「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜ただ自然に…比叡山・千日回峯行・酒井雄哉画賛集

比叡山・千日回峯行 酒井雄哉画賛集 (小学館文庫)

比叡山・千日回峯行 酒井雄哉画賛集 (小学館文庫)

もし、本当に落ち込むようなことがあったら、酒井雄哉という人の人生を見てみるのもいいかもしれない。

比叡山の荒行・千日回峯行は聞いたことがある人もいるだろう。1日30キロから80キロを歩く行を7年間かけて千日続けるのだ歩く距離は地球一周分の4万キロ。睡眠は3時間を切り、食事は、ゆでたイモ数個とめん類を1日2回だけ。40歳近くで出家して回峰行を志し、至上最高齢の54歳で1回目を成し遂げ、そして61歳で2度目を満行して「大阿闍梨(だいあじゃり)」「生き仏」と呼ばれている。千年を超す比叡山の歴史で、2度の千日回峰行をやり遂げたのは、記録上3人目だという。お写真も載っているが、本当に穏やかな表情で仏さまのようだ

酒井さんは、大正15年生まれ。5歳の時に父親が事業に失敗し、夜逃げ同然で東京へ引っ越す。中学受験に失敗、特攻隊として死を覚悟するも出陣の機会もなく、仲間の死をただ見送るだけだった。戦後始めたラーメン屋は原因不明の火災で廃業に追い込まれ、株に失敗して膨大な借金を背負う。結婚の一ヵ月後に妻が家出をし、自殺。なぜ、自分だけがこんな目にあうのか、何が原因なのか自問し続けて40歳で出家した。

千日回峯行も700日が終わると、修行のクライマックス「堂入り」に入る。9日間、断食、断水、不眠、不臥、ただただお経を唱える。普通の人なら死んでしまうという。 「2日目で唇が裂ける。4日目を過ぎると、手に死斑のようなものが浮き、懐からは臭いにおいがする。死臭なんだろうね」
千日回峯行は、不退行。途中で止めることは死を意味する。そのために、常に、首吊り用の死出紐(しでひも)を肩にかけ、降魔の剣と自害用短刀を腰に差す。途中で行き倒れになったときの供えに10万円の葬式代を懐に持つ。\(゜ロ\)(/ロ゜)/ひえ〜!これほどまでの決意があるだろうか!?

回峰行の最中に、足の親指に骨が見えるほどのけがを負ったことがあった。普通なら、1日数十キロも歩き続けられるわけがない。 「この時もそう。もうだめだという時、自分を超える自分が出てくるんだな。姿かたちは見えないが、心の中に。それが仏の存在じゃないかと思うんだ」
やってみたいとは思わないが、死ぬ気になれば何でも出来る!というのは、このことなんだろうね…。いや〜すごい人がいるものだ。(>_<)