私はギター弾きなのでピアノのことはよくわからないけど、「奇跡のピアニスト」フジ子・ヘミングのピアノの音は好きだ。『ラ・カンパネラ』いいよね〜!やわらかさ、しなやかさ、強さ、波乱万丈の人生が伝わってくるような哀愁のある音……。うっとりしてしまう。さてこの本。波乱の人生を歩んできたフジ子・へミングが語る魂のことば。そのエッセンスを紹介しよう。
・目の前にある現実だけを見て、 幸福だとか不幸だとかを判断してはいけない。 その時は不幸だと思っていたことが、後で考えてみると、 よし大きな幸福のために必要だったということがよくあるの。
・すべてのことは顔に現れる、 というようなことが聖書に書いてあるけれど、その通りだと思う。 いくら上手に化粧してみても、偽物は必ず見破られるものよ。
・自分のためだけに、出世してお金を稼いで生きていく。 これだけで満足している人が多い。でもそういう人に限って、 たくさんお金を貯めて、いざ使おうと思った時は、 病気になったりするものよ。それなら、 自分より貧しい人を見たら、百円でもいいからあげるべきよ。 みんながみんな、そういう気持ちになったら、 世界も平和になるだろうに…。
・恋の楽しさは、ドキドキすること。きょうは逢えるだろうかと、 朝からその人のことばかり考えて。恋心は、 一番の生きる活力になるのよ。
・いいピアノの音色を出すには、恋も必要なこと。恋は、 いい仕事をするための燃料となる。
・死ぬ時は、ドビュッシーかラヴェルの「クープランの墓」 を聴きながら死にたいと思う。死後の世界? もちろん信じているわ。この世で起こったすべてのものを持って、 私は天国にいく。終わりの後にもう終わりはなくて、 限りない宇宙が広がっているだけ。 死んだ猫たち全部と再会できるわけ。そこでまた、 私は彼らに囲まれて、ピアノを弾いて暮らすんでしょうね。
・『人生の艱難辛苦から逃れる道は二つある。音楽と猫だ』 これは偉人アルベルト・シュバイツァー博士の言葉。 彼は神学の人であり、音楽家であり、哲学者でもあった。 あんなに美男子で、あんなに有名で、お金を持っている人でも、 不幸せだった。 私も人間関係や不運などを乗り越えてこられたのは、 猫と音楽があったからだ。人間とかかわると、 わざとではなくても、誤解を招いたり傷つけ合ったりした。 そんな時に犬や猫たちから、生きる力と幸せをもらい、 音楽によって沈んでいた気持ちがどれだけ癒やされ、 励まされたか。
・人生にはいいこともあるけれど、 悪いことはもっとたくさんあるわ。
・大事にしているもの?それは“音”。私だけの“音”よ。 誰が弾いても同じなら、私が弾く意味なんかないじゃない。
・完璧を演奏をしたからといって、 感動させられるものではないのよ。 人を感動させる音楽というのは、うまいとか、へたとかではなく、 いろいろな人生体験を経て、でてきた音楽だと思う。
・私はピアノを弾きながら、頭の中で絵を描いている。 やっぱり音色というのは、色っていうくらいだもの。
・どんな辛い時でも死ねないと思ったのは、猫がいたから。 残された生きものはどうなるのかと思ったから。 年をとった一人暮らしの老人は、猫でも犬でも動物を飼うべきよ。 そうすれば、自分はもうダメなんだって思わなくなるわよ。 家に帰れば猫が足元に寄ってきて「お腹すいてないかい」 って話ができる。それだけで十歳は若くなるんじゃない。 ごはんを食べさせなくちゃいけない。 それが生きる張り合いにもつながると思う。
同感です。「猫と音楽」。まったく同じです。(笑)オススメです!