「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「いい子に育てると犯罪者になります」(岡本茂樹)

 

この本のタイトルが「脅し」のように思ったけど、第一印象とはまったく違う!!!深い、実に深い。著者の洞察と愛情と慈悲にあふれている。人ってなんて弱いんだろう、優しいんだろう。やはり「因果の道理」があるよね。この本で救われる人がいるんじゃないかな。

 

意外なことに、刑務所への出入りを繰り返す累犯受刑者には「いい子」だった者が多い。自分の感情を素直に出さず、幼少期から無理を重ね、親の期待する役割を演じることに耐えられなくなった時、積もり積もった否定的感情が「犯罪」という形で爆発するのだ。健全な子育ては、「いい子」を強いるのではなく「ありのままの姿」を認めることから始まる──。矯正教育の知見で「子育ての常識」をひっくり返す」そのエッセンスを紹介しよう。

 

本書の目的は、幼少期において子どもが育つなかで、私たちが見過ごしている「盲点」、すなわち問題行動(とくに犯罪)の原点を明らかにすることにあります。その原点は、私たちが「当たり前」と思っていた子育てや教育のあり方、親や教育者の心のなかに刷り込まれている価値観と繋がっています。その盲点を明確にしたうえで、問題行動の原点にどのように対処すればいいのかを示します。
 
私たちに誰もが犯罪者になる可能性があります。「そんなバカなことがあるのか」と思われる方もいるでしょう。ちょっと想像してみてください。たとえば、自分を支えてくれる人が誰もいなくなって、しかもその状況が長期間続いたら、私たちは普通に生活できるでしょうか。少なくとも私は自信がありません。孤独はストレスになります。誰も自分のストレスを受け止めてくれない。苦しくて寂しくて頭がおかしくなります。こんなとき、何かアクシデントー学生なら留年、会社員なら仕事のミスなどーが起きようものなら、それが引き金となって一気に限界を超えるのではないでしょうか。自暴自棄になって爆発(=犯罪)するか、絶望感を抱いて自ら命を絶つのか、どちらも可能性はあります。一定の条件(寂しさとストレスが自分の「許容範囲」を超えること)がそろえば、誰もが犯罪者になるかもしれないのです。
 
・本書では、とくに子どもの成長過程で生まれる寂しさとストレスに注目しました。何の疑いもなく子どもに対して用いていた言動や気持ちの行き違い、「子どもの心を受け止める言葉」の不足などが重なると、大人が気づかないところで子どもは寂しさとストレスをため込んでいき、最悪の場合、犯罪者になります。犯罪者でなければ、心の病に陥ったり、自殺したりする可能性があります。その原点は、すべて幼少期にあります。
 
・受刑者に事件を起こした理由を聞くと「悪い仲間と付き合ったことがきっかけでした」「覚醒剤が問題です」「事件を起こしたとき、自分はどうかしていた」などは「代表例」です。しかし問題の根は、もっと深いところにあるのです。「なぜ覚醒剤を使うようになったのか」「自分がどうかしてしまうほど、どんな苦しいことが積み重なっていったのか」と過去を振り返らせる質問をしていきます。最後は幼少期の育ちの問題に辿り着きます。
 
・本書では、私が刑務所で関わった受刑者と覚醒剤取締法違反の罪に問われた酒井法子さんを主に取り上げていますが、子どもの問題に頭を悩ませている人、子育てに格闘中の人、人の支援に携わる方、そして健康的に生きたいと願うすべての人に本書を読んでもらいたいと思っています。
 
「いい子」が突然大きな問題行動を起こすケースを何度も目の当たりにしてきました。このまま「いい子」を続けるのか。「いい子」であることに疲れてギブアップするか。問題行動はいつ起きるか分かりません。抑圧していた期間が長ければ長いほど、ストレスが大きければ大きいほど、問題行動の出方は激しいものになります。「いつも笑顔を絶やさなかったあの子がなぜ?」と思ってしまいますが、「自分の本当の気持ちをずっと言えず、ものすごい苦しみがあったのだ」と見方を変えなければなりません。
 
親のしつけによって「いい子」になったのではなく、「自らの意思」で「いい子」になったということです。「無意識のうちに」と言い換えたほうが適切でしょう。
 
・(酒井法子『贖罪』より)「わたしの場合は、もともと人の顔色を窺いながら生きてきて、誰にでも心を開いて話せる性格じゃなかった。そこへ、夫とふたりで重大な問題を抱え込んだ。誰かに言いたかったけど、誰にも相談できなかった。いろいろな人の顔を思い浮かべたけど、とても口にできなかった」
 
この文章を読んで、私は三つの問題点を指摘します。①酒井さんは、なぜ人の顔色を窺うようになったのかを考えないといけません。②「性格」と捉えてしまうと、それ以上自身のことを掘り下げて考えなくなります ③なぜ相談できなかったのでしょう?
 
「強い人間」になろうと考えることがなぜ危険なのかと言うと、「強い人間」になろうとすることは、「しんどいことがあっても、弱音を吐かない」「しっかりしないとダメ」「我慢しないといけない」といった価値観を持つことになるからです。一人で悩みを抱え、ストレスをため込み自らにプレッシャーをかける生き方になります。
 
「頑張ります」という言葉が出たら「どう頑張るのか」を確認する必要があります。危ないのは「一人で頑張っていきます」「誰にも頼らず生きていきます」といった言葉です。一人で頑張り続けられないのです。「誰かに支えられている」と思えるから、頑張る気持ちが生まれるのです。
 
宮本亜門はなぜ自殺未遂をしたのか?」「残酷な話をしながら笑う受刑者」「自己防衛としての笑顔」「自分の感情をマヒさせていく過程」「少年院では「私語禁止」」「少年院に入ると、さらに悪くなる」など。

 

良かった!いい子じゃなくて!優等生じゃなくて!♪(笑)著者の他の本も読んでみよう。超オススメです。(・∀・)