「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「会って、話すこと。」 (田中泰延)

 

コロナ禍になって3年。「人と人とが会わなくってしまった」のに慣れてきたよね。当たり前のようにZoomやオンライン会議が日常になりつつある。

 

でも、しかし、But!!!それでいいのだろうか!?

 

「会話と、それによって生まれる人間関係。なにより会話によってわたしたちはどのように幸せになれるのか。わたしたちは、なぜ、会って話をしてきたのか。そんな話を始めたい」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・「人と人と会うこと」は困難になり、顔を突き合わせて話す機会は激減した。しかし、わたしたちは、人と会えない現実を嘆く。人と話せない毎日を悲しむ。なぜだろう。そこで、あらためて会話することの意義と、臨み方、考え方を問い直す本をつくりたいと思ったのだ。
 
・結局、文章を書く時のの最初にして最後の心構え正直であること」が、会話においても同じように重要ではないかという考えに至った。我々は、なぜ人と会い、話すのか。これは「会話」を問い直し、取り戻すための本だ
 
・わたしは、新しい発見、おもしろい出来事、大切なのは、いつも「あいだ」にあると思っています。著者と読者のあいだ、ジャンルとジャンルのあいだ、社会と本のあいだ、冷静と情熱のあいだ股間、行間、人間。会話で生まれる、人と人との「あいだ」をこじ開けるため、わたしとあなたのあいだ」になにが生まれるのか。
 
・どの本にも「聞き方が大事」「相手の言っている内容を理解する」「何言ってるかわからなくても頑張る」などと判を突いたように書いてある。そういう判子が売っていて突いているのかもしれない。
 
わたしは考えた。他人の話を聞くということは、ここまで注意して訓練を積まなければできないことなのだ。これは「結局、人間は他人の話を聞きたくない」ということでないか。高齢者同士は、会話しているように見えて、まったくお互いの話を聞いていなかった。ならば、多くの会話術の本と、わたしの発想は逆になる。
 
わたしの話を聞いてもらわなければならない
あなたの話を聞かなければならない
 
最初に、その2つの考えを捨てたら楽になる。そしてそれこそ、わたしが会話において、ずっと意識してきたことなのだ。
 
・結論は、明快である。「相手のことも、自分のことも、話さない」のである。ある意味、「どうでもいいことを話す」これこそが会話する理由である。二人が向かい合って話すと、どうしても話題は相手か、自分にまつわることだ。それは苦痛だったり、喧嘩に発展したり、決裂する原因になる可能性がある。
 
・二人が向かい合うのをしばしやめて、二人が同じものを見て、「今日の雲は大きいですね」と確認し合うこと。これ以上の「共感」はない。しかし、雲ばかり見ていてもすぐ話が終わる。次に、その共感を会話として続けていくための方法を語ろう。
 
会話にオチはいらない。理想の会話とは、ボケにボケが重なって、もはや何について語っているのかわからなくなる状態であり、会話の参加者全員が「今、なんの話をしてたんだっけ?」という状態になることである。それこそ人間が退屈で平凡な日常や、うっとうしい自己というものから解放されるひとときなのである。
 
無駄に聞こえることや「本題」とやらと関係なさそうな話の細部にこそ、会話の神は宿るのである。
 
・絶望的なこと、自分が不機嫌になりそうになった時、次元大介になりきる。『おもしろくなってきやがったぜ』
 
・世の中、オンライン時代です。でも、結局【絶対に会って話をしないとまずい】という人にはなんとしてでも会っていませんか?つまりオンライン時代というのは、人間が他人を区別していることがはっきりした時代なんですよ。
 
・オンラインのダメさというのは、「身体がない」ということに尽きる。リアルでは、向かい合う人間が時間と空間を共有し、目線、表情、反応、間合い、タイミング、チャチャ入れ、ヤジ、無駄話、そういうものがタイムラグなしの情報として存在し、わたしたちはリアルタイムでそれに反応する。
 
「デジタルデータ?そんなものは渡せません。それはただのデータです。それは【画像】です。僕が選んで、印画紙に焼いたものだけが【写真】です。それだけが人間の記憶に残るんです」(友人の写真家)
 
・深いところで人間が人間とつながる理由は、何の役に立つかわからないが抱えていた知識だ。自分が心から好きななにかであったり、自分自身の遠い記憶であったり、そんな遠い日の「仕入れ」がだれかの記憶と響きあうことなのだ。
 
人は、自分と会話する。過去と会話する。死者と会話する。書物と会話する。
 
・人と人が、会って話すことの究極は、一緒に旅をすることだ二人は常に新しいものを見る。次々と経験したことのないことが起こる。身の上話や、悩み相談などしている暇はない。そこには「外部」しかない他人と会って会話する時間は、じつに「人生を共に旅する」ことではないのか。
 
 
その他、「山本五十六加藤一二三、阿部一二三」「会話における、ロゴス・パトス・エトス」「エビデンスは、海老が住むレジデンス」「リアクションのあいうえお=ありがとう、いいですね、うれしいです、えぐいですね、おいしいです」「『あなたが好きです』は、最悪な言葉(永六輔など。
 
実にシンプルで、かつ真を突いている。コロナ禍があったからこそ生まれた本だね。超オススメです。(・∀・)