ムカシから地名の由来に興味がある。なんでこんな名前が付いたんだろう!?って思うと調べちゃうよね。ウチの近所だと「泥亀」と書いて「でいき」。きっと海でスッポンがいたんだろうねえ。(・∀・)神奈川区の浦島町も「浦島太郎伝説」から来ているんだろうねえ。
さてこの本。明治大学の先輩の今尾恵介さんの地名の本。「古代中世に誕生したものもある地名は「無形文化財」的でありながら、「日用品」でもある。異なる性格を同時に併せもつフシギな世界を紹介する」そのエッセンスを紹介しよう。
・東京の通称地名の御茶ノ水は、 将軍にための茶を淹れるために汲んだ良質の湧水により名付けられ た。正式地名としての御茶の水町は全国でただ一か所、 北海道岩見沢市にある。 こちらは飲料水を求めて井戸を掘ったら出てきた水は鉄分のせいか 赤い色で「お茶のような水」ということから命名。 同じお茶でも東京のとは意味がまったく違う。
・「鉄」をクロガネと読むものに横浜市青葉区の鉄町( くろがねちょう、桐蔭学園の所在地)、岡山市東区の鉄( くろがね)があり、このうち後者は、「 古来鉄を算出したことによる」。同じ岡山県の鉄山(かねやま、 真庭市)は砂鉄が採れたことに由来する。 砂鉄を採取する場所は鉄穴(かんな)と呼ぶ。
・ツカとは土を盛る意味の動詞ツク(築)が「情態言」 となったツカ(塚)だ。「土を高く盛り上げた墓」 を意味しており、 その意味では高塚村が大墓村と称したのも頷ける。 東京都大田区の雪谷大塚稲荷神社はやはり小さな古墳の上に祀られ ている。山手線の大塚駅は、やはり「大きな塚に由来する」 とされているが、具体的にどこを指すかは明らかではない。 古墳のメッカである機内では塚の地名の密度がさらに濃いと思いき や、見当たらない。あまりに塚が多すぎると、 それが機能しないからではないだろうか。
・船が着く場所は港であるが、ミナトという言葉は水(ミナ= 水の)+門・処(ト)に由来される。港と湊が用いられるが、 古くから多く用いられているのは湊で、 港町という町名を除けば古くからの地名は湊の方が多いだろう。 平成の大合併までは湊の付く市が二つあった。茨城県の那珂湊市( 現ひたちなか市)と富山県新湊市(現射水市)である。
・京都に住んでいた友人に「 子供の頃にポンポン山へハイキングに行った」という話を聞いた。 どうせ通称だろうと思って地形図で確かめたら本当に「 ポンポン山」と記されていて驚いたものである。
・九州の最南端にあるのは佐多岬であるが、 四国の最西端は佐田岬という。これは偶然の一致だろうか。 サダとは古語で「先立つもの」「先頭に立つもの」 を意味するそうで、これを当てはめれば意味は岬そのもの。 四国最南端に位置する足摺岬も、実は古代にはサダ岬(蹉跎岬) と呼ばれていた。「つまづく」という意味で、それが転じて「 差し障りができて時機を逸する」「生活が思うようにならない」「 失敗する」の意味でも用いられる。 岩場の岬で危ないニュアンスを加えたかったのかもしれない。
・山口県徳山市の「珍しさ」が尋常ではない。有楽町、銀座、千代田町、原宿町、代々木通、新宿通などなど、ここまで「東京地名」が多く並ぶと滅多にない奇観である。
オモシロイねえ。今尾さんの本、全作品読破しよ。オススメです。(・∀・)♪