「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜体当たり教育論!…『天才の育て方』(五嶋節)

「天才」の育て方 (講談社現代新書)

「天才」の育て方 (講談社現代新書)

世界的ヴァイオリニストの五嶋みどりさん、五嶋龍さんの姉弟をご存知だろう。その二人を育てた著者自身、5歳でヴァイオリンを始め、音楽学校に進学し、オーケストラで音楽活動をした音楽家なのだが、その子育ての「ミッション」とは?どんなコミュニケーションを取り、どのように天才を育てたのか?を、赤裸々に語った体当たり教育論がこの本!
さらっと読めるんだけどなかなか深い!そのツボとコツを紹介しよう。


・人間の赤ん坊の産声は人種は問わず、みんな『ラの音』だそうです。周波数で言うと440ヘルツ。生まれたばかりの赤ん坊の身体の大きさというは、だいたいみんな同じくらいで、そのため声帯の長さにそれほど差が生じないためだとか。オーケストラの音合わせの音が『ラ=A』なのもうなづける。


・なぜヴァイオリンだったか。子どもに習い事をさせるにはお金がかかります。でもうちの子どもがヴァイオリンを習うのは無料でできることだったのです。
フィギュアスケート織田信成君のお母様である織田憲子さんもまったく同じことをおっしゃってました。私がピアノを弾いていたらピアノを教えてましたし、絵を描くことが得意だったら絵を子どもに教えていました。だからヴァイオリンに何か特別の意味があったわけではないのです。


・私は、みどりが生まれた瞬間から、「世界一」という言葉を使ってきたように思います。「世界一のヴァイオリニスト」と解釈されてもけっこうですが、本当はわたしにとっての「世界一」という意味なのです。みどりは私のいる世界の中で一番の存在、オンリーワンであり、ナンバーワンでもあるのです。私は、みどりに向かって毎晩、「おやすみ。みどりは世界一」と必ず口にしました。


・みどりに向かって「世界一」といいつづけたあと、龍が生まれたときに思いついたのが、「私はあたなに跪く(ひざまずく)」という言葉でした。いつの日か、私は、あなたに跪く。何をやってくれてもいい。どんな職業についてもいい、社会的に評価されようがされまいが、かまわない。でも、母親の私が、心から跪けるような人間に…ということです。


・みどりは、かなり不器用な子どもで、ちょっと指の動きが難しくなると、何度練習してもうまくいかないときが、数え切れないくらいありました。逆に、そういう箇所を、簡単にさらりとやってのける子どももいます。ところが、そういう子どもにかぎって、練習を繰り返さないことが多い。そしてさらに難しい曲に挑戦しるようになって、さらりとはできなくなったときに、大きな壁にぶつかってしまうことが多いのです。
つまり、不器用な子どもの方が、何をやらせても長続きするのかな、苦労を重ねますから精神的にも鍛えられるのかな、と思います。


・「あのニュースキャスターは、プレゼンテーションに優れている」の「プレゼンテーション」は、ニュースの「紹介」がうまい、という意味ではなく、キャスター本人の「存在感」を現します。その雰囲気をもっているかどうか。それがプロとアマチュアを分けるポイントのように思えます。そういう雰囲気を持っている子どもは、少々技術的な進歩が遅くて不器用でも、プロになれる可能性があるし、ヴァイオリンに限らず、何かの表現者としてプロとなれる可能性もあると思います。


『過保護のどこが悪いのか!?自分の子だけを思いきり愛して!』と言い切る著者の凄みを感じる。母親ってすごいなあ…。…小さい頃、私は自分のことを天才だと自称していたのだけど、母は『はははっ!』と笑っているだけだったなあ…。(^_^;)