・三浦先生と最初に知り合った時の印象。 電話に出なければよかった。受話器の「もしもし」 という声だけで、 一度も自分を厳しく律したことのない人だとわかった。「 三浦です」ということばを聞いただけで、 いい加減な気持ちで人生を渡ってきた老人だと分かった。 昨夜初めて会った三浦勇夫(自称)という精神科医だ。 残念ながら三浦先生もわたしも、 人に生き方を説けるような人間ではない。どちらかといえば、 人から注意されるタイプである。
・三浦氏は70代、切り上げると80歳の老人だ。 わたしは切り捨てると50歳の紳士だ。30歳も差がある。 30歳年上の男に親しみを感じたのは初めてだ。 親近感を持つのがこれほどイヤだったことも初めてだ。 わたしに似ている人はなぜ、 わたしがなりたくないばかりなのだろうか。 この人はよりによって病人を治しているのだ。 まず自分を治すべきではないのか。
・(三浦)「真面目でないといい加減になれないんだ。 ぼくのようなのが本当の真面目なんだ」
・(土屋)「診察するには、 やはり患者の心を開かなければいけないと思うんですが、 どうやって心を開かせるんですか」
(三浦)「それは人によって違うから、一概には言えない。 ただぼくがたまにやるのは、冗談を言うこと。 そこから診察も始めます。隙を見て、 会話の中に冗談を突っ込むわけ。 そうすると向こうの心がフッとゆるむんですよ。 これも治療なんだ」
(土屋)「心を開かせるためには、 自分がいいカッコしていてはいけないっていうことですよね」
(三浦)「うん、そうね。自分が心を開かないのに、 相手が開いてくれることはないですよ。でも、 精神科医にもそういうのできてないひとがいっぱいいますよ。 悲しいことだ」
(土屋)「先生みたいにバカになれないですよ。ふつう。 しんそこバカじゃないと無理です(笑)」
(土屋)「先生みたいにバカになれないですよ。ふつう。
・(土屋)「大人がギスギスしているから、 子どもだって愛嬌ある子にはならないですよね。親の姿しか、 子どもは生身の人間を見れない。だからぼくは、 親は自分の欠点や失敗を、子どもにさらすべきだと思うんです。 いいところだけを見せようとしていたら、 子どもは絶対に愛嬌のある人間にはならない」
(三浦)「それを、ぼくは今孫にやっている。
・「心の健康を保つのは簡単だよ。 とにかく何でも人のせいにすればいい。 人のせいにできるものは何でも人のせいにする。これは本当は「 秘中の秘」なんだけどね」
・(土屋)「患者さんを診ててストレスはたまらないですか?」
(三浦)「ストレスというより、だんだん年とってから、 めんどくさくなってきたね。とくに、 アンタみたいな言うこと聞かない患者が来るとね。 そういう話に付き合っていると疲れてしまう。 とくにこのごろはひどい」
(土屋)患者さんが少なくてよかったですね(笑)
いいなあ。オモシロイなあ。こういう老人になりたいなあ。続編、希望!オススメです。(・∀・)