コロナ禍になって3年。「人と人とが会わなくってしまった」のに慣れてきたよね。当たり前のようにZoomやオンライン会議が日常になりつつある。
でも、しかし、But!!!それでいいのだろうか!?
「会話と、それによって生まれる人間関係。なにより会話によってわたしたちはどのように幸せになれるのか。わたしたちは、なぜ、会って話をしてきたのか。そんな話を始めたい」そのエッセンスを紹介しよう。
・「人と人と会うこと」は困難になり、 顔を突き合わせて話す機会は激減した。しかし、わたしたちは、 人と会えない現実を嘆く。人と話せない毎日を悲しむ。 なぜだろう。そこで、あらためて会話することの意義と、臨み方、 考え方を問い直す本をつくりたいと思ったのだ。
・結局、文章を書く時のの最初にして最後の心構え「 正直であること」が、 会話においても同じように重要ではないかという考えに至った。 我々は、なぜ人と会い、話すのか。これは「会話」を問い直し、 取り戻すための本だ。
・わたしは、新しい発見、おもしろい出来事、大切なのは、 いつも「あいだ」にあると思っています。著者と読者のあいだ、 ジャンルとジャンルのあいだ、社会と本のあいだ、 冷静と情熱のあいだ、股間、行間、人間。会話で生まれる、 人と人との「あいだ」をこじ開けるため、「 わたしとあなたのあいだ」になにが生まれるのか。
・どの本にも「聞き方が大事」「 相手の言っている内容を理解する」「 何言ってるかわからなくても頑張る」 などと判を突いたように書いてある。 そういう判子が売っていて突いているのかもしれない。
・わたしは考えた。他人の話を聞くということは、 ここまで注意して訓練を積まなければできないことなのだ。 これは「結局、人間は他人の話を聞きたくない」 ということでないか。高齢者同士は、会話しているように見えて、 まったくお互いの話を聞いていなかった。ならば、 多くの会話術の本と、わたしの発想は逆になる。
わたしの話を聞いてもらわなければならない
あなたの話を聞かなければならない
最初に、その2つの考えを捨てたら楽になる。そしてそれこそ、 わたしが会話において、ずっと意識してきたことなのだ。
・結論は、明快である。「相手のことも、自分のことも、 話さない」のである。ある意味、「どうでもいいことを話す」 これこそが会話する理由である。二人が向かい合って話すと、 どうしても話題は相手か、自分にまつわることだ。 それは苦痛だったり、喧嘩に発展したり、 決裂する原因になる可能性がある。
・二人が向かい合うのをしばしやめて、二人が同じものを見て、「 今日の雲は大きいですね」と確認し合うこと。これ以上の「共感」 はない。しかし、雲ばかり見ていてもすぐ話が終わる。次に、 その共感を会話として続けていくための方法を語ろう。
・会話にオチはいらない。理想の会話とは、 ボケにボケが重なって、 もはや何について語っているのかわからなくなる状態であり、 会話の参加者全員が「今、なんの話をしてたんだっけ?」 という状態になることである。 それこそ人間が退屈で平凡な日常や、 うっとうしい自己というものから解放されるひとときなのである。
・無駄に聞こえることや「本題」 とやらと関係なさそうな話の細部にこそ、 会話の神は宿るのである。
・絶望的なこと、自分が不機嫌になりそうになった時、 次元大介になりきる。『おもしろくなってきやがったぜ』!
・世の中、オンライン時代です。でも、結局【 絶対に会って話をしないとまずい】 という人にはなんとしてでも会っていませんか? つまりオンライン時代というのは、 人間が他人を区別していることがはっきりした時代なんですよ。
・オンラインのダメさというのは、「身体がない」 ということに尽きる。リアルでは、 向かい合う人間が時間と空間を共有し、目線、表情、反応、 間合い、タイミング、チャチャ入れ、ヤジ、無駄話、 そういうものがタイムラグなしの情報として存在し、 わたしたちはリアルタイムでそれに反応する。
・「デジタルデータ?そんなものは渡せません。 それはただのデータです。それは【画像】です。僕が選んで、 印画紙に焼いたものだけが【写真】です。 それだけが人間の記憶に残るんです」(友人の写真家)
・深いところで人間が人間とつながる理由は、 何の役に立つかわからないが抱えていた知識だ。 自分が心から好きななにかであったり、 自分自身の遠い記憶であったり、そんな遠い日の「仕入れ」 がだれかの記憶と響きあうことなのだ。
・人は、自分と会話する。過去と会話する。死者と会話する。 書物と会話する。
・人と人が、会って話すことの究極は、一緒に旅をすることだ。 二人は常に新しいものを見る。 次々と経験したことのないことが起こる。身の上話や、 悩み相談などしている暇はない。そこには「外部」しかない。 他人と会って会話する時間は、じつに「人生を共に旅する」 ことではないのか。
その他、「山本五十六と加藤一二三、阿部一二三」「会話における、 ロゴス・パトス・エトス」「エビデンスは、 海老が住むレジデンス」「リアクションのあいうえお= ありがとう、いいですね、うれしいです、えぐいですね、 おいしいです」「『あなたが好きです』は、最悪な言葉(永六輔) 」など。
実にシンプルで、かつ真を突いている。コロナ禍があったからこそ生まれた本だね。超オススメです。(・∀・)