「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『心を揺さぶる語り方 人間国宝に話術を学ぶ』(一龍斎貞水)

心を揺さぶる語り方 人間国宝に話術を学ぶ (生活人新書)

心を揺さぶる語り方 人間国宝に話術を学ぶ (生活人新書)

以前、このブログでも紹介した、囲碁藤沢秀行名誉棋聖が今日午前、肺炎のため死去した。83歳だった。


親交の深かった米長邦雄日本将棋連盟会長の話

囲碁将棋を通じて、私が生涯でもっとも親しかった先輩であり友人です。その豪放磊落(らいらく)な生き様は、私の人生にも大きな影響を与えた人です。本当に惜しいことをした。連休前に、病室にお見舞いに行ったが、声を掛けると、口元に笑いがこぼれたのが、今も印象に残っています。ご冥福をお祈りします」…合掌。


HUMAN〜大棋士藤沢秀行の破天荒な魅力!
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20080415


さて、セールスやコミュニケーションのトレーニングで、毎日のように人前でいろいろな話をさせていただいているのだが、バリエーションが広く、シナリオがあってないようなものなので面白い反面、こりゃまたムズカシイ…。(^◇^)


さてまたまた名著を見つけましたよ〜!著者は講談界初の人間国宝一龍斎貞水(いちりゅうさい・ていすい)。寄席の世界でも、故・柳家小さん師、桂米朝師についで三人目という伝統話芸の達人。

いかに聴衆を語りの世界に引き込んで、笑わせ、泣かせ、感動させるの?その心を揺さぶる語りの極意とは?人が人に向けて話をする中で、大切なことは何か?長年の修業により培った確かな技と心を、一般向けに分かりやすく伝授する一冊。ちょっと長くなるけどツボとコツを紹介しよう。


・我々は、まず「『らしく』しなさい。『ぶる』んじゃないよ」と、必ず言うんです。前座は前座らしくしゃべっているのがいちばんいい。真打のようなしゃべり方、名人のようなしゃべり方は、本当に真打ちや名人になってからすればいいんです。ところがみんな、らしくしないでぶろうとする。若い講談師が、ちょっと天狗になった途端、天下の大名人なったかのように滔滔(とうとう)とやりだす。そこから滲み出ているのは、決して愛すべき人間性じゃないですよ。


・心のこもった料理、心のこもった手紙が出された人を喜ばせるように、心のこもった話も、聞く人の心を温かくさせるものです。心を込めて一生懸命にやることほど、人の心を動かすものはないと思います。これはおそらく世界共通、老若男女も問わずでしょう。


話術というのは、人間の中身が伴って初めて価値が出るものです。逆の言い方をすれば、その人の人間性を表すものの一部が話術です。だから、人前で話すときだけではなくて、普段からの生き方が大事なんです。


・お茶汲み一つにも、雑巾がけ一つにも、その人の人間性が表れているものです。それと同じものが、話し方の中にも出るんです。お茶汲みなどの些末な仕事でも、心を込めて一生懸命やる人間かどうか。そこに思いやりがあるかないか。そこから磨かれている人間かどうかということが、人前で話をするときの魅力の差として、必ず出るからなんです。


・難しいことを、分かりやすく解説することを昔の言葉で「講釈する」といいます。ですから分かりやすくなければいけません。「堅い話が続いて、お客様がちょっと疲れてきたな」ということがあると、息抜きになるような話をアドリブで入れます。
話を聞いているときには、本を読むのと違って、頭が疲れても一休みするわけにはいきません。だから、その一休みの場面を語り手が用意してあげなきゃいけないんです。


話というのは、自分が何を言ったかではなく、相手にどう伝わったかが大事です。ところが、それが分かっていない人は、自分が言いたいことを言いたいようにしゃべって満足する。そういう人はいくら場を踏んでも、場の「空気」が読めるようにはなりません。


本当にその人の心から出ている言葉には、直接的に相手の心を動かす力があります。それに近いものを自分の中に養うことが大事です。
例えば、結婚式の花嫁の両親に向けてのスピーチ。両親のスピーチにも思わず胸が熱くなるもの。それは何より、しゃべっている本人の心が、強い燃焼力を持っているからですよね。職人のものづくりの話、現場の苦労や情熱の話、趣味の話…基本的には、そういう話にも、心を共鳴させる強い力があると思います。


人の心が動くのは、詳しく説明されたときとは限りません。共感したり、自分で考えたり、我が身に置き換えて想像したりしたときです。


・やや技術的、専門的なお話になりますが、お客様の心を動かす話術には「間」というものも肝心だと思います。それが抜けていると「間抜けな話」と言われる。「間」というのは、一つに、お客様が話を理解し、自分で考えたり、我が身に置き換えて想像したりするための時間です。それがなさすぎる話では、お客様が心を動かす暇もありません。


・我々が高座でお話をするときにも、どの年齢層のお客様が多いかで話し方を変えます。同じ話をするのでも、「人生の先輩たる皆様方、こんなことは申し上げるまでもなくご存知でしょうが」という言い方をしたり、「今日は若いお客様が多いようですので、知らない人も多いかも知れませんが」と前置きしたりする。そういうことの一つ一つが、立場を弁えた相手に対する気遣いです。


人から誉められたことは早く忘れた方がいいです、逆に、失敗したこと、人から叱られたことは、一生覚えていなきゃいけません。それを覚えていれば、同じ失敗をしなくなるときが必ず来ます。上達し続けていくには、そういう心がけが必要なんじゃないかと思います。


・芸というもの、特に話芸には、必ず「人間」が出ます。その人間の中身が伴って、初めて真価が問われるものです。その人間の磨き方は、自分で考えるしかありません。人間を磨くことによって話術を磨き、また、話術を磨くことによって人間を磨く。そういう心がけを持っていることで、日常生活全体が修行の場になってきます。


ハア〜!\(◎o◎)/!やっぱりやり方の前にあり方が大事なんだね…。途中で講談を題材に、音読しながらそのツボを語るところがイイ。(^◇^)一度聞きたくなりました!オススメよ。


講談師・人間国宝 一龍斎貞水
http://www.yougou.co.jp/teisui/