。それが現実です。ではどうするか?その答えは「沈黙」です。沈黙も言葉を発しないだけで、会話の一部なのです。また沈黙には、お客様からの質問を引き出せるという、もうひとつの効果もあります。
・「営業ツール」を使うことによって、しゃべることなく、「見せること」で相手の視覚に訴えることにシフトしてみましょう。もちろん、資料をつくる手間と時間はかかります。社内の統計資料を集めたり、事例を探したり、新聞記事の切り抜きをコピーしたり、図書館に行って公共のデータを調べるなど。そのなかでも相手の心を引きつける事例とは、お客様専用の事例です。お客様は自分とは関係のない事例をどんなにたくさん見せられても、ピンと来ません。できるだけ相手の業種や規模などと似たような会社の事例を用意するのです。ポイントは、ひとつの事例をとことんつくり込むことです。例えば、
<その事例となる案件を受注するに至った経緯、最初のお客様の気持ち、納品、その後の過程、納品後のお客様の気持ち(変化)、一定期間後の効果>など、単に数値的な効果だけでなく、経過や過程なども含めてまとめます。
・その事例をさらに掘り下げた「お客様の声」は事例の一種です。数値よりも感覚に訴えるのが特徴です。「今では毎日使っています!」「この性能でこの値段は安いですね!」「良かったので追加注文しました!」などお客様が言っている言葉というのは、とっても真実味があります。また誰がコメントしたのか、顔写真も載せると説得力が増します。
・言葉の説明というのは、聞く側からすれば、しゃべる人物が信用できるかどいうかまで検討しながら聞く必要があります。内容の良しあしよりも、まずこの人が言っていることはどこまで信じていいのかを、頭の中で判断しています。とくに初対面の人からの説明を受けるときには、お客様の脳はフル回転しているのです。
・ツールの使い分け
1 過去の実績や数値を出して商品への安心感を表わす場合 → 導入企業一覧など
2 外部からの評価や感想を引用して商品についてアピールする場合 → 新聞記事など
3 導入(採用)にあたっての不安を取り除く場合 → お客様の声など
・営業マンは客先に出向くだけが仕事ではないのです。社内での仕事はずばり、できるだけお客様に会わずに済ませるためのツールを作ることです。今まで客先に三回行かなければ決められなかった商談を、二回にするためにはどんなツールがあればいいのか。私はいつも営業効率を考えていました。
・メールのポイントは、あなたとの接点を文章内に入れること。たとえば「先日は遠いところをお越しいただき、ありがとうございました」「先日の帰りは、雨に降られませんでしたでしょうか」などお互いにしかわからないことを書くと、親近感を持たれます。
・ホームページは従来の営業の仕事を次々に肩代わりしてくれています。まず一番大きいのは商品説明です。これからの営業マンは、ホームページで見つけてきたお客さまに対してフォローするのが主な仕事になっていきます。もう不特定多数の相手に声をかけまくるのではなく、見込み客に対してピンポイントで営業することが主流になるでしょう。
・人と会う代わりに「ハガキ」を活用するのもいいでしょう。少なくとも手書きで一言添えたいですね。「○○のお話の続きを今度聞かせてください」「○○がとっても印象的でした」など、会ってすぐ送るハガキには、そのときの感想や印象を添えると一度会うのと同じくらいの効果があります。そしてもう一度読み返したくなるかどうか。それは好印象を与えている証拠です。
・名刺は渡せば必ず受け取ってもらえるツールです。だとしたら、相手がそれを見た瞬間に、自分の商品や会社をアピールできるように工夫したほうがいいですよね。すくなくても
<・何を専門にやっている会社なのか ・どんな商品を扱っているのか ・どんな人をターゲットにしているのか ・名刺の当人はどんな人なのか(趣味や特技など)>を名刺に書いておくと、相手もすぐに反応できます。
・売れ続けること、そしてお客様に満足してもらうことを考えると、強引な営業スタイルではダメだということ。「強引」「お願い」「根性」の逆をやればいいのです。営業マン側に都合のいい話ばかりをすることはやめて、「今までは、どうされてましたか?」「これからは、どうしたいですか?」などのように、相手側の都合にフォーカスした話をするだけです。
なるほど!これはすぐにでも使えるよね。( ..)φメモメモ