「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜命がけの試食…外食王の飢え(城山三郎)

外食王の飢え (講談社文庫)

外食王の飢え (講談社文庫)

ファミリーレストランロイヤルホスト創始者外食王、江頭匡一氏がモデルとされている小説。いまでは、考えられないことだが、『外食産業』という言葉が無かった時代に、『飲食業』『外食産業』となる過程が生々しく描かれている。
いままでの常識が通用しなくなって来ているこの21世紀、そして新しい価値観とビジネスが誕生していくという点では、どんなビジネスにおいても何かのヒントになると思う。


ロイヤルは「レオーネ」、すかいらーくは「サンセット」という名前で登場。ロイヤルは、社長が先頭に立ち、若者を率いて突っ走っていく。一方、すかいらーくは、地道に地に足のついた伸び方をしていく、その対照的なライバル争いが面白い。


それにしても、主人公の生き方がすさまじい!とにかく一流の味、一流の店を目指し、一流店や、ケーキ店、アイスクリーム店を食べ歩き、めちゃくちゃな暴飲暴食、そして試作させ、試食につぐ試食で、三回もの胃の手術をして、ほとんどの胃を切り取られても試食をやめない。一日の終わりは、トイレで自らのどの奥に指を突っ込んで、吐き出した。ドクターストップになっても、『何度でも切ってもいい。試食をやめれば、レオーネが死ぬ。』出張には、日数分の浣腸と便秘薬を持ち歩く。という有様。(>_<)ひえ〜!すごっ!


そして、今では当たり前になっているが、業界で初めて1か所で集中的に調理する方式〜セントラルキッチンを作ったため、コックの数が減ってしまう。各店舗では、半製品を加工するだけということでコックのモチベーションが下がり、5つの店のコックが一斉に退職してしまい、自ら調理場に立つことになる…。その姿に、若い社員が興奮し、結果として朝は早くから夜遅くまで休みなしで働くという熱気あふれる集団になった、そのリーダーとしての強烈なリーダーシップ、 など。さすが、『外食王』と呼ばれるだけあって、まさに波乱万丈の人生…。(^_^;)

私は、ここまで出来ないだろうが、その強烈なこだわりと生き様には何か共通点を感じて、主人公に愛着と尊敬さえ覚えるのだ。変かな?(~_~;)タラ〜…。


ここまでのこだわりには、時代背景と父の影響、そして、新しい産業にしていくんだ!という強烈な目標思考がある。そのすさまじさ!(>_<) まさに『伸るか反るか!』命がけの姿勢には惹きつけられる。


今度ファミレスに行ったときには、そんな当たり前の外食産業を最初に作った創始者・江頭氏と、命を削るライバルとの戦いがあったことを思い出すに違いない。


この本を図書館で借りた日、2007年3月22日午前6時50分、経済小説の開拓者である著者、城山三郎は79歳で逝去した。間質性肺炎だった。79歳だった。69歳で亡くなった私の父の死因も間質性肺炎。これも何かの縁だろうか。素晴らしい物語を残してくれてありがとう!合掌。