「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治)

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本屋さんで平積みしてあって、以前から気になっていた本。ようやく読みました。これは……こんなことがあったとは……頭の中で漠然としていた疑問がスーッと解けたような気がした……。

 

「児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・その少年は社会で暴行・傷害事件を起こし入院してきました。少年院の中でも粗暴行為を何度もお越し、教官の指示ににも従わず、保護室に何度も入れられている少年でした。しかし診察にのぞむと、小柄で痩せておとなしそうな表情の無口な少年でした。彼にRey複雑図形の模写という課題をやらせてみたら、生涯忘れえない衝撃的な体験をしました。

 

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見る力がこれだけ弱いとおそらく聞く力もかなり弱くて、我々大人の言うことが殆ど聞き取れないか、歪んで聴こえてくる可能性があるのです。“ひょっとしたら、これが彼の非行の現任になっているのではないか”と直感しました。同時に、彼がこれまでどれだけ生きにくい生活をしてきたのか、容易に想像できました。つまり、これをナントカしないと彼の再非行は防げない、と思ったのです。

 

・凶悪犯罪を行った少年は、自分のやった非行としっかり向き合うこと、被害者ことを考えて内省すること、自己洞察などが必要ですが、そもそもその力がないのです。つまり「反省以前の問題」なのです。これでは被害者もうかばれません。

 

医療少年院では、「簡単な足し算や引き算ができない」「漢字が読めない」「簡単な図形を写せない」「短い文章すら復唱できない」といった少年が大勢いたことでした。見る力、聞く力、見えないものを想像する力がとても弱く、そのせいで勉強が苦手というだけでなく、話を聞き間違えたり、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗したり、イジメに遭ったりしていたのです。そして、それが非行の原因にもなっていることを知ったのです。

 

・その他、高校生なのに九九を知らない、不器用で力加減ができない、日本地図を出して「自分の住んでいたところはどこ?」と聞いてもわからない。九州を指差して「外国です。中国です」と答えた少年もいます。みんなそろえて「苦手なことは?」と聞くと「勉強」「人と話すこと」と答えました。

 

・非行は突然降ってきません。生まれてから現在の非行まで、全て繋がっています。どうにも手に負えなくなった子どもたちが、最終的に行き着くところが少年院だったのです。ある意味「教育の敗北」でもあるのです。

 

「あなたは今、十分なお金をもっていません。一週間後までに10万円容易しなければいけません。どんな方法でもいいので考えてみてください」と言われると、親族から借りる、消費者金融から借りる、盗む、騙し取る、銀行強盗をする、といったものが出てきます。後が大変になるし、うまくいくとも限らないと考える先のことを見通す計画力がないのです。

 

異性との交際には対人スキルが必要です。デートしたいという気持ちを、いつ、どのようなタイミングで、どうやって伝えるかには、とても高度な対人スキルが必要です。デートに誘えたとしても、女性との距離を縮めるには、さらなる対人スキルが必要になってきます。十分に相手の気持ちを読み取っておく必要がありますが、それにもスキルがいります。相手の気持ちを見誤り、自分の思い込みで一方的に進んでしまうと、ストーカー行為や性の犯罪行為につながってしまうこともあるのです。

 

・犯罪や猥褻行為の原因の共通点は「イジメ被害」です。つまりイジメを受けたストレス発散のために、小さな女の子をターゲットにして性非行を行っていたケースが非常に多かったのです。イジメは、その当事者だけでなく新たな被害者を生んでいたのです。発達障害や知的障害のため対人スキルが乏しく、イジメ被害に遭い、さらに性非行につながっていった少年たち。これぞまさに“被害者が加害者になる瞬間”です。


「「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年」「非行少年に共通する特徴」「想像力が弱ければ努力できない」「悪いことをしても反省できない」「ストレス発散のために性非行」「融通の利かなさが被害感につながる」「対人スキルの乏しさ」「かつての「軽度知的障害」は人工の14%いた?」「褒める教育だけでは問題は解決しない」「ではどうすれば?一日5分で日本を変える」「共通するのは「自己への気づき」と「自己評価の向上」」「性犯罪はある種の発達上の問題ではないか」「犯罪者を納税者に」など。

 

これは多かれ少なかれあるよね。密を避けたり、リモートが多くなってくると益々対人関係スキルが苦手な人が増えてくるし、必要になってくるよね。多くの人に読んでもらいたい。超オススメです。(・∀・)

 

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