「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「発達障害と少年犯罪」(田淵俊彦 NHKドキュメント取材班)

 
弊社、株式会社ピーアイディの「統計心理学」では、脳の中のソフトウェアの研究をしている関係で「脳」関連の本を読んでいるけど、この本は衝撃だったっ!!!
 
発達障害と犯罪に直接の関係はない。しかし、発達障害をもつ子どもの特性が、彼らを犯罪の世界に引き込んでしまう傾向があることは否めない。そんな負の連鎖を断ち切るためには何が必要なのか。矯正施設、加害者になってしまった少年たち、彼らを支援する精神科医特別支援教育の現場など、関係者を徹底取材。敢えてタブーに切り込み、現実を正面から見据えて問題解決の方策を提示する」そのエッセンスを紹介しよう。


「犯罪者=障害者」という風に、「犯罪者」と「障害者」が「=」で結ばれるわけではないし、そう言いたいのでもないことはもちろんだ。では、発達障害に何が加われば少年犯罪に結びついてしまう可能性が出てしまうのだろうか
 
自閉症とは、先天的な原因から「態人間関係(社会性)の特異性」「コミュニケーションの質的障害」「イマジネーション(想像力)の質的障害」という3つに特徴が表れることから診断される障害である。これを「3つ組の障害」と呼ぶ。育て方によって後天的になってしまうのでもない。近年は知的障害を伴わない自閉症スペクトラム障害などの高機能自閉症の割合が増えている。
 
・私が特に注目したのが「コレクション」というものであった。この症状の子供はいろんなものを集めたがる電車や飛行機のミニチュア、カードといった一般的なものから、トイレのブラシやコンビニのレシートといった風変わりなものまでさまざまだ。彼らは機械的に何かを覚える記憶力が優れていることが多いので、語学や歴史、地理、コンピューターなど反復連数が効果を示す科目で優れた成績を上げることがある。学校などで友人や先生の名前、誕生日、クラスの配置や教室の広さなどを細かくおぼえていたりする。沢山の情報を集めることで、想定外の事態を避けようとしていると考える専門家もいる。友達の情報」に関心があっただけで「友だち」に関心があったわけではなかった。
 
・以前、ストーカー加害者の取材をした際に、加害者の被害者に対する感情の一つとして強く印象に残った言葉は「僕のコレクションの一つにして置いておきたかった」というものだった。
 
・一説によると、自閉症スペクトラム障害の10人に1人がサヴァン症候群だと言われている。
 
・「彼らは私たちと同じではない。脳の中に科学的、構造的に機能しない部分があって、それが激しやすい行動に結びついていくモラリストを安心させるために言っておくが、精神的な欠陥を持っていても、努力によってそれを克服し、法律にそむかない生活を送れる人はいる。だが、それには苦労が伴う
 
殺人者の5割程度に、微細な脳の異常所見が認められる。
 
ミラーニューロンとは、「ものまね細胞」「共感する細胞」と呼ばれ、他人の行動を見てまるで自身が同じ行動をとっているかのように「鏡」のような反応をすることから名づけられた。この他者の動的表情を見た時に自動的に共鳴応答するはずのミラーニューロンが、自閉症スペクトラム障害をもつ者は、他者に共感する能力が欠如しているということになる。
 
自閉症スペクトラム障害を含む発達障害をもつ子どもの特性は、虐待の「リスク要因」になっているということである。すなわち、発達障害という先天的な脳の病気によって、子どもはいわれのない暴力や虐待を受ける可能性があるということだ。
 
子どもに虐待が行われると、生まれつきの発達障害と同じような状態になってしまう可能性があということだ。子どもの脳が経験を通して発達してゆく中で虐待を受けると、その激しいストレスの衝撃によって脳に癒やされない傷が刻みつけられてしまう最悪の場合は、脳の「ソフトウェアとしての機能」が損なわれるだけでなく、脳を「壊れたハードディスク」のようにしてしまうというのである。これを「第四の発達障害と呼んでいる。発達障害は「障害」なのか「個性」なのかという議論は尽きない。
 
・両親の間の身体的な暴力を目にした時よりも、「言葉のDV」を目の当たりにした時の方が脳へのダメージは6倍にもなるという。しかもこの悪影響が出やすい時期は、11歳から13歳の多感な時期であった。さらに、発達性トラウマ障害による脳の発達へのダメージが先天的な発達障害よりも重篤な状態を引き起こす場合がある。
 
「育ち」が遺伝子に与える影響についてイタリアミツバチとアフリカナイズドミツバチ(キラー・ビー)
 
自閉症スペクトラム障害をもつ子どもに虐待といいう要素が注ぎ込まれると、非行に走る可能性が2倍になる。なぜ?
 
「うちの子どもが話を聞けないのは、先生に意地悪しているわけもなく、本当に聞けないんだ」と確信した。そして「われわれが丸く見えているものが、子どもには下手すれば四角に見えてしまってりいる。そんな子どもに『なんで丸く見えないんだ!』と怒ったところで効果はない」と気づいた。
 
「犯罪を作動させえる「虐待」というスイッチ」「矯正施設にいる少年たちが何を語ったか」「矯正施設から始まった画期的トレーニング「コグトレ」」「レーニングが予防する子どもの再犯」「教育現場での取り組み」「トラウマ治療の現場に入る」「トラウマ治療「EMDRの効果」「出世魚現象を防げ」「アスペ・エルデの会」「発達障害が増えている理由」など。

 

これは実に深いなあ。生まれ持った素質的な要素+後天的要素が関連しているとは!!!この事実を知ってほしいなあ。オススメです。