「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「東電OL殺人事件」(佐野眞一)

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東電OL殺人事件 (新潮文庫)

東電OL殺人事件 (新潮文庫)

  • 作者:佐野 眞一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/08/28
  • メディア: 文庫
 

いい本は何度でも読みたいよね。その感動をじわーっと味わいたいよね。(・∀・)

 

10年ぶりにこの本を読んだが、感動というよりもますます謎が深まるばかり……。過去の事件モノでは下山事件とこの「東電OL殺人事件」だろう。

 

「彼女は私に会釈して、「セックスしませんか。一回五千円です」といってきました――。古ぼけたアパートの一室で絞殺された娼婦、その昼の顔はエリートOLだった。なぜ彼女は夜の街に立ったのか、逮捕されたネパール人は果たして真犯人なのか、そして事件が炙り出した人間存在の底無き闇とは……。衝撃の事件発生から劇的な無罪判決までを追った、事件ノンフィクションの金字塔」そのエッセンスを紹介しよう。


・泰子は慶応大学経済学部を卒業すると、東京電力に入社した。その後、エリートコースを進み、管理職となった。会社では仕事を完全にこなしていたが、服装は地味で、人付き合いもなく、これといった男性との噂も聞かず、孤立した存在だったという。ちなみに、父親は東大出身で、母親は日本女子大出身、妹は東京女子大を出て大手電器メーカーに勤めている。昼のエリート・キャリアウーマンには全く別の夜の顔があった。それを知ったマスコミが放っておくわけがなく、泰子のプライバシーは滅茶苦茶にされた。



・マスコミは円山町周辺の取材をして、泰子が通りかかった男に声をかけているところや男と腕を組んで歩いている姿を目撃したという話を書いた。東電の管理職である泰子が金目当てで売春しているとは考えられないと、スポーツ新聞や週刊誌はいろんな憶測記事を書き、ある週刊誌は全裸写真まで掲載した。泰子の母親は耐え切れず警察に抗議した。東京法務局は、行過ぎた内容は人権侵害に当たるとして再発防止の異例の勧告を行なった。その後、少しは鎮静化したようだった。

泰子の手帳には十数人の男性の名前、電話番号がメモされていた。捜査本部はメモに記されていた男性を次々と調べていった。その結果、殺害があったとされた8日夜に、一緒に食事をしてホテルへ行った会社員がいることが判明した。この日は土曜日で泰子の会社は休みだったが、午前11時20分に自宅を出て、電車で渋谷経由、五反田へ向かった。行き先は休日の職場にしていた「マゾッ娘宅配便」だった。ここで泰子は2万5000円で客をとり、うち1万円をお店側に渡し、残りの1万5000円が泰子の取り分になっていた。


被害者女性には職場でのストレスがあったことが示唆されている。高学歴のエリート社員であり、金銭的余裕があるのに、夜は相手を選ばず不特定多数の相手と性行為を繰り返していたことには、自律心を喪失し、何らかの強迫観念に取りつかれ、自暴自棄になった依存症の傾向が見られる。また、被害者が円山町近辺のコンビニエンスストアで、毎日コンニャク等低カロリーの具材とおでんの汁を常食としていたことをコンビニ店員に目撃されていたこと、加害者男性が被害者女性を「骨と皮だけのような肉体だった」と証言していたことから、被害者女性が拒食症に罹患していたことも推定される。

 

何事にも原因と結果があるんだね。この事件にも。忘れられない事件だ。そしてノンフィクションだ。超オススメです。

 

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東電OL殺人事件 (新潮文庫)

東電OL殺人事件 (新潮文庫)

  • 作者:佐野 眞一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/08/28
  • メディア: 文庫