- 作者: 東海林さだお
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/10/10
- メディア: 文庫
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この本は大人気の「丸かじり」シリーズから、108編を精選。氏の表現力、ボキャブラリー、視点の鋭さ!食へのこだわりがすべて楽しめる。そのエッセンスを紹介しよう。
【酢豚大好き】
酢豚という料理における最大のナゾが一つある。それは酢豚というネーミングである。すごいと思いませんか酢豚。乱暴だと思いませんか酢豚。みんな何の疑いもなく酢豚、酢豚と言っているが、こいうネーミング、他にあるでしょうか。たとえば酢牛なんていう料理あるでしょうか。酢馬なんて料理あるでしょうか。「青椒肉絲(ちんじゃおろーす)なんかは懇切丁寧に説明している。なのに、「酢」ということと「豚」ということしか言ってない。
【カレージルが足りないッ】
いつ、どの店で食べても、カレーのシルが足りなくて足りなくて、どんなにつらい思いをしてきたことか。カレーのシルくらいたっぷり出せーッ。ハァハァ、ブチブチブチッ。牛丼屋を見ろッ。ツユダクと称してシルダブダブだろーが。好きなだけくれるんだよ。シルを。それなのにカレー屋はシルをけちってけちって、客が苦しんでいるのに知らん顔している。ラーメン屋なんか、客はみーんなツユが多すぎて残しているんだよ。現状のあのケチケチした量は、一体誰が決めたのか。消費者と相談して決めたのか。オレは聞いてないぞ。その昔、池田内閣は「所得倍増」をうたって国民の圧倒的な支持を受けた。われわれも「カレージル倍増運動」を全国に呼びかけようではないか。
【タン塩の時代】
舌で舌を味わう。あー、なんだか、もー、わたしは、あー、もー、身も世もあらず恥ずかしい。あなたの口の中であなたの舌は、舌を味わおうと称して舌同士たわむれあっているのです。舌と舌、同じもの同士。舌と舌、同性同士。裏も表も知り尽くしている同性同士だから、どこをどう触れれば相手がどう歓ぶかを知りつくしている。あー、なんだか、もーわたしは、あー、もー…。
【ゴーヤの丸かじり】
ゴーヤは見た目がコワイ。醜悪といってもいいくらいだ。全身をおおうイボ状の突起は、ガラパゴス諸島に棲むイグアナを思わせるものがある。緑色のイグアナだ。じっと見ていると。うー、不気味だ。うー、気持ちわるい。
…などなど。くれぐれも電車の中で読まないように…。抱腹絶倒の一冊!(^◇^)