・人生訓めいた説教を垂れるオヤジにだけはなりたくない。若い頃はそう思っていました。ところが、よだれと説教は年を取ると垂れたくなくても自然に垂れてしまうもの。ここまでくると逆に開き直って、どうすれば説教を正当化できるかを考え始めます。
・本書で垂れ流した説教は、僕というかなり常識がない人間が、雑誌編集というあまり一般的ではない仕事を通じて学んだことばかり、世間の常識からズレている点や、ご納得いただけない意見も多々あるでしょう。80話の内のひとつでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
・僕は大学を出てから23年間、出版社に努め、雑誌編集者として働いてきました。雑多な分野を扱う仕事。自分が興味があろうがなかろうが、ありとあらゆる分野に詳しくならざるをえませんでした。記憶力も好奇心も人並み以下の僕に、どうしてそんなことができたのか?それはどんなことでも好きになろうと努力したからだと思います。
・好き嫌いは、自分の意志で変えられます。さらにいえば、嫌いを好きに変える力自体も、努力で鍛えることができるんです。
・「いつも楽しそうでいいですね」とよく言われます。「楽しそう」ではなく実際に「楽しい」んです。テレビやラジオに出るのも、文章を書くのも、僕は楽しんでやっています。
・銀座の高級クラブに詳しいある先輩から聞いた話です。座るだけでン十万というあの世界で必ずナンバーワンになれるのは、どんなホステスさんだと思いますか?「どんな客でも本気で好きになれる人」なんだそうです。
・好きな人に出会えなければ、出会った仕事を好きになればいいのです。他力本願で偶然の出会いを期待するよりも、自分の意志で目の前のある仕事を好きになる。その方がはるかに確実で、手っ取り早い方法ではないでしょうか。
・自分に本当に合った仕事と出会いたいなら、探しても無駄。自分で作るしかないんです。作るためには自分がどんな仕事を求めているのかを明確にイメージできなければならず、イメージできるようになるには一つの仕事ととことん取り組み、体で呼吸を覚えていくしかない。
・「好き」と温泉は似ている。自然に湧いて出たものだけが本物でなく、実際は自然湧出だろうと人工掘削だろうと湯の成分や温度が同じなら、なんら効能に変わりはありません。他力本願でも自力本願でも、好きになってしまえば同じです。
・MJとは、マイケル・ジャクソンでもマイケル・ジョーダンでもなく、僕が尊敬してやまぬ長年の親友、みうらじゅんのこと。女性が「イヤねえー◯◯って❌❌で」というと「そこがいいんじゃない!!」とひっくり返すのが、お約束の流れです。夜の大半が嫌だと思っているものを探してきて、「そこがいいんじゃない!!」と無理やり好きになる。これがMJがいう「マイブーム」の真の意味です。さらにそれを自分以外の人々にも認めさせるべく「一人電通」となって営業や宣伝に走り回る。こうやって、それまでになかった仕事を自ら創り出すことで、MJは、巨万の富を築き上げたり、失ったりしてきたわけです。(『「ない仕事」の作り方』)
・MJの「どうかしてる」行動を支えているのは「俺が買わなきゃ誰が買う」という信念です。「こんなもの誰が買うんだろう?」と思った瞬間に「俺が買わなきゃ誰が買う」と思考を180度転換し、考える前に即、行動。ひとつでも買ってしまえばスイッチが入り「ここまでやったら好きにならざるをえんやろ!」ということで自分を追い込んでゆけるそうです。
「環境は実は不便な方がいい」「急ぐより回るが得なこともある」「筋肉も「好き」も痛みで育つもの」「同じことをやり続けられてこそのプロ」「年取ると感動できなくなってくる」など。