一日一冊一感動!小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

タイトルは、『一日一冊一感動!小野塚テルの感動の仕入れ!』日記。 毎日の読書、映画、グルメ、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。(ときどき「酒場のギター弾き」「B級グルメ」も紹介します)

「五嶋節物語 母と神童」(奥田昭則)

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母と神童―五嶋節物語

母と神童―五嶋節物語

 

昔、グレープの精霊流し」「無縁坂」かぐや姫神田川のヴァイオリンの音に憧れた。ギターとは違った切ない哀愁のある音。 そして高校の時に「ヴァイオリン同好会」という会に入ってほんのちょこっと自己流で弾いたことがある。左耳から出てくるヴァイオリンの音に「おお〜!!!」と感動したことをいまでも覚えている。(・∀・)

 

さて、この本。「天才ヴァイオリニスト五嶋みどり・龍を産み、育てた女性「五嶋節」の夢と波乱に富んだ半生記。自らもヴァイオリニストをめざしながら結婚で挫折し、娘のみどりに世界的音楽家への夢を託して渡米。母娘で厳しい試練に耐え抜き、華やかな成功を収めるまでの感動のドラマ。 また、みどりの音楽教育を通しての日本の音楽界との軋轢、葛藤アメリカの偉大なる教師ディレイの大きな影響など、音楽教育実践書としても大きな意味を持つ企画」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・五嶋節という人のかざりけのなさ、生き生きとした好奇心、すばらしい記憶力、エネルギーにひきこまれる思いがした。どういう意味をこめていわれたのかわからんかったが、初めて会ったときの最後に「みすてないでください」といわれた。その言葉の意外さやいちずさが胸にズシンと響いた。そのとき、この本を引き受ける決心をした。これは「節ちゃん」というエネルギーにあふれ、かざりけがなく、とびきり魅力的な日本女性の半世紀である。恋文をつづるようなつもりでこの本を書いた。
 

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・「父が話してくれたのはジンギス汗は生まれたときにもっていた星があった』というんですね。『人間にはうまれながらに与えられた運命がある。もちろん本人にはわからない。自分で見つけていく運命もあるけど、みんな生まれたから死ぬまで運命をもって生まれ、それで結局決まっている。ジンギス汗は捕虜になったとき「自分の人生がこんなにつらいものか」とはいっさい思わなかった。父を早く亡くし、捕虜になっても、いつか自分は王者になるんだという漠然とした思いがジンギス汗にはあったに違いない。それがあったから耐えられたんじゃないか』というんです」
 
・母、木崎美江子「木崎の家は終戦のときに農地解放で土地を全部とられました。というか、買い上げられました。だから家にお金はないし、土地もなくなった。〈これからは自分の能力しかあてにならん。日本もどんなイデオロギーの社会になるかわかなんけれど、音楽やったら世界共通やから女の子でもどないなと(どんなやり方でも)生きていけるだろう。だから姉の寿美はピアノ、妹の節にはヴァイオリンを教えておいて、それが間に合わなかったら(必要なかったら)しあわせや。情操教育になるだろうし。もしもなにかでつまずいたときとか、社会の情勢が変わったときは、またそれで生きていけるだろう〉と思いました
 

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・辻井英世「びっくり仰天した。〈これは天才だ〉と思った。悠々たる大きな音楽で、大陸が目の前にパーッと広がっているような感じがした。私は五嶋みどりの方が木崎節よりちんまい(ちいさい)音楽だと思う。完成度は高いが。多少、あらけずりだったが、節の音楽性はすごいものだった。まったく新しい世界を啓示されたような気がした。大学に行って、四年後をひたすら楽しみにしていたのに、結婚で中退したときいて、残念だった。あのままいってたら日本の楽壇にショックを与える世界的な演奏家が誕生していたのに。友人になんで私より下手な先生に習わんならんのん』といってたらしいが、そのとおりだったのだろう」
 
アメリカでは幸運も不運も、日本では想像もつかないほどドラマティックだ。
 
・(林原健)いちばん神様に近いのは『音』と『香り』ですよ。楽器も音もでるから意味がある。音を出す才能のある人がいて演奏によって多くの人が音をきける。これはすごくありがたいし、感謝すべきだと思います。
 
・音楽の天才的才能には、3つの構成要素がある。表現技術、芸術的完成度、そしてなによりまれなのは、弦を鳴らして幸運をつかむというふしぎな結合である。それが、突然の危機に勝利をもたらすのである。
 

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・みどりは3歳からほとんど一日も休まずヴァイオリンの練習をしてきたが、四弦のうちの一つA線の開放弦「ラ」の音でみどりのこころの状態が節にはわかるのである。音が低めになるとk,ちょっと高めになるとき、音の揺れるときがあった。「きょうはさびしいんだあ」「きょうは怒ってる」「きょうは気分がいいんだ」節は手に取るようにみどりのこころがわかった。あまりわかりすぎて苦しいくらいだった。
 
・(音楽評論家・吉田秀和)「五嶋みどりは完璧な技術と並外れて美しい音を身につけている。特に弱音は誰とも違う美しさをもち、一度きけば長く耳に残って離れない」「この人は禁欲的なほど『節度の感覚』『洗練された様式美への感度』を持ち、彼女の演奏を目をつむって聞いていると、まるで茶の湯の席での人々の振る舞いと同質の規律と形式がまぶたに浮かんでくるくらい」
 
私たちが天才に興味を持つのは自分の中に潜在的に持っているものを美事に表現してくれた、はっきり結実させてくれた。という喜びを見出すからである。
 
「日本脱出」「ストラディバリウスとガルネリ」「偉大なるディレイ」は特に響く。
音楽っていいなあ、ヴァイオリンっていいなあ。五嶋みどり五嶋龍、聞いてみたくなりました。超オススメです。(・∀・)♪

 

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母と神童―五嶋節物語

母と神童―五嶋節物語