「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「いいことだけ考える 市原悦子のことば」(沢部ひとみ)

 

子どもの頃、大好きだったまんが日本昔ばなし市原悦子さんと常田富士男さんの朗読が絶妙だったよね。今も思い出すシーンが『あとかくしの雪』のダイコンの雑炊を無表情なおばあさんが作って食べさせるところ。ネットで検索したら出てきたよー!♪ウレシイ〜〜!♪ (・∀・)

www.youtube.com

2019年1月に惜しまれつつも亡くなった名女優・市原悦子さんは、折に触れて人々の心に響く魅力溢れる数々の「ことば」を遺していた。そのエッセンスを紹介しよう。

 
・作家の佐藤愛子「美人にあらず、不美人にあらず」と言った市原さんの顔も好きだった。接するたびに親しみを覚え、不思議と幸せな気持ちになれる福顔だった。彼女の顔が自分の身近な人に似ているようで、実は誰にも似ていない。市原さんの岸壁の母家政婦は見た!の主人公は、声同様、役ごとにさまざまな表情を見せた。
 
・「母親だからといって母親役がうまいわけじゃないのよね。子どもがいないからこそ、ああ、わたしだったら、もっと大事に育ててあげるのにな、と思うこともあるでしょう。よく母親役をやらされて、子どもの扱いがうまいって言われた。わたしは相手が子どもでも、友達や恋人や夫のように、一人の人格を持った、ほんとに自分の大切な人に接するように演技するの
 
・(ビートたけし)「(樹木希林さんは,わざと間を詰めたり、相手の間を外したりすることがあって)共演者からするといいところを全部持っていかれちまうから『怖い役者』だったと思うんだよな。市原さんはその逆で、相手の間に合わせるというか『受け』を重視する役者という気がするね。相手の出方をよく見て、相手役の俳優の演技を引き立ててくれるというかさ。ふたりとも違った魅力だけど、市原さんと演る方がオイラは楽かもな」
 
・(『まんが日本昔ばなし』)「あれは始まるまえにね、常田(富士男)さんと、『この番組、見てる人が三十分間居眠りするような番組にしましょうよ』って言って始めたの。のんびりした、束の間のオアシスのようにって。だってテレビで世の中、騒々しかったから」番組の視聴者は大人が六割、子どもが四割だったのもうなずける。最高視聴率は39.8%を記録した。
 
・(釜めし用のお釜を例に)「心を寄せるんですよね、モノとか人に。このお釜に『おいしかったわ。ずいいぶん長年使われて、よく磨かれているけど、もう何年お勤めしているの?』ってこちらの思いを寄せると、それに答えが返ってくる。そういう遊び心が声になるんです」人やモノへの思いが、身体(声帯)を動かすということなのだろう。
 
・(NHKあさイチ』で)「どうしてそんなにやまんばがお好きなんですか?」「世の中からずれた、外れた、落ち込んだ人が山に行って、たとえば“かたわ”とになった人とか人減らしで捨てられた人、外国から来た“毛唐”がバケモノだ、とかね。そうい人が山に住んでいて、髭ぼうぼうになって、阻害された人たちが『やまんば』の原点だと勝手に解釈するんです、私。彼らは大変な反骨精神と憎しみがあり、人に対する攻撃がすごいですね。そのかわり、心の通じた人とはこよなく手をつなぐ。その極端さが好きなんです」番組の終盤で有働アナが「先ほど、『かたわ』『毛唐』という発言がありました。身体の不自由な方や外国人の方々を傷つける言い方でした。深くお詫びします」と頭を下げた。ネット上では、「差別的な意味に言ったのではない」「弱者への慈愛を感じた」「言葉狩りだ」という意見が相次ぎ、当時の『週刊文春』でも市原悦子に称賛の声」という記事が掲載された。
 
年齢、健康、容貌、経済状態、民族、国籍、ジェンダーセクシュアリティ…なんらかのマイノリティ性ゆえに周りから差別され、生き辛さを抱えている人は、昔ばなしの世界だけに住んでいるわけではない。孤独を抱えたやまんばが、この国にもごまんといる。「野山に捨てられて、だいたいは野垂れ死ぬところが、木の実を食べて、髪の毛を逆出させて、顔に苔が生えているように、恨み骨髄で生きてきた。その生命力。だからやまんばは、理不尽な目に遭った人のパワーなんですよ。恨みのあるやつらは、全部食い殺してやろうと思っているんです。そういう恨みを代弁したいんですよ。絵空ごとを語るだけなら、何のエネルギーも出てこない。人間は生身のものだ、って理解しないと、演技のエネルギーにならない。それがなければ、表現する土台がないんです」こう言い切ったときの真剣なまなざしは、今も忘れることがない。あれはきっと、市原さんの中に棲む、心優しいやまんばのまなざしだったのだろう。
 
・(両親に関する市原さんのことば)「あやしい男の子どもを孕まないこと、警察に連れて行かれないこと、この二つを守ることが私の親孝行のバロメーターでした。ほかは何をしても自由でした」
 
美しい人、醜い人はいない。人には、美しい瞬間と醜い瞬間があるだけ。
 
・「女が幸せじゃなきゃ、男も幸せにならないのよ。女がボーッとしていたら、世の中は寂しいでしょう。男と女の間に変な差別があったら、最終的に両方とも幸せになれない。そして悪いことも起こってしまう。でも、もっと女がしっかりしたら戦争だってなくなるかもしれない。そんな夢も描けるのよ」
 
・「食べることができて、眠ることができて、そして排泄ができれば、もう、いうことはない。そして、朝、決められた時間に送れないで仕事場に行ければ、最高だと思います」
 
・「日本昔ばなし』jは、どんな世界にも飛んて行ける。一秒にして何にでも返信できる。なんたって空を飛んでさ、この山は蓮華、この花は菜の花、ここは椿の花って、フワーッと花の種を播くの。すると、ピンクの山、黄色い山、赤い椿の山が本当に見えてくるんです。自分の播いた種で。昔話ってそういう気持ちになれるって幸せなことでしょう?昔話のおかげよね
 
・ギリギリの緊張感と不安を持っていないと、余裕ができて、その人の演技が色あせるんです。だから破綻を恐れず、日々新たな思い出舞台に出て行く。この勇気と心の自由、それがいのちなんですね」
 
夫の最期に日常でいられること、取り乱さないこと、それも演技だわ。
 
・独り身は強くなりますよね。なんか甘さがなくなる。
 
・病床にあっても、あんなことしようとか、こんなことしようとか。何かを創り上げていく想像は心を穏やかに、豊かにしてくれる、「いいことだけ考える」。今の私もおなじね。
 
 
「『家政婦は見た』は、松本清張の短編『熱い空気』が原作」「ちいちゃんのかげおくりあまんきみこ)」「凧になったお母さん(野坂昭如」など。
 
この声、癒やされるなあ〜!いいなあ〜!朗読っていいね。市原悦子さん、ハマりそうだわ。オススメです。(・∀・)