「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜愛に生き、愛に苦悩する全ての人に…『サヨナライツカ』


ミュージシャン、作家、映画監督というマルチな才能を発揮している辻仁成。しかも中山美穂の夫であり、現在ではパリを中心に活躍している。うらやましいね〜。彼の作品を読んだのはこの本が初めてだが、実に衝撃的だった…。
あとがきに著者が書いているのだが、『愛に生き、愛に苦悩する全ての人に捧げたい』そのとおりだ!感動した!クウ〜!!!(>_<)


舞台は1975年8月。タイのバンコク。航空会社勤務で現地駐在の『好青年』は日本に婚約者の光子がいて、バンコクでクリスマスに結婚するため準備を進めてきた。
ある日、現地の知り合いを集めた結婚報告会で知り合った謎の美女、間中沓子(まなか・とうこ)とふとしたことで関係を持つ。そこから始まる激しく狂おしい性愛の日々。結婚式が近づいた二人は別れを選択するが二十五年後の再会で…。愛に生きるすべての人に捧げる渾身の長編小説。


いや〜!(>_<)読ませるね〜!25年以上の二人の変わらぬ愛情とその想い…。自分ごとのように感じてしまった…。泣けた…。(ToT)これ、映画化されるといいのに。


サヨナライツカ


いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない
孤独はもっとも裏切ることのない友人の一人だと思うほうがよい
愛に怯える前に、傘を買っておく必要がある
どんなに愛されても幸福を信じてはならない
どんなに愛しても決して愛しすぎてはならない
愛なんか季節のようなもの
ただ巡って人生を彩りあきささえないだけのもの
愛なんて口にした瞬間、消えてしまう氷のカケラ


サヨナライツカ

永遠の幸福なんてないように
永遠の不幸もない
いつかサヨナラがやってきて、いつかコンニチワがやってくる
人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと
愛したことを思い出すヒトにわかれる

私はきっと愛したことを思い出す


・二人は口づけを交わした。闇の中でお互いの存在を確かめ合うようなキスだった。その柔らかい感触は、そこの彼女がいることをはっきりと伝えてきた。このままどこまでも堕落しようと構わない、とその瞬間は思うことができた。きっと薬物中毒者は誰もがそう思って底無しの沼に落ちていくに違いなかった。まさに沓子は危険な習慣性のある欲望そのものである。「こんなにくたくたになるまで愛し合ったことって今までになかったわ。ぴったりなんだもの。こんなにぴったりと合った人ははじめて。一番よ」


・涙はどんどん落ちてきた。雑巾を絞るようにぽたぽたと途切れることのない大量の涙。これほど沢山の涙をどこに隠し持っていたのだろう。鉄の塊を持っていると思った沓子が泣いているこの事態に、豊も平静ではいられなかった。


・豊は夜空を見上げた。突然現れ、人生をひっかき回して去っていった女。しかしきっと一生忘れることにできない人。後悔という言葉を発明した人間を彼は呪った。後悔のない人生なんてないんだ、と豊は自分に言い聞かせようとした。


「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトに分かれる。私はきっと愛したことを思い出す」この言葉が印象的だ。きっと私もそうだ。


『愛に生き、愛に苦悩する全ての人に捧げたい』ぜひ、読んでみて!この内容を分かち合いたいな!


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