これ、いいなあ!古本屋にも憧れるけど、オンライン古本屋かあ!いつかやってみたいなあ!こんなカンジの日常になるのね!(・∀・)
「これがブラブラ系古本屋の日常だ! 1999年にオープンしたオンライン古本屋「杉並北尾堂」の店主が、変化の渦に巻き込まれ、前進したかと思えば後退…の日々を綴る。オンライン書店の過渡期をリアルに描く」そのエッセンスを紹介しよう。
・2000年11月、オンライン古本屋を開業して1年と少し、 12万円からスタートした月商も倍増したのだが、 ここにきて売り物である本が品薄になってきたのだ。 こんな調子では夢の月商50万円は遠い。 魅力ある本を集めるしかないが、これがなかなかムズカシい。
・こんな内容のメールが届いた。〈 訳あってSM雑誌を処分したい。 ついては専用のコーナーがある貴兄の店で、 ぜひお願いしたく思う。都内なので郵送ではなく、 買取にきていただけないか〉
買取に行ったのは数日後、ドアをノックすると、 でてきたのは60歳ぐらいのオヤジだった。奥の部屋にはいると、 雑誌ごとに透明のシートにくるまれ、積み上げられている。『 SM奇譚』『SMマニア』『SMソドム』 など70年代頃のSM各誌。70冊ほどだろうか。 そう多くはない。とくにマニア度が高いとも思えない。だが、 異常なまでのていねいな梱包に、 オヤジの思いの強さがほとばしっていた。 全部で1万5千円ということろか。 SM誌はそれなりに人気がありボツボツ売れるし、女性客が「 前から興味があった」と買うケースがめずらしくない。
「私としてはお金より、 集めたものが探している人の役に立てばという気持ちですから。 それよりコーヒーを入れました。時間、大丈夫ですよね」 こうして、オヤジのひとり語りが始まった。 ふらりと立ち寄った書店でSM誌と出会い、 心惹かれた70年代のある日。意を決して買ってはみたものの、 妻子のいる自宅に持ち帰るわけにもいかず、 会社の机の引き出しにこっそり隠した。 何とも言えない罪悪感があったという。 実践派ではなく密かな楽しみとしてSM誌を読むようになった。 縄の縛り方にみられる美学に心を奪われ、 デザイナーとして独特のカメラアングルなどにも興味があったそう だ。あくまで本人曰くの話なので真相はわからない。だが、 そんなことはどうでもいい。 初対面お古本屋に悩み多かった日々を打ち明けるところに、 オヤジのSM人生が垣間見える気がする。
ぼくにはわかった。 オヤジは雑誌を買い取ってほしかっただけじゃない。 話したかったのだ。SMの話は、とにかくしたかった。であれば、 ぼくの役目は最後までキッチリ聞きまくることだ。「 すみませんね。今日はうれしいんですよ。 ずっと誰にも言わず内緒にしてきたのもだから」 グッとくる言葉だ。 ぼくごときでよければいくらでも語ってほしい。ハジけてほしい。 「もちろん手放したくないですよ。ただ、私も還暦をすぎまして、 いつ倒れたり具合が悪くなるかわからない。もしものとき、 家族に発見されたらと思うとねえ」 夢中でしゃべるオヤジのSM談に耳を傾けつつ、汗が流れ出す。 オヤジはドアのところで握手を求め「ありがとう」 と言ってくれた。
このとき買い取ったものはコンスタントに売れ、 もうほとんど残っていない。 SMコーナーは品切れで寂しい状態になっている。でも、 閉鎖する予定はない。オヤジのうれしそうな顔を思い出したら、 そんなこと当分できるはずがないではないか。
『最後にでてきた『読書手帖』』「地獄の四畳半雑誌山脈」など。ここで早川義夫の早川書店が出てくるとは!感激〜!!!
オンライン書店、いいねえ。やってみたいねえ。オススメです。(・∀・)