「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「中上川彦次郎の華麗な生涯」(砂川幸雄)

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幕末から明治維新の本はたくさん読んだけど、明治初期の頃の本は手薄だったかもしれない。ワタシの曽祖父母の時代だ。小野塚嘉太郎ジイさんの時代っていったいどんなだったんだろう?ということで読んだのがこの本。福沢諭吉の甥・中上川彦次郎の本。これがまたオモシロイっ!あの文明開化の時代の息吹が感じられるっ!!!
 
福沢諭吉実学思想の最も忠実な実践者で、三井財閥の近代化に大きな役割を演じ、藤山雷太、武藤山治藤原銀次郎をはじめ、多くの人を育てた天才的経営者・中上川彦次郎の足跡」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
・ゼネコン大手の社史を調べていたとき、ひどく気になる施主側の人物がいた。それが中上川彦次郎で、彼はあるときは山陽鉄道株式会社の創業社長として、あるときは三井銀行の専務理事(頭取にあたる)として、またあるきは鐘紡の会長として登場した。かつての大新聞時事新報』の創刊までしていた。こんことから興味が倍加されて資料を探索していくと、抜群に恵まれた才能と家柄と時勢の運とが重なって短いながら華やかだったその生涯が、まったくもって魅力たっぷりに見えてきたのだった。
 
中上川彦次郎は、福沢諭吉に最も愛された弟子であり、福沢の資金援助でイギリスに留学し、帰国後に官界入りしてやがて外務省の局長に昇進し(このとき25歳)政変にまきこまれて退官すると、福沢諭吉と協同で『時事新報』を創刊し、経営が軌道に乗ったころに、三菱から誘われて山陽鉄道会社JRA西日本の山陽本線を敷設・経営した)の社長に迎えられ、神戸から福山まで開通させた段階で、傾きかけた三井銀行の改革の騎手としてスカウトされ、十年間にわたりその経営にたずさわった。しかも、その非凡な経営の才は、これら全過程において、常識では考えれないほどの実績をあげて見せたのである。
 
中上川彦次郎は、福沢諭吉の平等思想のもっとも忠実な実践者でもあった。彼は権威をふりかざす者に対してはあくまでも抵抗し、女性には手荷物をもってやり、部下に対しては中元や歳暮を断固拒否し、駅頭での送迎すらさせなかった。すがすがしいまでに清廉で潔癖で、官尊民卑の時代風潮のもと、汚濁にまみれがちな大企業の経営という場にありながら、強靭な意志と独特な処世術によって、その高潔な精神を貫き通した人だった。その死からおよそ百年、右も左もエコノミックアニマルと化してしまった今のわれわれに、この天才的経営者の生涯は、さまざまな処方箋を示しているように思われる。
 
「スピーチ」を「演説」、「ディベート」を「弁論」や「討論」と訳したのも福沢諭吉である。
 
『郵便報知新聞』は、スポーツ紙の現『報知新聞』の前身である。創刊は明治五(1872)年。当時「駅逓寮」といわれていた郵便局を拠点にして地方のニュースを集め、その配達網を利用して急成長して。国営の組織である郵便局を利用できたのは「駅逓頭(えきていのかみ)」の前島密がつくった新聞だからである。経営不振に陥ったとき『報知新聞』と改題して大衆紙に転じ(明治28年)明治の末から大正はじめにかけては、部数が東京で第一位にまで伸びたが、しだいに大阪の朝日新聞『大阪毎日新聞に押され。講談社に買収されたり読売新聞社に吸収されて一部『読売報知』になったり、独立して夕刊紙に鞍替えしたりした。しかし結局また読売新聞社に吸収されてスポーツ紙に転換(昭和25年)。今に至っている。
 
「車掌」という今日では当たり前の言葉も、中上川によってつくられたものである。英語では「支配人」や「管理人」を意味する単なる「コンダクター」で「汽車の中の支配人」というのは、鉄道局ではこれを「車長」と訳して使っていた。山陽鉄道の開業に当たって中上川は民間の鉄道なのに「社長」と同じ発音なのは、はなはだおもしろくないからと、いろいろと考えた末に「車掌」をつくりだしたのである。
 
 
「十九歳で小学校の教科書執筆」「二十五歳で外務省の局長に」「自由民権運動の渦中で……」「二十七歳で『時事新報』の社長に」「三十二歳で『山陽鉄道』の社長に」「三十七歳で三井銀行のトップに」「翔んでた女性・中上川アキ(藤原あき)」「五十代の福沢諭吉が最も頼りにした男」「下の者にも対等、女性にも親切」「四十七歳で世を去る」「中上川彦次郎の遺したもの」など。

 

この頃、何かをやり遂げるって大変だったんだろうなあ。明治時代ってスゴイなあ。この大先輩たちのおかげで現代の私達がいる。感慨深く読んだ本。オススメです。(・∀・)

 

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