この本、すごいなー。著者の岡本茂樹さんってすごいわ。神様、仏様みたいな人だなあ。活字だけでこれだけ伝わるということは、実際に話した受刑者たちは心を揺さぶられるだろうなあ!!!!
「「落ちるところまで落ちた」からこそ、反省は深くなる。誰もが「更生不可能」と判断した極悪人たちが、次々と「心からの反省」を表明!従来とは全く異なるメソッドで、受刑者教育に革命を起こした驚きの授業を初公開」そのエッセンスを紹介しよう。
・「この10年間、刑務所のなかで、出所したらすぐにチャカ( 拳銃)を手に入れて、裁判のときに偽証した隣の夫婦を射殺して、 自分も死のうと思っていました。それだけを目標にして、残りの( 刑務所での」生活を送るつもりでした」
この言葉は、殺人を犯したある50代の受刑者が、 私との初回面接が始まって30分ほど経ってから語った「本音」 です。
後藤は、幼少の頃、 父親が毎晩のように母親を殴っていた過去を告げたのです。 司法関係者は「幼いとき、 あなたが不遇な環境で過ごしてきたことはわかりますが、 大人になったのだから、そういう問題は解消されているはず、 幼少期のことは今回の事件と関係ない」と、 殺人罪になるのは仕方がないと言ったというのです。 この司法関係者は、幼少期にDVにさらされた子どもの「心の傷」 がどれほど深いものか理解していないのです。なぜなら、 ほとんどの司法関係者は「心の問題」 を扱う心理学を持ち合わせていないからです。
私は「今、後藤さんがしないといけないことは、心の中にある『 嫌なモノ』を外に出すことです。 そうすると後藤さんは変われるかもしれませんが、どうしますか」 と尋ねました。
彼の顔つきが一変しました。後藤の口から「先生、 私は更生できますか」という言葉が飛び出したのです。10年間、 復習することだけを考えてきた後藤が、面接が始まって、 たった30分で「変わりたい」という気持ちを持ったのです。
後藤は「 私のような醜いことをした人間でも立ち直れるでしょうか」 と心配そうな顔で私を見ました。私は「事件の重大さよりも、 自分の内面と向き合うことができれば、立ち直れます」 と言いました。そして最初の課題として「私から偽証した夫婦へ」 の手紙を書くことを彼に求めました。これは「ロールレタリング」 という手法で、あくまでも自分の心の整理のために、 自分の言いたいことを手紙の形で思い切り書くというものです。
私は、後藤に対して、「被害者のことを考えて反省しなさい」 とは一言も言っていません。ただ、彼の「言い分」 に耳を傾けただけです。そして、 初めて自分の本当の気持ちを話したことで、後藤は「変わりたい」 という意欲を持ったのです。
・受刑者は、人を傷つけた犯罪者です。 しかし人を傷つけるきっかけが、幼少期における親(養育者) との関係にあることに気づいている受刑者は皆無です。 だからこそ、 受刑者の言葉にじっくりと耳を傾けることから始めるのです。
・「そういう考え方だから犯罪を起こすのだ」とか「 君の考え方は間違っている。もっと真剣に反省しなさい」 といった言葉を返します。確かに、 刑務官の言っていることは正論です。しかし、正論は「 正しいこと」であるがゆえに、 受刑者は何も言い換えすことができません。そうすると、 せっかく心を開いて本音を語ってくれたのに受刑者は再び心を閉ざ すことになります。正論は人(受刑者)の心を閉ざす「 言葉の凶器」となるのです。
・刑務所では、ただ反省を求められるのです。 しかし反省の仕方が分からないので、反省しようとする者は、 とりあえず経を読んだり聖書の勉強をしたりして、 何となく反省している気持ちになります。 これは非常に危険なことです。なぜなら、 経を読んだり聖書を学んだりすることが「抑圧する手段」 となっているからです。
・「反省の仕方が分からない → 宗教を学ぶ → 否定的感情に蓋をする → いつまでももやもやとした気持ちがなくならない → さらに宗教を学ぶ → ますます自分の本音を抑圧する → 出所するときには爆発寸前」 このパターンに陥っている受刑者は少なくありません。
「形骸化した「反省させる教育」」「 深く反省している受刑者は危ない」「 受刑者が更生できない五つの理由」「「条件付きの愛」 がもたらす子供の心への影響」「 個人面談を希望する受刑者はほとんどいない」「 手紙で否定的感情を吐き出させる」「反省は一人ではできない」「 「私はきちがいです」と語った受刑者」「母ちゃん、 ワシは寂しかったんや」など。
すごい。生々しい。すべての人に仏性あり、だなあ。この本も併せて読みたいよね。
超オススメですー!♪