「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「衣笠祥雄 最後のシーズン」(山際淳司)

  


衣笠祥雄 最後のシーズン (角川新書)


今年4月に亡くなった「鉄人」こと衣笠祥雄山本浩二とともに広島カープの黄金時代を築いたよね。あの!豪快なスイング。そして連続試合出場記録で国民栄誉賞を受賞。


江夏の21球で有名な山際淳司が描いた衣笠祥雄の最後のシーズンとは?その苦悩とは?鉄人の、心の内側は、とてもナイーブで傷つきやすく、繊細だった?「衣笠祥雄星野仙一根本陸夫東尾修荒木大輔落合博満田淵幸一江夏豊。昭和のレジェンドの素顔に迫る、山際淳司プロ野球短編傑作選」 そのエッセンスを紹介しよう。


バットマンに栄光をー衣笠祥雄の最後のシーズン】


プロはいつも見られている。その中でプレイしている。見つめられながら、いいプレイを見せなければならない。それがプロだと思うんだ。


衣笠祥雄という選手が、なぜいつまでもゲームに出つづけることにこだわるのか。その「なぜ」にはいつくもの答えがありうる。記録に対する欲。それがもたらすであろう様々な果実。しかしそれだけではない。どこまでやっても、まだその先がある、野球というゲームの不可思議な魅力に、幸いにの、かれはとりつかれてしまったのだ。ぼくはそう考えている。



・エレノア夫人がまだ生きていたら、いい話を聞けたかもしれないな。2130試合という数字を実感としてわかるのは、ルー・ゲーリッグと、それとぼくしかいないんだから。頭で想像してもわからない。数字を見ていたってわからない。毎日のいろいろな出来事、小さな思い出……それを訊くことができたかもしれない。それとね、語りあってみたかったね。


・左の首から肩にかけての鈍痛はキャンプのころから出ていた。カープのチーフトレーナー福永氏「オーバー・スイング・シンドローム特にどこが悪いわけではない。バットの振り過ぎなのだ。「バットスイングを、もっと減らしたらどうかと、以前から話はしてはいたんです。でもダメでしたね。素振りをしているからバッティングの型が決まるんだ。ここまで素振りをしてきたからヘッドスピードが衰えずにすんだんだといって、相変わらず、振りつづけていた。素振りの数でいえば、もうとっくに百万回をこえていますよ。その結果として、どうしようもなく身体のあちこちに痛みが出てくる


・ホームランの記録やヒットの記録なら、自分がバッターボックスに立って一本一本、増やしていくほかない。それができるもできないも、自分次第だ。ところが、連続出場は違う。スタメンにぼくの名前を書きこんでくれた監督さんがいる。ぼくがダメになりそうになったときにアドバイスしれくれたり、励ましてくれた人がたくさんいる。そういった人たちに支えられてきたわけですよ。仮にぼくが、もうダメだといって投げ出してしまったら、そういう人たちに申し開きができない。それが一番つらいことだね。


ゲームに出さえすれば、それだけで「一」がプラスされる。そういう記録じゃないかという人がいる。しかし、それだからこそ、この記録にはデリカシーが伴い、人情の機微が投影される。「この記録とともに歩んできて、ぼくはずいぶん勉強させられた。いろんなことをいう人がる。そういうことも含めて、学んだよ」


その他、メルセデスにて(星野仙一)」「オールドボーイズ・オブ・サマー(根本陸夫)」「〈サンデー兆治〉のこと(村田兆治)」「200勝のマウンド(東尾修)」「そして今夜もエースが笑う(荒木大輔)」「アウトコース落合博満)」「田淵の夏の終わり(田淵幸一)」「一本杉球場にて(江夏豊)」など。


マニアックな内容、プロ野球ファンにはタマラナイ!江夏豊引退試合の話もいいなあ。オススメです。(・∀・)



  


衣笠祥雄 最後のシーズン (角川新書)